提案営業のクロージングに向けての注意事項

 

 商談の終盤戦は、提案を行い、受注成約という成果を勝ち取っていくための最終段階です。提案営業の核になるのは、言うまでもなく「提案内容」です。コンペで安定的な勝率を上げるには「企画内容の充実」と「プレゼンテーションの巧拙」が課題となります。提案内容がシッカリとしていれば、必然的にプレゼンテーションも上手く行くものです。そこで、提案営業のクロージングに向けて注意すべきいくつかのポイントをまとめてみました。 

 

 まず、提案営業で注意すべきことは「勝てる提案」の意味です。「勝てる提案」それは相手が納得する「的を得た提案」だということです。だから選ばれる可能性が高い。先方が期待するのは当社の事情を汲んだ「的を得た提案」であって、こちらのロジックやストーリーで薦める「説得力のある提案」ではありません。先方が共感してくれるような「納得感のある提案」だから選ばれるのです。相手が望むのは「当社が望ましい方向に進む提案」であって、営業サイドが提案する企画内容とは異なります。まず、その点に注意すべきでしょう。

 

 二つめのポイントは、提案内容の質、レベルの問題です。提案営業の現場では、他社と差別化できる独自性とかオリジナリティーがないとコンペでは戦えません。ところが、実際には「提案内容が抽象的で具体性に欠ける。曖昧な部分が多く煮詰めが足りない。切り口がこれまで通り、ワンパターン。他社と内容が代わり映えがしない」このような小言を提案先から頂戴している会社が少なくないように思います。これは、プレゼンテーションの巧拙の問題ではなく企画内容そのものの問題です。 

 曖昧なこと。ハッキリとしていないことは通用しない時代です。提案してもコンペの勝率が低い、受注に至らないのは、このような、企画内容そのものが物足りないケースが一番多いと思います。

 

HP作成会社の料理店への提案内容を例に挙げるならば、そのお店のシンボルとなる「自慢料理の特徴」を上手く惹き出すような企画提案が欠かせません。よく見かけるようなメニュー紹介だけのありふれたHPから、そのお店の自慢の一品を中心にして多くの魅力を惹き出すことが求められます。

そこで、そのお店が他店よりもこだわってやっていること。手間を掛けてやっている調理法や仕事の内容、手を抜かないでやっているような下仕事のやり方を探し出し、そこをクローズアップして提案内容をまとめてみることも一つの方法です。他店とは異なる斬新な切り口でセールスポイントとなる情報を発信することが成功への糸口になります。

いずれにしても、企画の内容が「なかなか、そこまで考えが及ばない」と言うレベルまでクライアントの立ち場で内容を煮詰めるべきです。手間を惜しまないで考え抜く。それが、差別化できる企画提案には欠かせない要因でしょう。

 

三つめのポイントは、プレゼンテーションの場での注意事項です。

ここでも、気を付けるべきことがいくつかあります。そのひとつは、わかりやすく説明することです。プレゼンは、こちらの提案内容をアピールすることが目的ではありません。ビジネスは、先方が受け入れてこそ成り立つものです。

良し悪しを判断するのは、あくまで取引先です。決定権は向こうにあることを忘れてはなりません。ですから、プレゼンテーションの場でも一方的に語るのではなく、相手が受け取りやすいように伝えることが重要なポイントになってきます。

 もうひとつは「こういう点を改善すればもっとレベルアップできます」というポジティブ・アプローチの進め方が大切です。先方が聴きたいのは、自社が良くなることであって、自社の問題点ではありません。

ところが、ソルーション型の提案だと「こういう点が問題です。こういう点に改善すべき余地があります」というネガティブ・アプローチを採る人がいます。これらの点を履き違えてしまうと、コンペの勝率はどうしても低くなってしまいます。

 

 最後のポイントは提案書の書き方についてです。提案営業の場合、提案書自体が重要な商品です。そのことを忘れてはいけません。企画書や提案書の内容が他社のものと比べて見劣りするようでは困ったものです。

 良く見かける問題は、提案書および企画内容自体が、業界の一般的なレベルに達していないことです。提案書を一目見た段階で仕事が雑と思われてしまうと、その後もう相手にされなくなってしまいます。これでは勝負になりません。

ですから、企画書のビジュアル性や記述内容・文章表現については、少なくとも十分な配慮をすべきでしょう。提案内容を説明するには、できるだけハッキリとした表現、具体的な言葉を遣うことが大切です。

そうすることで、提案の趣旨なりその内容がより明確になるからです。曖昧な表現や抽象的な言葉を遣うと、どうしても提案の内容そのものがボケてしまいやすく、他社と差別化しにくい提案になってしまうからです。

 

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