当たり前のことができる会社になる(その3 注意や確認を忘れない)

 

成長する会社の条件に「卒のない仕事ができる」ことがあります。手落ち、手抜かりのない仕事ができる。つまり「当たり前のこと」が徹底されている会社です。職場内での連絡事項や仕事上の注意事項について、お互いの共通認識がシッカリと取れている。日々の仕事の細かな注意点を確かめる仕組みがあります。

 

東京スカイツリーができて、もう1年半になりますが、開業前に、NHKが「スカイツリーができるまで」という番組を何週間かに渡って放送していました。この番組の冒頭のシーンは毎回決まっています。

現場監督が出て来て、作業員に、その日の工程とそれに関わる具体的な注意事項を手短に話すという下りです。その最初の何分かの説明を聴くだけで、その日の番組の内容がわかります。

一見、何気ないシーンですが、上司が毎朝部下にその日にやるべき仕事の内容とその注意点を伝えると言うことは、実際にはとても難しいことです。

建設業や製造業など、ちょっとした不注意が大きな事故につながる現場があります。このような仕事に関わる職場では、上司が日々当たり前のことのように仕事上の注意事項について念を押しています。

また、その他の連絡事項についても、念には念をで、毎日、確めることが徹底されています。これらが、一日の仕事の始まりの如く、毎朝欠かさずに行われています。

このような現場と同じように、卒のない仕事ができる会社は「確かめる」という仕事の慣わしがあります。朝礼や始礼を通して、仕事上の注意点を日々徹底しています。だから、職場のメンバーは、決して、その内容を覚えていないとは言えません。ツイツイ、ウッカリのような言い訳も効かないでしょう。このようにして、彼らは、仕事のチェックポイントをシッカリと頭に叩き込まれています。

だから、会社としての仕事の軸がブレない。一人一人の業務レベルがキープできるのです。このように見てみると、朝礼はまさに「仕事の品質管理」の仕組みとも言えるでしょう。

 

 一方、多くの中小企業で見かけることは、全ての仕事を現場任せ、担当者任せにしていることです。そのため、人によって仕事のやり方や進め方が違います。当たり前のことができる人とできない人がいる。

 一人一人に自身のやり方やスタイルがあり、自分のペースや都合を優先して仕事をしています。

現場の担当は、常に目先の仕事に追われています。ひとつひとつ注意して仕事をするよりも、手続き的に仕事をすることに慣れてしまっています。

彼らの頭にある最優先事項は、要領よく仕事をすること。手早く仕事を終えることだけです。

仕事をする際に「何が、当たり前のことなのか。何処に注意すべきなのか」考える間もなく動いています。「どのようなやり方が当たり前の仕事のやり方なのか」そんなことを思い悩む時間はありません。

それ故、できて然るべきことができていない。本来、やるべきことをやっていないなど、プロ意識に欠ける処が目立ちます。

まして、上司の指示を守る。ちょっとした連絡や報告を欠かさない。報告書の提出書類の期日のような職場のルールを守ることなどは、特別大切なこととは思っていません。これらが仕事の基本中の基本といえることと、わかっていますが、その一方で、小さなこと些細なことでしかないとも思っています。

 

 職場が、担当者任せの仕事になっていると、人によって仕事のレベルがマチマチです。職場内での業務レベルにバラツキが目立ち、全体的な業務内容にムラがあります。現場の動きがバラバラになっていてまとまっていない感じがします。このような状態では、現場の実行力や業務レベルをレベルアップすることは難しいでしょう。これが会社が伸び悩む大きな原因のひとつです。

多くの会社の現状を、よく考えてみると「当たり前のことを徹底する」ということは、そんなに簡単なことではありません。だからこそ、そこに会社の業務レベルの差が出るのです。

 

毎日、朝礼をして細かな指示を徹底するよう努力している。ところが、いつまでたっても、ちょっとした不注意や些細なミス、手違い、不手際、行き届きが無くならない。そう嘆いている上長の方は多いと思います。

ところが、そう言う人達の話をその場で良く聞いていると「ちゃんとやってください」とか「シッカリやってください。各自注意してください」のような注意内容がハッキリしない伝え方をしているものです。

 いくら口が酸っぱくなるまで注意をしても、このような抽象的な言葉だけでは効果はありません。どんな仕事も同じですが、手続き的に注意を促すだけでは、掛け声を掛けるだけで終わってしまいます。

 だから、現場の各担当者に細かな注意が行き届かない。当たり前のことができるようにならないのです。

朝礼や始令を意味あるものにするには、話の仕方に注意や工夫が求められます。できるだけ具体的に伝えることが必要です。細かな指示、注意を忘れないことなど、上司がもっと頭を使わなければなりません。

 時には、逆に部下に訊くことも必要でしょう。毎日、部下に「自分が注意しなければならないことを」問いかけるやり方もあります。たかが、今日の仕事の注意かもしれませんが、実際にやろうとすると、かなり高いハードルのように思います。

 

職場の一人一人が「当たり前のこと」をできるようにする。基本的なことを疎かにしない。小さな注意、確認を忘れない。それは、各担当のやる気や責任感の問題だけではないように思います。

 それには、まず上長が動くことです。上司がやらなこと、出来ないことは、部下はやろうとしません。まず手本を示すことが必要です。

そうしないと、当たり前のこと、仕事の基本は徹底できないと思います。

 また「何が当たり前のこと。当たり前のやり方なのか」そのこと自体を、上司の方が、今一度、頭の中で整理してまとめることが必要だと思います。

 

( 平成2611月8日 )          ©公認会計士 井出事務所