現場の実行力を高める仕組みが成長力の土台になる

業種に関わらず業容をコンスタントに伸ばせる会社の共通点のひとつは、仕事のやり方や内容を時代の流れに合わせて変えていけることです。

営業の提案力、サービス業のサービス内容、レベルなど勝てる業務ノウハウを会社が持っています。それが最先端、最新の方法でなくとも業界内で十分通用するレベルの仕事ができます。つまり、現場の実行力を支える組織力のある会社です。

逆に、伸び悩む会社は、往々にして現場の実行力に問題があります。会社として日々の注意事項を徹底するよう努力はしていますが、小さなミスやトラブルが無くなりません。現場はいつまでたっても相変わらずの状況です。一年前と比べてレベルアップしたとか、進歩した感がありません。

昨日の反省を上手く今日の仕事に活かせない。このような現実を繰り返すばかりです。そのひとつの原因が、仕事を担当者任せにしていることではないでしょうか。

残念なことに、中小企業の多くは、一人一人がレベルの高い仕事をできるようにする仕事の仕組み。現場の業務レベルを向上させる業務改善を進める職場の仕組みがありません。かなり厳しい表現をするならば、ベテラン作業員が集まって日々の仕事をしているだけの会社になっています。

担当者任せの弊害について、以下、ちょっとまとめてみました。

 

1.仕事のレベルが、その担当者次第   

 ほとんどのビジネスマンは、一担当者として日々の仕事に追われています。自分の仕事で手一杯です。与えられた仕事をこなすだけでもパンクしそう。少しでもレベルの高い仕事をするよりも、少しでも速く終わらせたい。

それが本音の人がほとんどかもしれません。今日の仕事の出来不出来、その良し悪しについて振り返る余裕もありません。それは、管理者たる上司も同じことです。部下の動きまで眼が行き届きません。

だから、ちょっと眼を離すと部下たちはすぐ勝手な動きをします。

その結果、担当者によって仕事のやり方がバラバラで、その内容やレベルもマチマチになっています。

シビアな見方をすれば、それは全員何が正しいやり方なのか、何が最も効率的な方法なのか。それがわからないまま、各人「我流」のやり方で仕事をしていることになります。皆が、ただ自分ができるやり方、自分のスタイル、やり慣れた方法、自分のペースで仕事をしいるだけだからです。

 

2.その仕事に求められる業務ノウハウやスキル(技術)が進歩しない。

 今時「会社の成長のために頑張ろう」と思って仕事する社員など数少なくなりました。滅私奉公という言葉は、最早死語です。時代の流れと共に仕事のやり方もドンドン変わっていきます。

社からすると、仕事のレベルが低い。やり方が時代遅れになっている。

できることしか、やろうとしない。目先のことしか、やらない。いつまでたっても現状維持が精一杯。そう感じることが沢山あります。

 ところが、現場の担当者は、そんなことはついぞ頭に浮かびません。日々、一生懸命頑張っている。ただ、それだけです。だから、一通りの処で仕事を覚えて、そこで一人前の仕事が出来ると錯覚しています。

 自分からもっとスキルアップしようとか、新しいことにチャレンジしようと思っている人の方が珍しいでしょう。だから、各人各様ワンパターンのままでノウハウやスキルが少しも進歩していないのです。

 

現場の実態、職場の実状がこのような状況では会社を伸ばしていくことは難しいでしょう。成長の土台になる現場の実行力やビジネスの軸になる業務ノウハウを高めるような仕事の仕組みがないからです。

 残念なことですが、会社の将来のことを考えて毎日仕事をする社員などいません。誰もが目先の仕事しか頭にありません。まして、今の時代にあった仕事のやり方はどのような方法なのか、考えようともしません。そんなプロ意識を持った社員などいないのです。だから、いつまでたっても職場全体の業務レベルが上がらない。時代遅れの現場になってしまうのです。

日々の仕事を通して、各担当者がよりレベルの高い仕事をできるようにするあるいは、現状の職場の問題を解決し、業務改善を進める仕組み創りをする。それは、経営が取り組むべき極めて重要な仕事です。

 それを部下である管理者や現場任せにしていては、会社が成長できるはずもありません。

定期的に仕事のやり方の良し悪しを振り返り、改善すべき点を洗い出し、それを実行する。職場のメンバー全員が一定レベルの確かな仕事が出来るように、細かな注意事項を徹底すべきです。

このような現場の実行力をレベルアップする仕組みを作る。組織力のある会社にしなければ、成長戦略の成功は難しいと思います。

確かな仕事が出来る会社になる。戦略を実行する戦力の充実。そこを原点にして成長戦略を練ることが小さな会社の基本方針です。

戦略が「絵に描いた餅」になってしまうのは、社長さんがその点を忘れているからだと思います。

 

( 平成27730日 )        Ⓒ 公認会計士 井出 事務所

 

▶関連項目:中小企業の課題と現実

      中小企業が伸び悩む原因とその本質

      仕事を担当者任せにしている限りは会社は成長しない

           OJTの限界と職場の業務改善