「商売熱心」と「仕事熱心」

 

 色々な会社の研修やコンサルティングのお手伝いをさせていただいて感じることは、日本には仕事熱心な人が多くいる会社が多いということです。

しかしながら、それが商売熱心につながっているかというと残念ながら難しいと思います。仕事熱心イコール商売熱心ではありませんそのことに、経営者も現場の責任者も、十分気をつけなければいけないと思います。

皆さんも経験があると思いますが、コンビニのレジで待たされることがあります。ところが横を見ると、バイトの人が一生懸命棚に商品を並べています。彼の仕事振りは本人的には仕事熱心であるかもしれません。でも、お客様からすると、とても商売熱心とは言えません。

「もっと状況を見て動けないの」というのが本音です。ですから混んだ時は「レジお願いします」という言葉をかけることで対応しているところが多いと思います。その声を掛けるルールを作って対応することこそ、商売熱心を心がけるお店の仕組みだと思います。

 

商売はお客様に贔屓されて成り立つものです。だから、いくら現場の一人一人が一生懸命に自分の仕事をやっていても、それが顧客の評価や信頼につながるものでなければ商売繁盛にはなりません。自分勝手な思いの中で頑張っているだけでは、ビジネスにはならないのです。社員全員が顧客の方を向いて仕事をしていなければ商売は広がっていかないでしょう。

仕事熱心と商売熱心を勘違いしていると、いつの間にか、お客様との間に温度差が生まれてきます。そして、それは確実に経営数値の低下になって表れてきます。

コンビニのレジの例のように、商売熱心な会社は常にお客様に顔を向けて仕事をしています。いつもお客様の立場で考えて仕事をしています。だから、お客様から選ばれるのです。

顧客の信頼を高めるような改善や改革を忘れない。お客様に喜ばれるようなサービスを実施している。何処よりも対応のスピードが速い。いつも工夫をしている。こちらから前向きに提案することにより、顧客のニーズそのものを呼び起こしていくような商売のやり方をしています。魅力ある製品の開発を怠らない。

このように、あらゆる現場の仕事を顧客の求めるやり方、内容、レベル、スピードに変えていく。それが、会社を成長させるポイントです。

その一方、取引先からの仕事をこなすので手一杯。目先の仕事、自分の会社のことしか見えていない会社が多いのも事実です。社員は皆一生懸命に自分の仕事をしている。けれども、仕事に出来不出来がある。

仕事のレベルにばらつきが多い。スピード感が足りない。自社として出来る限りの努力をしているがミスが多い。クレームが減らない。品質的に難がある。納期を守れない。

それでは、顧客の視点からすれば困ったものでしかありません。このような状況では、得意先から商売に身が入っていないと言われても仕方がないでしょう。よく「ウチは商売上手ではないから」という会社がありますが、それとは全く違う次元の話だと思います。いくら仕事熱心であっても、顧客の方を向いて仕事をしていないと、気付かないうちに商売不熱心な会社になってしまいます。

厳しい状況のもとではただ待っているだけでは仕事はやってきません。 お客様から言われた商品を納品する。お客様から求められるサービスを提供するだけでは、この先、生き残ることさえ難しいと思います。

 仕事は取引先から来るものではありません。こちらから提案して創るものです。

さて、皆さんの会社は商売熱心な仕事のやり方をしているでしょうか。

 

 ( 平成26129日 )         ©公認会計士 井出事務所