経営会議のやり方、その基本形

 

先回のコラム「弱みと脅威しかでてこない(社長の仕事)」で、会社を成長させるには「経営会議」を開いて、社長が会社経営に集中できる時間を作るべきだというお話をしました。自社の発展・成長を望まない経営者はいません。

しかしながら、多くの中小企業には会社を成長させる為の話し合いの場、会議の場がありません。

 当社の将来像や業績向上の具体策について話し合うと言っても、何をどう話し合って良いのか。それ自体がイメージできないという方も多いでしょう。 そこで、実際には、どのような流れで経営会議がスタートし、どのような話し合いをするのか、その内容についてみてみましょう。

 

 伸びる会社のひとつの特徴として「年に一度、各部署で社内反省会を、開いている」ことが挙げられます。

営業、工場、(サービス業なら)業務というような部署単位で、この一年間の「現状の仕事のやり方の良し悪し」と「その内容の出来不出来」「レベルの高低」を点検する場です。

 各職場の仕事として「この一年を振り返って、何がレベルアップしたのか。部署として、一年前と比べて新たに出来るようになった仕事、進歩したこと」を整理してまとめる。そういう現場毎の反省会です。

 

営業ならば、企画書をつかった提案営業が出来るようになった。値引き中心の企画書からお客様に向けて説得力のある提案書が書けるようになった。少しづつだが、ようやく新規開拓のやり方がわかってきた。

工場なら、現場内で仕事のやり方について(技術)情報を共有したり、情報交換することで不良率が低下した。細かな点まで生産計画の打ち合わせを行うようになって、外段取り等の協力体制が整い生産効率が上がった。その内容は。ITやシステム会社の開発現場も基本的に同じことです。ただ、不良がバグという言葉、生産技術が開発技術と言う言葉になり、生産効率が開発効率(時間・スピード)という言葉に置き換わっただけのことです。

  

一年間、頑張ってきて、思い通りに進んだこともあれば、努力したけれども上手くいかなかったこともあるでしょう。期待した成果が得られなかったことについては「どうして上手く行かなかったのか」その反省材料を拾うことを忘れてはいけません。それは、また次年度に向けての「宿題」であり「目標のひとつ」にすべきことに他ならないからです。重要なことは、これらの反省材料や問題点を来年に向けて活かすことです。職場の実行力のレベルアップ、現場の業務ノウハウ・スキルを高めること。ひいては、会社の実力を高めることが、毎年反省会を開く最も大きな狙いです。

 

そのためには「どうすれば、ワンランク上の仕事が出来るようになるのか。どんな点に注意すれば、仕事がもっと巧くできるようになるのか」現状の仕事のやり方や進め方に関わる問題解決策についてジックリと話し合うことが欠かせません。その具体的な改善策を突き止めることが求められます。

どんな仕事も、やりっ放しにしていては仕事のレベルアップはありえません。「自部署の問題点」イコール「改善すべき自部署のテーマ」という発想があるからこそ、各部署の業務スキルやノウハウが進歩し、会社の競争力が高まります。人も会社も、日々の地道な努力を積み重ねてこそ成長があります。

  

このように見てみると、現場の実行力を定期点検することは、必然的に会社の戦略を考えることに繋がります。ビジネスの成長と言う観点から、自社の(実行)力を客観的に見つめ直すことが求められます。

「今、自分達に出来る事できないこと(仕事の内容、レベル)。ライバルに後れを取っていること。今のやり方のままでは、この先通用しない仕事のやり方、進め方、レベル、スピード感」等、出来るだけ細かく拾い出す。

ビジネスの軸になる業務スキル優劣や現場のノウハウの有無など現場の実行力のに関わることを洗い出し、整理してまとめる。それは、まさに戦略を練るたたき台となる自社の現状分析そのものです。

成長の土台、ビジネスの核になる戦力が整っているからこそ「自社の強みを活かした戦略」が頭に浮かんできます。

 

 逆に、会社を伸ばす(経営)戦略がイメージ出来ないのは、実はその点の良否がハッキリしていないからです。自社の足下がシッカリと見えていない。だから、この先の(自社の)立ち位置もわからないのです。

もし定期的に現状の会社の実力を点検する場があれば、自ずと「場当たり的な成り行き経営」とは違った方向に進みます。つまり「経営会議」の原点は、このような社内反省会にあります。

「今ある現場の反省材料を拾い、それを活かす」そこに、少しでも「先を見て動く」「周囲を見て動く」という視点が加わると、戦略的な動きができる会社になります。よくよく考えてみると、経営会議の基本形は「会社の反省会」だと思います。

 

 ( 平成30516日 改訂 )      ©公認会計士 井出事務所

 

► 関連項目  弱みと脅威しかでてこない(社長の仕事)

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              ( その5 当社の持ち味を活かして「強み」を創る 

           会社を伸ばす仕組み戦略会議と作戦会議の活用法

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