マイペースの落とし穴

 

経営者、部長・課長といった管理職の方であろうと、一般社員であっても、皆さん立場は違えど、毎日、自分のペース(スピード感)・自分のスタイル・自分の仕事のやり方で仕事をしています。自分なりに、できる範囲内で頑張る自分のスタイル、無理の無いレベル、自分のペースで仕事をしているものです。

 

あまり意識されていないことですが、多くの人は、自身のキャリアの中で、頑張って何とか仕事のやり方を覚え、感覚的に自分スタイルを身につけていきます。

しかしながら、こと仕事に関する限り、この「マイペース」という言葉は、あまり良い意味で使われることが少ないような気がします。「彼は、マイペースだから」という表現には、会社の一員、職場の一員としては「チョッとチョッと」のイメージがあるように思います。

 

マイペース派の人は、細かいことは余り気にしないし、周りのことも気になりません。何処の会社にもいるような、このマイペースな人達。今、ここで彼等の良し悪しについて語るつもりはありません。

ここでお伝えしたいことは、似たようなことが、小さな会社の経営、ビジネスのやり方にも当てはまるのではないか、ということです。

 

そこで、思い出すことは、数年前にお手伝いさせていただいたアパレル会社(以下D社)の営業部長の言葉です。当社の営業は、総じて御用聞き的な動き方が主流であり、ここから脱皮していこうという動きは現場にはありません」とのことでした。この方は取引先から、D社の営業を立て直すために、スカウトされて入った人で、当時、この会社の営業現場の実態に困惑されていました。

 

D社のように、現場がこれまでの仕事のやり方に慣れっこになっていると「今の営業手法に大きな問題は無い。ライバル会社も同じようなやり方をしているだけ。今のやり方のままでも十分通用する」といった勘違いをしてしまいます。

この他にも、D社には困った話がありました。それは、お客様のクレームは「営業の方で巧く処理して欲しい」などと、勝手な社内論理を優先する体質があることです。まさに、相手のこと、周りのことは気にしない。細かいことは気にならない。といった、この会社のマイペースな体質です。

仕事のやり方が現場任せ・担当者任せになっているような会社ではありがちなことと言えるでしょう。このような好ましくない状況のままでは業績を伸ばすことは難しいと思います。

 

どのような会社にも、その会社独自の営業体質ともいうべき営業スタイル、営業のやり方があります。

しかしながら、時代の流れに合わせて営業手法も提案型のスタイルに変えていかなければなりません。待ちの営業から脱皮しなければ、会社の数字は右肩下がりになるばかりです。これまでに沁みついた営業スタイルを転換できなければ、この先通用しないでしょう。経営は、その現実を、深く受け止めるべきだと思います。

 

小さな会社では「当社の看板商品やセールスポイントが見当たらない。将来の先行きが読めない」といった声をよく耳にします。そのような不安を感じるのは、もしかすると、現状の古い営業スタイルやマイペースな経営に原因があるのかもしれません。これまで良しとしてきた当社のマイペースなやり方がビジネスにとって裏目に出ていないか、悪しき体質になっていないか。トップは十分に注意すべきです。

 

 

 (令和3131日 )         Ⓒ 公認会計士 井出事務所