経営会議の配布資料

 

皆さんの会社で毎月開かれている経営会議では、どのような資料が配られているでしょうか。各部署から、どのような情報・書類の提出が求められているでしょうか。 

 

① 月次決算書                       

② (月次・累計)営業実績報告書、翌月営業予測

③ メーカーなら、生産実績報告書、翌月生産計画書、

   不良品(仕損)報告書、改善実績(状況)報告書

④ IT企業やサービス業なら、開発・業務・サービス実績報告書、

   翌月開発計画書、業務改善報告書

 

一般的な事例をいくつかあげてみました。あまり意識されることはありませんが、これらの資料や書類は、会議のやり方の良し悪しを大きく左右するツールになります。何故ならば、会議の進行は当日配布された書類をベースに進められるからです。それらの資料の内容の説明から、今日の会議がスタートし、次にそのテーマ(内容)の検討へと話が進みます。しかし、その場で配られない書類の内容(テーマ)について話し合われることはないでしょう。

つまり、どのような資料が会議の場に提出されるのかによって、会議の性格が変わってくるのです。

 もし、各部署から実績報告書しか配られないのであれば、議題の内容はどうしても直近の報告が中心になってしまいます。そうなると、一番肝心なテーマである社としての今後の動き方についての話が薄いものになりがちです。

 本来であるならば求められるべき、先々に向けての議論、今後についての意見のやり取りが二の次になってしまいます。

会議の成果というのは、これまでの反省点を踏まえ、その善後策や対応策について、より踏み込んだ内容、具体的なことまで詰めてこそ意味があります。どこまで細かな点まで明らかになっているのか、経営と現場がお互いに確認することにあると思います。そこが仕事として重要な点であって、その点を曖昧にしているから社全体が前向きな動きにならないのかもしれません。

 良いことも悪しき結果も過ぎたことです。そのことよりも、むしろ「この先、何をしなければいけないのか。どう動いていくのか。具体的にどのような手を打つのか」その内容をシッカリと詰める。それこそが幹部社員として互いに知恵を絞るべきポイントだと思います。目先のことに捉われて、流れの中での場当たり的な動きにならないよう気を引き締める。先を見据えて理詰めで動けるようにすることが経営の役割だと思います。  

 

 一つの例として、生産財メーカーのS社の経営会議を紹介しましょう。

この会社では、この先3ヶ月までの数字の状況と対応策について、毎月シビアな討議が行われます。社長の大山さんが営業出身だったので、S社では、営業に「重点顧客アプローチ検討シート」の提出を求めています。このシートは、自社の主要取引先20社について、3ケ月先までの数字の見通しと今後の提案書や見積提出、受注のタイミング等、商談スケジュールとその重点ポイントを一覧表にまとめたものです。

 成り行き任せで動きがちな営業の詰めの甘さを無くすために作られている資料です。

したがって、営業部長は、この先の目標達成の見通しを示すだけでなく、その明細と営業活動の重点ポイントのタイミングや予定を経営会議で説明しなければなりません。

業種を問わず、業績(売上)が思わしくない時は、主だった取引先の取りこぼしが原因であることが多いものです。

また、取りこぼしの原因を探ってみると、受身の動き、後手に回った対応遅れといった営業の甘さや基本的なミスが重なっています。このような状況を未然に防ぐには、ビジネスのアンテナとなる営業に、常に取引先の情報を集め、先を読むスキルを身につけてもらわなければ困ります。一件一件ごとの先々の売上や主力製品の動きに気を配る感覚が求められます。そのトレーニングのためにも欠かせない資料と言えます。 

 

営業を現場任せ・担当者任せにしていると、どうしても会社としての先の数字が見え難くなります。その結果、経営会議の場は、いつも事後報告とその弁明に追われるような悪循環になってしまいます。ビジネスは、いったん後手に回ると数字を上向きに変えることは難しいものです。営業が先を見て動くような体制を作ることは経営の仕事だと思います。

SSのように、経営会議の提出資料を今後の数字の見通しについて討議する内容にすることで、会議自体をより効果のあるものに変えることができます。話し合いの材料となる資料や情報に求められる具体性や精度は、極めて重要なビジネス・ノウハウだと思います。

 

   (令和3314日)        ©公認会計士 井出 事務所