大願成就は小願成就の積み重ね

 

 皆さん「大願成就」と言う言葉はご存知でしょう。大望が叶うこと。大きな目標や達成できたことです。

  私共は、セミナーで、よく「大願成就は小願成就の積み重ね」というお話をさせていただきます。「ローマは一日にして成らず」の例えとおり、大きな目的(希望)や目標は長年の努力なくしては達成することはできないものです。ところが、その結果に至る過程において、必ずや、乗り越えなければならない難問や難題がいくつかあります。その時点で見れば、それらは何としてでも解決しなければならない当面の目標でもあります。

 ところが、人も会社も、もう一つ上を目指すといった目標をもって仕事をしていないと、意外と気付けないことが沢山あります。本来、もっとレベルアップしなければならないことが、なかなか頭に浮かんできません。

   自身の仕事の意味や狙いを、余り深く考えることなく、これまでの流れの中で、ただ仕事をしているからです。

 

アパレル業をお手伝いさせていただいた時の事例を紹介します。このようなビジネスでは、毎年、季節ごとに新商品を企画し販売するので、一年間の業務サイクル、タイム・スケジュールがほぼ業界内で決まっています。

ところが「今年も春夏物の商品企画の時期になりました」みたいな年中行事的な仕事のやり方をしているようでは、商品戦略の成功は難しいでしょう。

 ただ一定の期日までに目先の仕事を終わらせることばかりに気が向いて、仕事の内容がマンネリ化しているからです。そこに「ヒット商品を生み出す。主力ブランドを確立する。業績を伸ばす」といった戦略的な視点や経営的な観点は希薄なものでしかりません。

 

その結果は「パッとしない商品。商品の創り込みが甘い。商品コンセプトがハッキリしない」といったお客様の厳しい声になって表われてきます。当然の如く、数字の状況もジリ貧になって現状維持が精一杯という感じになってしまいます。

無論、商品企画の担当者は手を抜いているわけではなく、それなりに一所懸命に頑張っています。ただ、彼ら動きをよく見ていると、いつも通りのやり方で、毎年恒例の「商品企画」「販促キャンペーン企画」と言った感じで仕事をしていることに気付きます。そこに、当初の商品コンセプトを貫くとか、何としてでも大当たり(商品)を目指すとか、徹底したこだわりを感じません。

 毎年、同じことを繰り返していると、知らず知らずのうちに、仕事のやり方がワンパターンになってしまいます。それでは、いつまでたっても会社を成長させるようなヒット商品は生まれてきません。

 競争力のある商品。即ち、お客様から選ばれる商品を創るには、もうひとつ高いレベルで商品企画を捉えることが欠かせません。今まで以上にシビアな視点で、新商品創りに取り組むべきだと思います。

 

新商品を作る際には、そのたたき台となる試作品を必ずいくつか作ります。その仕上がり度具合を見て、何度か、デザイン()や色合い、コントラスト等の手直しをし、その都度、品質の完成度を高めて商品化していきます。

当然、その際のチェックがシビアな程、クオリティーの高い商品ができます。逆に、その段階での詰めが甘いと良い商品はできあがりません。

また、何回手(修正)を加えるかによっても最終仕上がりに優劣が出てきます。商品企画の最大のポイントは「妥協しない商品創り」なのです。

 

この業界では、毎年二回、取引先を招いて新作展示会を開催しますが、商品企画の成否のひとつの分岐点になるのは、そこでの評判です。つまり「試作品レベルでの完成度」が重要なのです。

 要するに、商品企画を成功させるためには、展示会時点での「試作品の完成度を高めること」を、ひとつの目標にして“生地見本の織出⇒ 生地見本の修正⇒ 生地見本の再織出⇒ 試作品の修正”という打つべき手をシッカリと打つべきです。そのプロセスは“試作品の修正を繰り返し、その完成度を高める”といった、細かな仕事(目標達成)の繰り返しに他なりません。まさに小願成就の積み重ねと言っても良いでしょう。

 

( 平成291026日 )       Ⓒ 公認会計士 井出 事務所