小さな会社の業務改革(事例⑦ 改革の工程管理)

 

 

業務改革の最終段階は改革案の実行段階です。業務改革の進め方のフローチャートによれば、フェーズ4の「改革の工程表の作成」とフェーズ5の「改革の工程管理」に当たるプロセスです。

 

不良ゼロを目指す改革の流れを順調に進めるには、その工程表を作成し、それを元に改革が「どれ位進んでいるのか。どれ程上手くいっているのか」その進み具合をチェックするため計画表が作ることが欠かせません。いつまでに、新しいやり方を定着させるのか。一定の期日を定め、その実行レベルを定期的に確かめるための計画とも言えるでしょう。

  

改革というと、何か難しいことのように聞こえますが、一言で言うなら「仕事のやり方を、より効率的な方法に変える」ことに他なりません。

ところが、実際には掛け声だけで何も変わらずに終わってしまう会社が少なくありません。社内でも、一度決めたことが、何となくウヤムヤになってしまうことや、いつの間にか立ち消えてしまうようなことが多くあるでしょう。「三日坊主」という言葉がありますが、それは人も職場や会社のような組織も変わりありません。

 

誰しも人は、マイペースで仕事をすることを好みます。自分のやり方やスタイルを変えることに抵抗感を覚えます。たとえ、これまでやり方に多少の難があっても、やり慣れた方法の方が単にやり易いからです。

    改革とは、正に会社や現場の体質の改善であり、これまでのやり方を捨て、悪習から脱皮することです。それ故「新しいやり方に変える。新たな体制で臨む」ということは、そう簡単なことではありません。

「決意」という言葉を使うと大袈裟かも知れませんが、それ程、強い気持ちを持って取り組んでいかないと、部署の改革は成功しないと思います。

 

新しいやり方を定着させる。それこそが改革の狙いであり、これからが改革の本番になります。そのためには、厳しいようですが「やった。やらない」「できた。できなかった」その線引きを明らかにすべきです。

 そのためには、改革の「定期点検」が欠かせません。「ひとつひとつの仕事のやり方」その良し悪しにけじめをつけることが大切です。それこそが「改革の工程管理」が求められる理由です。

  

かねてより紹介しているカレーやスープ類等の業務用調味食品を製造している平塚食品工業では「洗浄不良を無くすことで不良品を出さないこと」と「A洗浄のスピード・アップ」を最初の改革テーマにしました。

 A洗浄とは大型の調理機器で、わざわざ機械のパーツを取り外して、スクリューの裏側等汚れの落ちにくい細かな部分まで丁寧に洗浄する作業です。これまでは、機器ごとの担当制で仕事をしていましたが、それを改め、A洗浄については、複数の人員で協力して実施することにしました。

 

 そうすることで、ひとつは「洗浄の際のチェック漏れを無くし洗浄不良を無くすこと」もう一つは「洗浄時間をスピードアップし、確実に当日中に洗浄を終えること」を改革テーマにしました。無論、洗浄に要する目標所要時間も決めました。

  さらに、A洗浄に関わらず、この新たな洗浄体制・方法について、作業内容と実施時間に関わる(業務)日報の作成を現場に義務づけました。そして、この日報を元に、毎週「作業中の不手際は無かったか。機械清掃のチェック漏れは無いか。等々、作業内容の良し悪し」について反省会を開くようにしました。実は、改革の工程管理は、この毎週の反省会を開くことが最も重要なポイントです。

  これまでの担当者任せのやり方から、皆で仕事のやり方の良し悪しについて話合う場を設け、そこから「もっと、こういう点に注意した方が良い」といった、次週に向けての改善点を拾い出すようにしたのです。

 

すると、現場からの提案で、洗浄不良をゼロにするために、シャメで汚れの落ちにくい部分を撮り「こういう汚れがある。見落とさないで」という小さなポスターを作って各機械の横に張り出すようになりました。

  地道な取り組みが功を奏し、数ヶ月を過ぎるころには、これまで不注意によるミスや不手際が、大分無くなるようになりました。

  

 工程管理と言うと、どうしても「やった。やらない」「目標を達成できた。できなかった」という結果ばかりに目が向きます。しかし、一番大切なことは、その結果や事実を受けて「この先、どのように仕事のやり方を変えれば上手くいくのか。目標を達成できるのか」日々、頭を使って仕事をすることです。

  そういう現場の動きが出るかどうかがその成功の分岐点になります。逆に、現場が改革の狙いを十分に理解せず、ただ「やらされ感覚」だけで動いていると、掛け声だけの改革で終わってしまいがちです。

 

この会社の反省会のように、改革の工程管理を通して現場からの改善提案が出てくるような「仕組み」を創ること。定期的に「現状の仕事のやり方の良し悪し」について検討し、改善策を練る場を設けること。

  ある意味、それこそが、改革の「真の狙い」だと思います。

 

( 令和元年 6月20日 )        Ⓒ 公認会計士 井出事務所

  

▶ 関連項目 :現状の仕事の良し悪しについて話し合う

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