自社分析を行う際のポイント

経営戦略(計画)を立てる際、そのべ-スになるのは自社の現状分析です。ビジネスの世界はめまぐるしく変わっていきます。ただ日々の仕事を漠然とこなすだけでは会社の発展成長は期待できません。業界におけるポジションや立ち位置、特徴のような自社の状況を客観的に分析し、当社の実情を的確に理解しておく必要があります。

 営業力は強いかどうか。提案力はあるのか。メーカーなら勝てる製品、主力商品を持っているか。品質的な競争力、商品力はあるレベルか。将来の主力商品となるような製品開発は進んでいるか。ビジネスの視点で、これらの内容をチェックしなければなりません。

 ところが、これらの現状認識が甘いと「今、当社の何が問題なのか。早急に解決しなければならないテーマ何か」その現実がわからなくなってしまいます。自社分析はこのような現場の実行力のレベルを確認し、当社の競争力の有無やその優劣を確かめることとも言えるでしょう。

 

 自社の現状分析を実際にやってみると、思いの外当社の「良いところ」と「そうでない処」を明確に拾い出すことが難しいのに気付きます。

常日頃、仕事を通して感じていることが多くあるにも関わらず、実際に書き出してみると案外すぐに言葉が浮かんでこない。スンナリ書けない。

 目の前の仕事をこなすことで一杯一杯になっていると、どうしても現状の仕事のやり方の良し悪しについて考える時間がありません。ビジネスの視点で見た当社の仕事の質、レベルということをツイツイ忘れてしまいます。

だから「勝てる勝てない」「この先、通用する通用しない」もしくは「仕事の内容の良否」「業務レベルの優劣」という眼で見た自身の考えがなかなか出てきません。

 このあたりが、現状の事実関係をまとめるのに苦労する一つの理由です。当たり前のことですが、日々考えていないことは、ハッキリとした言葉になりにくいものです。それ故、直ぐにまとめられないのです。

 「危機感を持て」とはトップがよく口にする言葉です。危機感とはある意味、当社の置かれている現実を直視する現状認識力のことに他なりません。

危機感が強ければ強いほど、現実を直視し、それに備えようとするからです。事実をシビアに分析し、具体的な対策を考えようとします。

 

 しかしながら、危機感と言う抽象的な言葉だけでは「何が良くて何が上手くいっていないのか。何処に問題があるのか」その内容がハッキリしません。ここで、大切なことは、危機感をより具体的な仕事に結びつける方法です

 そこで、持たなければならないのが、現状の仕事のやり方に対する二つの考え方です。

 ひとつは、プラスの方向に向けて“目指すべきテーマ”つまり“課題”“目標”を持って仕事をする」これを「目的意識」と言います

 もう一つは「仕事上のミスやトラブル。仕事の不手際。レベルの低さ。お粗末な点」等、今困っていること。現状のマイナス要因を減らす。無くすというプラスの方向で仕事をする。これを「問題意識」と言います。

  

日々の仕事にテーマを持って取り組んでいないと、ビジネスは良い方向に進んでいきません。今の状況を良い方向に進めようと真剣に考えているからこそ、より現実の状況に対してシビアになれるのではないでしょうか。

 

しかしながら、実際に数多く散見されることは「問題なのは、重々承知しているが、現実的には仕方が無い」と、悪しき意味で現状を認めてしまうことです。また「問題だ。問題だ」と口先だけで言いつつも、それを解決しようとする努力が足りないことも多々あります。

 

 

 このように見てみると、現場レベルでの意識的な取り組みが有るか無いか。日々の仕事のあり方への「目的意識」や「問題意識」の有無が、自社分析の具体性のレベルに大きな関わりを持っていることがわかります。

 ひいては、それはトップの戦略性と大きく関わっています。もし、現状分析の内容が上手く整理できないようであるならば、会社の進むべき方向性や目標が明らかになっていないのかも知れません。

 

 (平成25年 57日)          ©公認会計士 井出事務所

 

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