中小企業が伸び悩む原因とその本質

 

 営業をはじめとして色々と手を尽くしているが新規が伸びない。提案が通らない。あるいは、リピートの取りこぼしが多いといように結果が伴わない。各部署共頑張っているけどでも、現場の業務レベルがなかなか向上しない。

会社が伸び悩んでいる。そう思っている経営者の方は多いと思います。

どうすれば、もっと仕事をとれるようになるのか。何をすれば、今の問題点を解決できるのか。それがわからない。打つべき手が見えない。行き詰った感がある。会社経営には、そういう時期が必ずあるものです。

 まさに、会社としての我慢の為所。成長への関門、分岐点といえるでしょう。中小企業の売上規模で言うと、業種に関わらず、売上が6億、7億あたりの処で頭打ちになっている会社が実に多いように思います。

 それとは別に、10億、次に30億というところに大きな成長の壁があります。それらの会社に共通する問題が現状から脱皮する経営のポイントと言えるでしょう。

 

 新しいことにチャレンジしても思うような成果が得られない。このような時、経営者の頭を最も悩ませることは「何が悪いのか」その原因がわからない。当社の戦略の「どこが拙いのか。どのような手を打てば上手くいくのか」そこに気づけない。「戦略を成功させるには、どうすれば良いのか」迷ってしまうことでしょう。

 このような行き詰まった状況を打開するには、今一度、原点に立ち返えることが大切です。これまでのやり方が通用しなくなっているのではないか 営業の提案力や工場の技術力のような現場の実行力に問題がある。だから大きな壁に突き当たっている。そう考えるのが経営のひとつの常套手段です。

 ところが、残念なことに、そういった会社ほど、現場が「お客様の求める当たり前のレベルの仕事ができていない」ことに気付けません。

 何か新しいやり方、手段は無いか。新製品、新サービス、新商品、新技術といった新しい切り口の方ばかりに目が向き過ぎています

 いくら優れた製品や技術を開発したとしても、その良さをお客様に伝えるべき営業の力が足りなければ意味がありません。いくら好感度の高いサービスを企画できても、それを実際にお客様に提供できなければ、笊で水をすくうようなものです。

 例えば、ホームページの活用というネット戦略が功を奏し、新規開拓や新規受注に大きな成果があったという話は余り聞こえてきません。あるいは、取引先の海外進出に伴って出した在外子会社の経営が順調にいっているという話も、まず耳にしません。「皆やっている。遅れをとってはならない」的なブームに乗った物真似は上手く行かないものです。戦略を成功させるための掘り下げが足りないからです。

 

頭打ちの状況から抜け出せない会社は、往々にして「今時、時代遅れといわれても仕方の無いような仕事のやり方をしています。いつまでたっても現場レベルでの仕事のやり方や内容が進歩していません。

営業で言うと「積極的な提案が無い。納期を守れない。見積り・在庫・納期等の回答が遅い。こちらの要望が正確に伝わっていない」等々、業種に関わらずどこの会社にでも当てはまる取引先へのちょっとした不満や些細なクレームがあります。このような事実を見過ごしておいて、業績の向上などありえません。

即ち、中小企業の成長戦略が上手くいかない。その原因の多くは、戦略というよりもむしろそれを実行する“現場の実行力”に最大の問題があると考えた方がよいでしょう。

しかしながら、なかなか実際には、経営は、商品を販売する営業の仕方やサービスを提供する“現場の実行力”のことまで頭が回りません。「灯台、元暗し」の諺の通り、当社の足元にまで眼が行き届かないものです。

このような状況のままでは、次なる一手は見えてこないでしょう。お客様と直接接している現場の状況を経営が見落としているからです。

 

経営が行き詰まっていると感じたときは、ここを原点にして、今一度、成長戦略を練るべきです。

 即ち、お客様の眼線にあった仕事ができる現場なのか。現時点で、当社が確実にできることは何か。現場の業務ノウハウの有無やその優劣など、客観的な事実を見極めるクールな視点が経営には求められます。

 業界内でトップクラスのノウハウ、スキルを持っているのか。それとも、マアマア、そこそこのレベルでしかないのか。競争力の有無。ライバルに勝てること。負けていること。その実態、その実情を素直に受け入れていくことが求められます。

 あらゆるビジネスノウハウやスキルは基本的なことの積み重ねで成り立っています。仕事の基本やできて当たり前のことがシッカリとできること。それこそが“成長の基盤”土台に他なりません。

 自社の至らない点を素直に認める強さがある。それは、まさにその会社にとっての大きな強みに他なりません。

 一方、成長のきっかけを掴めない会社は、現実を受け入れる気持ちの強さに欠けます。それでも当社は“業界で中堅レベル、世間並み”という処で満足しています。「頑張っているけど仕方が無い」という言い訳が先に来ます。 さらにもう一つ上を目指そうという意欲が足りません。その事実を認められないところに、本質的な伸び悩みの原因があるように思います。

 

( 平成27716日 )         Ⓒ 公認会計士 井出 事務所    

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