サービスで差別化する    ( 持ち味を磨く3つの切り口 その3 )

皆さんご存知の「アスクル」という会社があります。皆さんはこの会社の商品というと何が思い浮かぶでしょうか。普通に考えればコピー用紙のようなオフィス用品でしょう。ところが、最近は病院等の医療機関に向けて注射器のような医療消耗品や飲食業に向けて紙コップやナプキンのような店舗用消耗品の販売も手がけています。もともと、この会社の社名の由来は「明日までに届けてくれる」を意味する「明日来る」です。

確実に明日品物が届くなら、ユーザーからすれば余分な在庫を持たなくて良い、在庫管理の手間が省けるというメリットがあります。事業コンセプトを素直に考えると、宅配業プラス、在庫管理代行サービス業なのです。

ところが、お客様や取引先をオフィスに限定してしまうと商材は限られてしまいます。普通の会社と同じように病院も店舗もビジネスを営む処です。ですから、在庫管理代行サービス業として考えれば、あらゆる業種に、そのビジネスに関わるあらゆる商品を提供できます。ビジネスの範囲を自ら限定してしまう必要は何処にもないのです。通常の物品販売の発想で、ビジネスを捉えてしまうから「その商品は取り扱っていません」で仕事が広がっていかないのです。

 

ちょっと前に、居酒屋タクシーというタクシーが話題になりました。

これは、深夜にご予約いただいたお客様にちょっとしたお酒とおつまみを社内でお客様にサービスするタクシーのことです。流しのタクシーは、いわゆる運送業ですが、これと発想を同じくして特定のサービスに注目するとタクシー業もサービス業になります。

「ケア・タクシー」という高齢者向けのサービスを行っているタクシー会社があります。その一例として「お彼岸、命日の墓参サービス」があります。

 そのキャッチコピーは「好きな時に大切な故人にお花やお線香を!介助が出来るドライバーが安心安全運転で!ご家族同行不要!365日忙しいご家族に変わってお手伝いいたします。霊園内の付き添いや荷物持ちも行います。ヘルパー資格取得済みで経験豊富、安全丁寧な運転手が運転いたします」

もちろん通常の送り迎えだけが運転手さんの仕事ではありません。自宅へのお迎えから、水汲みから掃除に至るまで墓参に関わる全てのお手伝いがドライバーの仕事です。そして、最後に自宅までお送りするというタクシー業と付き添いサービスの合わせ技のビジネスです。

 

突然、パソコンの画面が真っ暗になった。動かなくなった。壊れたという経験された方は多いと思います。そこで、ニュービジネスとして多く目に付くのが「パソコン修理、PCの出張修理」です。

リペアー・ビジネスの処でも書きましたが、ただ直して元に戻すことだけではお客様の納得感や満足を勝ち得ることは難しい時代です。パソコン修理もサービス業として考えるなら、お客様の視点で顧客向けの色々なケアが欠かせません。

ある会社のサポートの特徴を例に挙げると

① データは消さずに修理いたします  

② 全国対応!しかも、ほんの数時間で伺います

③ 年中無休で対応!電話がすぐにつながります

④ 初めてでもご安心ください!専門用語は使いません

Macや自作機、どんな機種でも対応可能 

⑥ 修理・出張スタッフは全員スーツを着た正社員です 

⑦ 事前にお見積もり、ご了承を得てから作業します

 

この会社は、お客様があまり口にはしないが、心の中で誰もが思っていることをセールスポイント(差別化要因)にしています。顧客心理に基づいた細かな心配りや気配り(ケア・サービス)を敢えて訴えることで顧客理解の深さをアピールしています。

サービスは、本来、お客様へのちょっとした気配り、心配りを形、行動、仕事にしたものです。そもそも、ケア(Care)とは、世話すること。配慮・気配り、手入れ・メンテナンスのことを意味しています。

同業他社のホームページを良く調べてみると、実に多くのライバルが、枚挙の暇も無いほど、多様なサービスを行っていることがわかります。

 

 「商売熱心」と言う言葉がありますが、お客様に対するちょっとした心遣いを具体的な仕事にしたケア・サービスケア・ビジネスは、中小企業の持ち味を発揮するのに最も適した経営戦略(サービス戦略)なのかもしれません。

 

( 平成25419日 )         ©公認会計士 井出事務所