「確かめる」という技術

 

 私どもが関わる経理という仕事は、会社のお金を正確に管理することです。それ故、数字があっていても誰も褒めてはくれません。正確であることが当たり前という宿命を背負った仕事です。逆に、ちょっとでもミスがあったり、小さな金額でも間違いがあると上司から叱られます。 

 

経理担当の仕事は、主として請求書や領収書から会計伝票を起こし、それを経理システム入力して、毎月、月次の試算表を打ち出すことです。毎月、今月はいくら売上があったのか。仕入や諸経費の合計額はいくらだったのか、それらを集計し月次の利益を確定します。

金額あるいは勘定科目を正しく処理することが求められます。伝票の計上誤りや計上漏れは許されません。入力誤りや入力漏れもあってはならないことです。数字の間違いが無いよう仕事を進めていかなければなりません。

この他にも経理には資金繰りという仕事があります。先月の請求が金額通りキチンと入金されているか確かめなければなりません。さらに、仕入等の支払期日に、あるいは社員の給料支給日にキチンと支払いができるようその支払手続きをしなければなりません。もし、そこで請求書の支払金額を間違えたり、支払が期日に間に合わなかったなら「ツイツイ、ウッカリ」では済みません。

このように、正確に会社のお金を管理することが経理の役割であり責任です。基本的に「誤り・漏れ・忘れ・抜け・遅れ」といった言葉は禁句です。そこに求められることは正確性です。そういう意味で、注意力を要する仕事だといえます。

 

しかしながら、よく考えてみると、経理業務で最も大切な作業は、処理した数字が、正しい数字なのか、チェックするという仕事です。担当者は、毎月銀行の口座残高や通帳残高と帳簿の数字はあっているのか、必ず確認します。この作業を怠る人は、まずいないでしょう。会社によっては、得意先元帳の残高と請求書の残高金額を照合するという細かな作業をしています。

つまり、経理の仕事では「確かめる」という作業が、きわめて重要なパートになっています。最後の仕上げ。そのひと手間が仕事の精度を左右します。

 

 確かな仕事ができる経理マンは、チェックすることが当たり前だと思っています。やらないと手抜き仕事になるという感覚が備わっているものです。いくら注意をしていても人間のやることですから、ミスは起こりうることです。請求書と伝票の転記ミスはないか。計算間違いはないか。入力誤りをしていないか。今一度、確かめる。自身の仕事を自ら点検する。それがプロの経理マンの常識といえるでしょう。

 

 「必ず確かめる」やらなければいけないと、わかっていても、実際には難しいことかもしれません。

残念なことですが、多くの人は自分はチャンとやっている。だからミスは無いはずだ。そこに問題は無いと思い込んでいます。責任感の足りない人にいたっては、仕事を早く終わらせることしか頭にありません。

一見、簡単なことのようですが、自身の仕事に対し、多くの人が忘れているのが、この「確かめる」という意識です。その一手間を怠らないのがプロの仕事であり、それこそがプロの技、だと思います。その意識を実際の動きに移す。技術とは、このような意識の実行力に他なりません。料理人で言うと「味見をする」ということでしょうか。

 

( 令和212月25日 )        ©公認会計士 井出 事務所

 

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