当社の持ち味を活かす

全ての会社に「当社の持ち味」というものがあります。小回りの利くサービス、小まめな対応など、大きい会社では難しい中小企業ならではのサービスを実施している会社は珍しくありません。

どんな会社にも、得意なこと、得意分野(技術、取り扱い商品)があります。これまでコツコツと地道に力を入れてやってきたことがあります。他社は敬遠するけれども当社には苦にならないこともあるものです。

 

酒屋さんでも、焼酎の品揃えが豊富な処、日本酒に強いお店があります。今ではワイン専門店も珍しくありません。一口に酒屋さんと言っても、その品揃えを良く見てみると、実に様々な店創りのバリエーションがあります。言い換えると、必ずや、何かしらその店の特徴や個性があるものです。

例えば焼酎であっても、芋、麦、蕎麦など素材によって同じ焼酎とは思えないほど味が違います。ですから、芋に力を入れているお店があれば、麦の種類の多いところ、蕎麦が強いというお店もあるでしょう。要は、当店の売りは何処にあるのか。看板商品となる一押し商品は何か。主力商品は何か。

ビジネスにおいては、そこがハッキリしていることが大切です。

言い換えると、ニッチマーケットの専門店になることかもしれません。「今、力を入れている商品。これまで力を注いできたこと」それこそが、そのお店の持ち味、特徴、個性を表しています。

 そして、それこそが「差別化要因」「独自性」「専門性」「得意分野」というような経営戦略の根っ子になるものです。

「当社の持ち味(特徴、個性)」これを磨いて自社のセールポイント(強み)にする。当社を覚えていただく材料を創る。持ち味やこだわり自体を商材にする。それが自社の「持ち味を活かす」ことに他なりません。それこそが自社をアピールする最も適切な材料であり、中小企業の経営戦略の原点ではないでしょうか。

 

町場の酒屋さんには、ビール、焼酎、日本酒、ワインとお酒は何でも揃っているかもしれません。しかし、ちょっとお酒にこだわるお客様には、どれも物足りない商品、代わり映えの無い品揃えに写ります。何処の店にでもあるようなありきたりの商品しか置いていない。お目当てになる看板商品が見当たらないからです。

これでは、わざわざその店に足を運ぶ意味がありません。彼らにしてみれば「何でも揃っているは何にも無い」に等しいのです。逆に、その店にしかない「特別な一品」があれば遠くからでも来てくれる時代です。

昨今のお客様は「ハッキリしないこと」は受け入れようとはしません。

いくら頑張っていても「一所懸命」や「誠心誠意」だけでは他店との違いはわかりません。だからこそ、今、力を入れている商品はどれか。一押し商品は何か。それを明確にすること。そこが営業的には欠かせません。即ち、商売のポイントになってきます。

 総花的な品揃え。漠然としたディスプレイのように、曖昧なビジネスは最早通用しない時代なのです。

 

ところが実際には、この町の酒屋さんと同じように、思いの外、当社の特徴である持ち味や個性がハッキリしていない会社が多いのではないでしょうか。自社製品のセールスポイント、独自の技術、サービスと言い切れるものが見つからない。ビジネスの核になる看板商品、主力商品が見当たらない。だから、業界の中での立ち位置や居場所が見えてこない処が多いように思います。

逆に、折角優れた製品や技術、サービスのような他社には無い持ち味や独自性を持っていながら自社の良さ、特徴に気付いていない企業も沢山あるでしょう。

 

自身の会社を次なる業績向上のステップに進めるには、今の持ち味に磨きをかけて自社のセールスポイントを創ることが鉄則です。

 当社の「強み・弱み」「機会(ビジネスチャンス)・脅威(リスク)」という視点からビジネスの方向性を探るもの一考です。しかし、中小企業においては、もっと自社の製品(商品)やサービスに関心を持つ。これまでよりも顧客の視点で自社の仕事のやり方を見直す。そこをたたき台にして、当社の売りになるセールスポイントを一つ一つ積み上げていく方が堅実な考え方だと思います。

 

「人並み、ソコソコ」では通用しない時代だからこそ「当社が、これまで何に力を注いできたのか。こだわってきたのか。今、何に力を入れているのか」あるいは、他社より「何が得意なのか。何処に自信を持っているのか。何が優れているのか。何に気を使って仕事をしているのか」等々、今まで以上に自社の良い所(魅力)に目を向けることが必要だと思います。

だからこそ、当社の特徴である「持ち味」を、もう一度見つめ直すことが欠かせないのです。

 

 (平成25313日)          ©公認会計士 井出事務所