「気配り」 も商品のうち

 

お金さえあれば何でも手に入る今の時代、買い物客の目は一段とシビアさを増しています。彼らが、チェックしているのは「商品の品揃え、品質、価格」だけではありません。お店の好感度、レジの対応力、スピードも選択肢の一つになっています。

私が住んでいる都心近郊の街には、JRの駅に隣接して4店舗のスーパーがあります。

① 全国区の大手スーパー

② 首都圏中心に展開する中堅スーパー

③ 駅構内のショッピング・センターに出店しているスーパー

④ ちょっとお値段高めの地場のスーパー      の4店です。

各々、品揃えや価格帯の特徴が異なり、お買い物をする人は、そのお店の常連さんもいれば、買うものによってお店を選んでいる人もいます。

この4つのスーパーで、私が一番強く感じることは、各お店のお客様に接する方針の違いです。それは、何処かというと「レジの対応、スピード」です。 

レジの数もさることながらその対応力にかなりの差があります。②と③のスーパーは、レジのレーンも多く、加えてレジに若い人しかいません。

特に、②のスーパーでは、ひとつのレジにお客様が集中しないよう、担当者が「3番カウンター、すいています」と、いつも大きな声で来店者に呼びかけています。また、テキパキとスピード感のある対応に加え、必ず笑顔で「お待たせしました」と一声かけていることには感心します。

その一方、真逆な対応をしているのが、①の大手スーパーです。ただでさえ、客数が多いのに、レジの数も少なく、担当者はパートと思われる人達ばかりです。一目で不慣れなことがわかる手つきでレジの仕事をこなしています。お客様からすると、当然「待たせる」「遅い」という感覚を持たざるをえません。

今の時代「待たせない」ことは、お客様にとって欠かせないサービスのひとつです。店舗の差別化に繋がる重要な戦略でもあります。それが、業界最大手の会社には分からないようです。昨今、スーパー業界は、安売り競争の薄利多売のビジネスモデルが通用しなくなり、利益を出すことが難しくなっています。それ故、経営が人件費の圧縮に捉われるのは仕方のないことかもしれません。しかし、それが客離れの原因ともなるレジ対応に繋がってしまうようでは困ったものです。 

 

実際、④の地場スーパーは、他と比べて、売り場もそう広くはないので、多少値段が高くとも他店には置いていない良いものを揃えるような商売をしています。また、客層が高齢者中心であることを受けて、レジではお客様に一言声を掛けるような対応を心がけています。

スーパーでの、お店とお客様の接点の中心はレジです。気持ち良くお買い物をしていただくために「いつも笑顔で挨拶をする」「お客様を名前でお呼びする」「すいません。お待たせしました」といった、さりげない接客は、お店の好感度を高める絶好の機会です。それは、また常連さんを囲い込むための常套手段のひとつでもあります。人は誰しも親切な人、感じの良い人、愛想の良い人、朗らかな人を好みます。何気ない言葉を交わすちょっとした触れあいも、ご来店いただくきっかけになります。

「感じの良いお店。気持ちよく買い物が出来る店」に共通することは「お店に足を運んでいただいて有難う。お買い上げいただいて有難うございます」そういったお客様への細かな心配りを感じることです。

 

ただ、そのことに気付いていないお店が多くあるのも事実です。街の商店街やお店が減っているのは「安売り」や「値段」といった売ることばかりに気が向いて、このような商売の原点を見失っているからかもしれません。

商売の“イロハのイ”でありながら、バイトやパートが現場の主力になっているロー・コスト経営では「接客サービス」が軽視されてきたのも事実でしょう。

今や、お客様への「気配り。目配り」は商品の一部になっています。お客様の来店頻度を高める集客戦略の一環として捉える時代になっているのです。

 

( 平成281020日 )        Ⓒ 公認会計士 井出 事務所  

 

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