SWOT分析について( その5 当社の持ち味を活かして「強み」を創る )

 

「ネット化が進んだ今、経営環境の厳しさの原因のひとつに「お客様の選択眼がシビア」になっていることがあります。細かいことを気にする。そういうお客様が増えています。

一言でいうと、ありふれた商品、代わり映えのしない製品には眼が向きません。はっきりとした当社製品の売りや特徴、セールスポイントが明確でないと、お買い上げいただくことが難しいのが今の時代です。

これから先は、自社のセールスポイントや当社の持ち味がハッキリしている会社にならないと、生き残っていくのが厳しいかもしれません。

要するに、ビジネスをしていく上で売りになる独自性(オリジナリティー)や専門性、得意分野など「当社の強み」が求められる時代です。

 

 とは言いつつ、実際に具体的な強みを持っている会社は多くはありません。「セールスポイント。そんなものが、うちにあれば苦労しませんよ」とは、ある社長の言葉ですが、成る程、正にその通りだと思います。

しかしながら、よくよく考えてみると、何処の会社にも、何かしらの長所や持ち味は、必ずあるものです。だから、現在の取引先とお付き合いがズーッと続いているのだと思います。

自社内では、なかなか気付かない特徴、長所を探し出す。それこそが「当社の強み」を創る起点になります。

そのためにも、自社の持ち味を見けることが大切です。

 

普段から意識してないと、わからないことですが、大手にできない小回り感、きめ細かな対応力。素早い対応のようなスピ-ド感。あるいは、他社が敬遠する面倒な仕事、引き受けようとしない手間の掛かる仕事を「苦にしない」というのは、中小企業の大きな強み(差別化要因)です。

また、企画力や開発力など、新しいことや特別なことはできないけれど「一定レベルの仕事なら任せて安心。仕事が手堅い」というのも一つの持ち味、長所だと思います。システム業界では、「納期が守れる」それだけで、いまだに大きな差別化要因になります。

この他にも、社風として「前向き発想ができる。チャレンジ精神がある」と言えるなら、これも立派な強みといえるでしょう。今は、ハッキリした強みといえるものは無くとも、将来的な可能性や潜在的に秘めたものを感じさせるからです。実際、社歴の浅い会社、若い人が多い会社というのは、何かエネルギッシュなパワーを感じます。

 変化というチャンスに前向きにチャレンジする姿勢こそ、最も強力な「強み」といえるかも知れません。

その一方、いくら、チャレンジ精神が旺盛でも「上手く行かなかった」とすぐに諦めてしまうような体質では、いつまでたってもチャンスは摑めません。いくら良いビジネスのアイデアであっても、それを実現するには人知れない数多くの苦労が必要です。経営には「我慢強い。しぶとい。根気強い。凹まない。打たれ強い」という側面も求められます。社風や会社の体質にこれらの言葉が当てはまるなら、それもかなり有望な強みと言えるでしょう。

 

いずれにしても、今は、具体的な強み、売りがない仕方が無いと手を拱いていても意味がありません。頭を切り換えて、このような具体的な強みを新たに築いていかなければ会社の成長は期待できません。新しいセールスポイントを創らなければビジネスの広がりは望めないでしょう。

これらの持ち味、特徴、長所、体質を活かして、当社の強みにする。それが経営戦略に他なりません。折角、自社の強みやセールスポイントになり得る優れた「持ち味」を持っていても、それを活かすことに腰が引けるようだと弱みになってしまいます。気後れしてチャレンジしないのでは宝の持ち腐れで終わってしまいます。

 

明確な売りのある会社、はっきりとしたセールポイントのある会社は、ただ一生懸命に頑張ってきたから、今がある訳ではありません。色々と悩み抜いて、様々なことを考えてやってきたからこそ「現在の強み」があります。

「石の上にも三年」という言葉がありますが、それは他社よりも頭を使い努力を積み重ねてきたご褒美です。目標を持ってビジネスをやってきた成果だと思います。

独自のノウハウ・技術力・サービス力のような強みは戦略を通して身につけるものです。そこにチャレンジテーマを持つ意味。戦略を練る狙いがあります。そこには経営の強い意志があります。何気なく日々の仕事をこなしているだけでは、そこに一日の長は生まれません。戦略があるから、そこに他社をリードする強みができるのです。

 考えてみると「戦略」と「戦力」の関係は「鶏が先か卵が先か」という議論と同じことかも知れません。メビウスの帯のように表裏一体の関係になっているのだと思います。

 

 ( 平成26929日 )          ©公認会計士 井出事務所

 

  ► 関連項目  SWOT分析について( その4 強みと弱み )

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