当たり前のことに徹する  ( 持ち味を磨く3つの切り口 その2 )

どのような業界にも「少なくとも、これだけはできていなくてはいけない。絶対に守らなければならない」基本中の基本と言われるような仕事のやり方があります。スーパーのような小売業なら「商品には必ず値札を付ける。棚に欠品の無いようにする。皆で声を出して活気のある売り場にする」など昔から言われていることです。

 ところが、実際皆さんがお客様として買い物に行った時、どれくらいのお店がこのことを徹底できているでしょうか。品数が豊富で、いつも商品が綺麗に並んでいる。いつ行っても活気がある。このようなお店は、現実には余り多くは無いと思います。基本的なこととは言え、実際にやろうとすると毎日やっていても、なかなかできるようにはならないものです。

 基本的なこと。当たり前のことが、できている店よりもできていない店の方が現実的には多いのではないでしょうか。当たり前のことを徹底することはそれくらい難しいことです。 

    

メーカーであるならば、不良品が全く無い。不良ゼロが当たり前のレベルで品質管理が行き届いている。商品違い、数量違いのような誤納がない。

納期に遅れない。約束の時間に遅刻しないような遅納がないことも、お客様の立場からすれば、今ではできて当たり前のことだと思います。

しかし、色々と注意はしているが、何かしらのミスやトラブルが現場で起きてしまい完璧に実行することはなかなか難しいものです。

ですから「当たり前のことを徹底すること」も立派なセールスポイントになるのです。そんなことが「売りになるのか」と思うことでも、実際セールスポイントになることは多くあります。

一見簡単なことのようでも、実際にやるとなるとかなり難しいことだからです。何処の会社にでも出来そうで出来ないことは沢山あります。そこに目を向ければ、自ずと他社との差別化ができます。

 

 他のビジネスにも目を向けてみましょう。最近は自転車の修理、靴の修理

服のお直しなど、いわゆる、リペアー・ビジネスも盛んになってきました。そこで眼につくことは「どうして傷んでしまうのか。傷みやすい箇所やその原因」に始まって「何故そのような修理をするのか。修理の手順や直し方、直す際の注意事項」をこと細かに説明することです。全てのモノが修理可能な訳ではありません。修理できるモノと出来ないモノ。直せることと直せないことがある。それを納得していただくことも大切です。

新しいモノを買うのではなく、修理してでも古いモノを使いたいと思うのは「大切にしたい」という持ち主のそのモノへの愛着に他なりません。

その思いに応えるためには、それ相応の技術と気配りが求められます。

ただ元通りに直すだけではお客様の満足を勝ち得ることは難しいのです。

 

リペアー・ビジネスを成功させるには、新品を作るのと何ら変わらない手間隙をかける。「お直し、修理」という仕事の意味合いを丁寧に顧客に伝えなければなりません。お客様への「説明責任」も大切な仕事の一部です。

これも、一見当たり前のことのようですが、実際にやるとなると意外と難しいことではないでしょうか。

 

 次は、店舗営業の一例を挙げて見ましょう。ある居酒屋さんで、厨房の近くの席に座った時に気付いたことがあります。オーダーを伝える際に、ホールの担当者が「ファーストドリンクです。ファーストフードです」と声を掛けています。客の思いからすると、最初の一杯、一品が出てくるのが遅いとどうしてもイライラしてしまいます。逆に、最初の一杯目、一品目がすぐ出てくると、それだけで何となく良い感じを持つものです。

見方を換えれば、それくらい速くでてくるお店が少ないのだと思います。

 

居酒屋さんに限らず、それくらい仕事のスピード感は大切です。昨今の店舗営業の現場では、お客様を待たせることイコール、サービスが悪い。クレームの元になってしまうからです。

要するに「ファーストドリンク。ファーストフード」という言葉は「先に出してください。急いでください」というその店の合言葉なのです。お客様へのちょっとした気配りがお店の仕組みになると、このような仕事のやり方になります。何気ないことのようですが、お客様の気持ちを良く考えて仕事をしていないと、案外気付けないことなのかもしれません。

コンビニで「レジお願いします」と声を掛けるのも同じ仕組みです。

 

皆さんの会社にも「できて当たり前のことだけど難しいこと」があると思います。御社では、どのようなことが当てはまるでしょうか。仕方が無いと決めつけているような仕事のやり方はありませんか。到底、無理と諦めているような社内の常識があるかもしれません。

でも、もしそれを打ち破ることができれば、それはきっと御社のセールスポイントのひとつになるに違いありません。顧客から見ると「やっぱり~社は違う。細かなことまで行き届いている。卒が無い。シッカリしている」という立派な差別化要因になります。

 

( 平成25年 4月 13日 )         ©公認会計士 井出事務所