「自信」は教えることができない

 

 「自信がもてない」「萎縮する企業心理」これほど今の日本経済や企業経営を象徴する言葉はないでしょう。先日の新聞(日経1227日、朝刊1面「成長戦略を問う」)でパッと眼に止まった言葉です。

 このことは、何も大企業だけのことではありません。むしろ中小企業に大いに当てはまることです。別の言葉に置き換えるならば(新しいことに)チャレンジしようとしないと言う意味にも取れます。

新規事業、新規開拓、新製品開発、新サービス企画のような、ビジネスを伸ばすチャレンジテーマを実行することに腰が引けている。

同業他社が「できないこと。やっていないこと」を当社ができるから他社と差別化できるのです。確実にできることしかやらない。成功する確信が持てないことはやらない。それではビジネスは良い方向には進んでいきません。時代の流れを摑めない、新たなビジネスのきっかけを見つけられないのは、これまでと違うやり方に挑戦しないからという経営者の方もいます。

 

 確かに、自社に出来ること、手堅くできることをやっていれば失敗はしないかもしれません。それこそが、適切な判断と考える人も多くいます。

今の世の中は、変化のスピードが速く、且つその方向性が見えない。

「将来が読めないこと」をリスクと思っている人たちです。

 その一方「変化こそチャンス」従来のやり方、方法にしがみついている会社と差別化できる絶好のチャンスと考える経営者も多くいらっしゃいます。リスクを避けること自体が将来への最大のリスクと考える人達です。

 

 「企業環境の変化のスピードが速い」これは誰もが認める事実でしょう。しかし、その事実の捉え方によって、ビジネスのスタンスは180度違った取り組み方になります。

「虎穴に入らづんば虎児を得ず」と言う諺もあれば「君子危うきに近寄らず」と言う言葉もあります。「三度目の正直」という諺もあれば「二度あることは三度ある」ということも言います。

 よくよく考えてみると、諺は、必ず相反する二つの意味がワンセットになっていることに気付きます。勿論、どちらの方を信じるかは、その時の状況やその人の経験値によって異なるでしょう。

 

冒頭の話に戻ると、昨今の日本の疲弊感は「出来ること、わかること」しかやろうとしない人達。無難な目先の成功を追い求め、リスクを避ける安全策ばかりを選び続けてきた人達のジレンマとも言えるのではないでしょうか。 だから「何としてでもチャレンジテーマ成功させる」という気概や「やればできる」という自信を持てないのだと思います。

「今の自分に出来ることをシッカリやる」それが日本的な真面目さの象徴のように写ります。しかしながら「チャレンジしたことを必ず成功させる。

結果を出すまで絶対に諦めない」という真面目さもあることも忘れて欲しくないと思います。

 

企業も人も、自分のキャパを広げようと新しいことにチャレンジするから進歩し、成長するのです。それを避けていては、いつまでたっても今のままです。つまり、進歩できないし、成長しません。

ビジネスの世界では、絶対に成功する。100%上手く行くことなどありえません。ところが、このような現実の中でも「何とかなりそう。チャレンジすればできる」自身の仕事のやり方・進め方に自信を持っている人がいます。 「苦労して苦労して(新規事業や新規開拓という)ビジネスを成功に導いた。必死に頑張って何とかしてチャレンジ目標を達成した」といった成功体験を少なからず持っている人達です。

彼らは、単なる精神的な自信ではなく、何かしら成功するための具体的なノウハウを持っています。難題解決に向けて「どのような手順で進めていくのか」成功への道筋を描く力。「どうすれば、今できないことが、できるようになるのか」ジックリと腰を据えてそれをトコトン考え抜く力。「出来る限りの手を尽くす」その覚悟を持つ。

これまでの経験からこのような力を身につけています。日々の努力を積み重ねることで、身体で覚えたビジネスの技術、仕事のスキルです。

だから、及び腰になることなく、新たなことにチャレンジできるのです。

「自信」は教えることが出来ません。自身とシッカリと向かい合って自分の手で摑むものです。何事も前向きに考え、諦めることなく頑張って頑張って、結果を出した人だけに、与えられるご褒美だと思います。

 

( 平成261230日 )         ©公認会計士 井出事務所

 

► 関連項目: 前向き発想の大切さ

 

PS.平成24年の9月に、当事務所のHPを立ち上げてから、本稿が丁度100稿目になります。少しでも皆様の仕事の役に立つような「実務的な情報発信」を心がけてきたつもりでおります。

また、当初より目指していた「月間1,000アクセス」「1アクセスにつき、2p以上オープン」という目標も、今秋くらいから何とか達成できるようになりました。

これも、一重にリピター様のお陰と心より御礼申し上げます。