小さな会社の業務改革(事例⑥ 問題の解決策の見つけ方

  

    業務改革の第三プロセスは、解決すべき問題のやり方、その方法を明らかにすることです。いくら、職場として対処すべき問題点が明らかになっても、その具体的な解決策が見つからなければ意味がありません。

 ところが実際には「言うは易し、行うは難し」の格言の通り「問題だ。問題だ」と言うメンバーは多くても、残念なことに、その問題を自ら解決しようとする人はあまりいないものです。

 多くの人は、現実に妥協して「仕様が無い」と諦めてしまうか。皆、一所懸命に頑張っているので仕方が無いと言い訳をして、その問題とシッカリと向かい合うことを避けてしまいがちです。あるいは「それは自分がやることではない」と、その問題をまるで他人事のように思ってしまうこともあるでしょう。それが多くの会社の実情だと思います。

 

 そのひとつの理由が「どのようにして、その問題を解決するのか」その対策・方法がわからないことです。

 職場メンバー誰しもが「今の仕事のやり方では拙い。うまくいかない。効率が低い」そう思っていても「では、今のやり方を具体的にどのように変えるのか」それがわからなければ何も変わりません。

 

 当ホームぺ-ジでは、これまで、いくつかの業種、職種に関わる問題解決の方策を捜し方の事例を紹介してきました。問題の解決策の見つけ方は、以下のコラムを参考にしていただきたいと思います。

 

 「会社の目指す正しいスキル」「正しいスキルを学ぶ」

 「正しいスキルを学ぶ(営業編)」「チャーハン検定に学ぶ」

 「職場の問題解決:解決策の見つけ方(隠れた成功要因)」

 「職場の問題解決:解決策の見つけ方(その2)」

 「職場の問題解決:解決策の見つけ方(その3)」

 

 これらの例に、共通する内容は、いずれも会社(職場)として「基本的な仕事のやり方のルール(マニュアル)」を明確にすることです。

 つまり、ある意味、問題の解決策を見つけるということは、会社が期待する標準作業(内容)や標準(作業)時間をハッキリさせることに他なりません。

 特に「注意してやらなければいけないことが明確になっているか。具体的になっているか」その点が有効な解決策であるかどうかのポイントになります。

 

 今回の事例となる平塚食品工業のケースでは、特に「(生産終了後の)調理機器の洗浄方法」と「基準となるその作業時間」が大きな問題であることが、

クレームゼロ運動の会議の場で確認されました。まさに、この作業内容に関して、会社(工場)としての明確な決まり事(職場ルール)がありませんでした。それ故、同じ内容の仕事でありながら、担当者によって、そのやり方が違っていました。その結果が、各担当のレベル差、スピード差という実行力のバラツキです。

 前述の文言に従えば、会社が求める標準作業(内容)とそれにかかる標準(作業)時間が不明確だったのです。

 食品を生産する営む会社にとって、調理(生産)機器の洗浄は、生産業務そのものではありませんが「品質の良否」と「生産効率」に直結する、とても重要な作業です。

 優れた品質をキープする。効率の良い生産をする。そのためには、段取りの段階から、細かな注意を忘れないことが求められます。それを確実に実行できるよう、この会社では、機械の洗浄方法について、以下のルールを決め、報告書にて、その実施状況の是非について週単位で確認するようにしました。

 その狙いは、複数人数(最多3人)で実施することにより、スピードアップと洗浄漏れの見落としを無くすこと。日報を書くことで、担当者の意識を高め、そのスキルアップにつなげること。その二つです。

 

1.A洗浄(パーツを取り外して洗剤で洗う)は、必ず当日中に実施する。

2.A洗浄は、複数人数で実施する。

  (当日の生産計画でヘルプ要員を調整する)

2.A洗浄の標準作業時間は、1時間とする。

  (日報に担当者・作業時間を明記)

3.(調理機器)号機ごとに毎日、作業日報を作成し、週単位で改善方法の

  検討を行う。

 

 実際の生産現場で、ここまで細かな作業ルールを決める会社は少ないと思います。ほとんどの場合「今まで以上に細かな点に注意する」といった精神論的な解決策で良しとするケースが普通でしょう。

 しかしながら、そのようなやり方では、掛け声だけの業務改善で終わってしまうことが多いように思います。担当者任せの改善策は、実施すべき内容に具体性がなく、その実施に十分な責任感が伴わないからです。

「職場の問題解決」や「業務改善」を成功させるには、単に具体的な解決策・改善策を明らかにするだけでなく、その内容を実行に移すための新たな「職場のルール創り」が欠かせません。

 

 ( 令和元年 5月14日 )      © 公認会計士 井出事務所