営業部門の現状分析(その2)

 業務改革で、一番難しいのは営業部門だと思います。工場や管理部門は、社内であるため、その動き方の良し悪しが自然と眼に入ります。ですから、その実態を客観的な視点でチェックすることができます。

 ところが営業の仕事は「仕事が訪問先で行われること」「取引先によって実情が違う。状況が異なること」という特徴があります。その為、客観的な仕事の内容やその動きの実態が掴みにくく、現状分析が主観的になりやすい傾向があります。その結果、現状分析の内容、その後の改善策がどうしても自己都合のものになってしまいがちです。取引先の視点、相手の立場に立ってシビアに営業のあり方を検討することが、とても難しいものです。自社の仕事のやり方の良し悪しについて客観的に見れないからです。 

  

全国のデパート、セレクトショップを取引先にするアパレル業の ㈱門倉は、社内で現状分析を行った後、コンサルティング会社に依頼してこの自社の

営業の実態について、取引先にアンケート調査を行いました。

営業部門の現状分析(その1)参照 下記の内容は、その際の取引先の㈱門倉の営業へのコメントです。

1.主力ブランドであるCKLEにおける一押し商品の絞込みと、創りこみが

  甘い。

2.ライバル製品に比して、色・柄のコントラストが共に弱く、特徴が曖昧で

  目立たない商品になっている。  

3.提案内容の良し悪し以前に、こちらから催促しないと提案が出てこない。

4.提案を持ってくるタイミング自体が遅い。提案内容にしても、ありふれて

  いて、月並みなものばかりでお粗末ものが多い。

5.提案内容のレベルがバラつく。完成度が低い。バリエーションが少ない。

6.色・柄とも、売れ筋商品の分析が不十分で、売れ筋がいつも欠品する。

7.在庫確認等、問い合わせの回答が遅い。その内容がはっきりない。 

 その内容を見てみると、社内の現状分析の内容とかなりかけ離れたものになっていることがわかります。お客様からすれば、何故、今更このようなことをコメントしなければならないのか。意味が分からないというのが本音でしょう。全てできていて当たり前のことばかりだからです。

 口にこそ出しませんが、取引先はいつも出入りしている営業を評価しています。取引先のコメントが、もし上記のような内容、評価であったなら数字を伸ばすのは厳しい状況だと思います。

あまりにも、営業の基本的な部分が出来ていないからです。

 

 営業の仕事には、お客様の求める「仕事のやり方」があります。そのことを、忘れてはいけません。先方が「仕事ができるね」と思うようなやり方、内容があるのです。彼らが納得するレベルや認めるセンスもあるでしょう。

数字の取れる営業は、相手の要望に適ったやり方が自然にできるのです。

逆に、なかなか仕事を取れない営業は、そのレベルが先方の合格ラインに達していないからだと思います。お客様の求める「仕事のやり方」ができていないと考えた方が良いでしょう。

 

営業の仕事にとって「不用意・不注意・不手際、準備不足」は大敵です。「遅い。間違い。ハッキリしない」は論外です。「ツイツイ。ウッカリ」のような言い訳は通じません。「詰めが甘い。仕方が無い」では済みません。

これらは、訪問先の不快感や不満に直結するからです。全く通用しないレベルといえるでしょう。

こういう基本を疎かにして、こちらの話を聞いてくれない。話が前に進まないというのはおかしいと思います。ところが残念なことに「営業の基本の大切さ」そのことを本当に理解している営業はそう多くはありません。

 

 全てが担当任せになっていると、こういうことが起きやすいものです。

ひとりひとりが日々の流れで仕事をしている限り、営業は仕事を取れるようにならないでしょう。もし、貴方の会社がこのような状況であるならば、営業体制の見直しが必要だと思います。

各担当者の力を引き出すには、訪問目的の明確化、訪問活動のスケジュール管理、商談内容や提案内容のチェックのような「営業の基本」が徹底できる仕組みを創ることが大切です。

しっかりとした部下の管理体制は、またしっかりとした指導体制でもあります。取り立てて優れているという感じではないけれど「卒のない仕事ができる営業」は、やはり「強い営業」と言えます。

 

 ( 平成25年 6月 24 日 )      ©公認会計士 井出事務所