SWOT分析について( その1 機会と脅威 )

 

経営戦略策定の基本的な手法としてSWOT分析があります。自社の「強み・弱み」と言う言葉を耳にしたことのある方がいると思います。まさに、そのことに他なりません。

SWOTを、直訳のまま示すと、trengthストレングス:強み) eaknessウィークネス:弱み)Opportunityオポチュニティー:機会)

hreatスレット:脅威)この4つの頭文字をとっています。

 

戦略を成功に導くには様々な経営努力が必要です。これまでのまま、従来通りのやり方で我武者羅に頑張っていればビジネスがうまく行く。業績が伸びるなら新たな戦略は不要です。今の状況が安定的でないから、現状のビジネスの先行きが不透明だから、どの会社も経営戦略が必要なのです。

そこで、SWOT分析では、当社一社の頑張りではどうにもならない「経営環境の現状、見通(外部要因)自社の努力で状況を変えられるような「戦略要因、戦力(内部要因)の二つの軸に分けて、そのマトリクス、相関関係の中から今後のビジネス対策となる経営戦略を考えていきます。

 

前者は、現在もしくは将来のビジネス環境を「ビジネスチャンスと捉えるか、リスクあるはピンチと捉えるか」という視点。

後者は、戦略発想のベースとなる「戦力の強弱」と言う視点です。いずれの視点も「機会、脅威」「強弱」という対義語である言葉で成り立っています。この四つのキーワードを元に、自社の現状の立ち位置、ポジションを確かめて、そこからビジネスの可能性、将来への成長性を探っていきます。

このようにして経営戦略を見つける手法がSWOT分析です。ところが、一口に「機会、脅威」「強み、弱み」と言っても、何のことだか良くわかりません。そこで、まずこの分析法のキーワードである、この四つの言葉の意味を探ってみましょう。

 

機会と脅威は、業界の現状や先行き等、自社の努力ではどうにもならないビジネス環境の動向について検討するものです。例えば、少子高齢化の時代と言われて久しくなりますが、このような時代の流れを変えることはできません。の他にも、働く女性や一人暮らし(高齢者・若年層共) の増加のような世の中の動きも同じことです。これらの避けることできない社会の流れこそ、お客様のニーズの変化です。

一方、医療や福祉のような、これからの成長分野もあれば、印刷や予備校のような衰退分野もあります。居酒屋業界やファッション・ビジネスのように、昔から成熟産業といわれながら、無くならない不滅の商売もあります。その業界によって、将来の展望は異なります。

勝ち組・負け組という言葉は、もう死語のように聞こえますが、実際にはあらゆるビジネス、業界内でこの先も淘汰が進んでいるのが現実だと思います。 

その業種、ビジネスのトレンドに合わせて商売のやり方を変える。業界の流れに沿って仕事のやり方を変えていく。その時代に合ったビジネス・モデル(商売のやり方・仕事のやり方)を創る。それが経営の仕事です。

 

そこで、経営環境の現状や今後の見通しを、どのように受け止めるのか。これから先の業界の先行きをどう読むか。それを、機会という視点、脅威という視点に分けて考えてみるのがSWOT分析の手法です。

 

単に「機会」というと、わかり難いと思いますが、要は当社のビジネスに追い風になるようなプラスの材料、好機(チャンス)と考えていただければ良いと思います。いわゆる、好機到来の機会のことです。当社、当業界にとってビジネス・チャンスに思えることです。

あるIT業界の人曰く、フェイスブックやラインのようなSNSの進化は、無料の広告媒体が増えたことと思えば大きなビジネス・チャンスに繋がる可能性がある。ネット・ビジネスでも、HPやメールしか無い時代、スマホが今のように普及していない時代とは全く違うとのことでした。要は、地域産業・地場ビジネスほど、口コミ・ツールとしてのSNSの活用法と可能性があると、彼は主張しています。

 

逆に「脅威」と言うのは、当社のビジネスに逆風になるようなマイナス材料のことです。客離れが止まらない、主力商品のリピートが取れないなど、明らかにピンチといえる事実があります。TTPに関連する業界のように、このままだと先細りとかジリ貧になるような危機感を感じる状況もあると思います。今は良くても、現在の主力商品、売れ筋商品がこのまま伸びるとは限りません。まだまだ小さな動きだけど、新サービスを売りにして台頭してきたニュー・ウエイブの存在など、この先確実に対応を迫られるような潜在的なリスク。

提案力や企画力を武器にして虎視眈々と上を目指しているライバルの動きのような将来的に備えるべきリスクもあります。ビジネスにリスクやピンチは付きものです。備えあれば憂いなしの例えの通り、将来に備えるためにも、このような現実的に想定できるマイナス要因をリストアップし、対策を立てておくことが求められます。

 

経営判断の軸、戦略を決める鍵になるのは「これから先の状況をどのように捉えるのか」そこにかかっています。現状や将来を悲観的に受け止めるとチャンスを逃すことになります。逆に、楽観的に構えすぎると成功するものも失敗しやすいと言えるでしょう。

要は、現在の状況、即ち実際の事実関係を客観的に捉えることが大切です。業界のトレンド、時流をシッカリと摑むことが欠かせません。その中から自社にとってプラスの材料とマイナス材料を的確に洗い出すこと。

それが今後の活路を開く戦略を見つけるポイントになるからです。

先を読んで、先手に仕掛ける。将来の状況に対応するためにビジネスのやり方、仕事のやり方を変える。それこそが、経営戦略の狙いです。

 

( 平成26826日 )      ©公認会計士 井出事務所


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