戦略会議、作戦会議の活用法

 

 「当社をどのようにして成長させるのか」毎年、幹部社員や現場リーダーが集まって会社の将来や商売の先行きについて話し合う。あるいは、毎年決算前に当社の経営状態について共通認識を取り「来期は、どのようにして業績を伸ばすのか」今後の方策について、彼らと意見を交換しながら、その作戦を練る。どのような規模の会社であっても、このような場を設けることは、企業経営とって、とても意味のあることだと思います。

 

ある程度会社の規模が大きくなると、社長一人では全ての状況を見通せるものではありません。取引先の細かな動きや具体的な周囲の状況が良くわからないことがあります。このような状況の下で、経営者一人で会社の成長戦略や売上増進を練っても、それは独り相撲の戦略、独断の作戦になりがちです。

中小企業の多くは、社長一人が頑張って会社を切り盛りしています。

「どうすれば売上が伸びるのか」自身で売上伸長を考え、いつも最前線で陣頭指揮をし、時には現場で一担当者として動かなければなりません。

そういう事情もあり、ワンマン経営の会社はどうしても社長の想いだけが先走りしてしまいます。本来であるならば十分に検討しなければならない戦略や作戦の内容が、社長のひらめき、思いつきのレベルで止まってしまいます。だから、実際のビジネスの成功に上手くつながりません。

 

ある食品会社のセールスキャンペーンの一例をみてみましょう。自社製品に景品をつける販促戦略は、社長の鶴の一声で決まりました。ところが、営業の現場からすると、まず販促品そのものに魅力がない。最近のお客様は目が肥えていて彼らが欲しくなるような魅力のある景品でないと評判にはならない。だから、実施しても大きな効果は期待できないとの声が多く上がりました。

売上を伸ばしたいのは現場も同じです。彼らからすれば小手先のセールスキャンペーンよりも、どうしてもっと現実的な商品戦略に目が向かないのか。そちらの方が不思議です。「パッケージが目立たないから売れない」それが、いつも営業が取引先から言われていることです。少しでも棚で目立つパッケージに変えて欲しい。その方が営業としても仕事がし易いし、実際売上拡大に寄与すると思う。販促キャンペーンよりもパッケージを含めた商品そのものの改良の方を優先すべき、それが現場の考えでした。

ワンマン経営に対して、現場の責任者が一番反発するのは現場の事情を無視することです。何の相談も無く社長が勝手に何でも決めてしまう。この会社も、現場を交えてキャンペーンを成功させる条件について話し合うことさえありませんでした。このようなビジネスの進め方をしている限りは、上手く行くはずの販促戦略も失敗してしまいます。最終的な決定は社長がするにしても、その内容を練って固めていく段階では、できるだけ多くの角度から検討を加えた方が望ましいと思います。

 

一人で何でもできる人など滅多にいません。そこで、幹部社員や管理者を巻き込んで戦略や作戦を練ることも一考です。そうやって、現場の新たな業務ノウハウを開発しながら現場の実行力を高めていくことが望ましいと思います。「経営の仕組み」として会議をもっと上手く活用することを考えるべきです。

戦略は社長個人の思いつきやひらめきであってはなりません。会社としてのシッカリとした考えとしてまとめるべきです。的を射た戦略なのか、的外れな戦略なのか。成功するする見込みはどれ位あるのか。成功の決め手は何か。はたまた、現実的に当社の現有勢力で実行できるものなのかどうか。

できるだけ色々な角度から、その成功の可能性を確かめてみるべきでしょう。

それには、複数意見による、より客観的な判断であったり、より堅実な意思決定の方が望ましいと思います。社長個人の思い込みや判断は、見方を変えれば、ひとつのリスクでもあります。企業経営は、そのリスクをできるだけ排除した慎重な経営判断であるべきです。

経営を成功に導くには、現実的で総合的な判断が求められます。その意思決定の適否は、ビジネスの現況なり、事実関係をできるだけ正確に掴めるか、あるいは客観的な状況分析によるところが大きいでしょう。

的確に状況を読む。状況の見落としや盲点が無いようにする。的確な判断力による処が大きいかと思います。

そのためにも、戦略会議や作戦会議に経営幹部や現場リーダーを参加させて、経営を進めるべきです。長い目で見ると、それが会社の組織力を高めることに確実につながります。そこの辺りのビジネスに対する考え方が、社長一人の個人会社と組織力の有る企業の違いではないでしょうか。

 

 ( 平成25118日 )        ©公認会計士 井出事務所 

 

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