営業幹部が「頭に入れておくべき数字」

 

営業幹部(部長)として「頭に入れておかなければならない数字、データは何ですか」と問われた時に、貴方は咄嗟に、いくつの数値(データ)が思い浮かびますか。それが貴方の予算管理能力と言っても、ほぼ間違いないでしょう。何故ならば、それこそが現場の責任者として、いつも意識している数字だからです。

ベンチャー企業では良く見かける光景ですが、担当者別の営業目標と実績が、直ぐわかるようにグラフにして壁に貼り出している会社があります。

その是非はともかく、間違いなく言えることは、個人成績をオープンにしている会社の方が営業マンの数字への意識が高いものです。

一担当者にも部長にも同じことが言えます。普段から意識していないことは結果に結びつきにくいのです。

営業には、何としてでも、攻略すべき得意先。是が非でも達成しなければならない数字があります。死守しなければならない数字、絶対に実績を落とせない得意先もあるでしょう。

数字を伸ばせる営業部長は、いつもこのような数字に神経を使っています。見方を変えれば、それが今期の営業戦略のターゲット(目標値)、商売の的になるからです。

そこで、本コラムでは「予算管理の基本」になる。つまり「目標設定、達成のたたき台になる数字」について、今一度、復習をしておきたいと思います。

 

1.稼ぎ頭を覚える

営業予算管理のベースになるのは「重点顧客管理」の考え方です。簡単に言うと、商売の軸になる大口取引先や主力商品の動きをシッカリと押さていけば、おおよその数字は読めるということです。

どの会社にも「大口取引先(重点顧客)」と「主力商品(重点商品)」があります。そして、売上のほとんど、大半をそこで稼いでいるものです。大口取引先や主力商品で、取引(売上)総額のおおよそ三分の2から四分の3を稼ぐと言うデータがあります。 

*会社によって、その数値が異なるので自社のデータを頭に入れておく 

営業部長として、頭に入れておくべき基本中の基本のデータは「主要得意先の実績(売上額、出荷量)」と「主力商品の実績(売上額、出荷量)」でしょう。「稼ぎ頭」になっている主要得意先とその売上額、主力商品とその売上額は確実に覚えておいて欲しいものです。

何故ならば、それらの数値が今期の予算達成の軸になる数字だからです。「伸ばす。死守する。落とす」の基準になるデータでもあります。

予算管理の考え方を、一言で言うと「前年実績に対する足し算と引き算」でしかありません。これらの数字(売上、出荷量)がシッカリと頭に入っているから、今年度のプラス分とマイナス分の検討ができます。今期の目標と実績はこの数字をベースにして新規顧客分と新商品分を加えて調整して行きます。

また、新商品については、既存顧客内での積み増しの可能性を検討する一方で、既存商品との入れ替え分を考慮しなければなりません。

 

2.利幅を覚える ( 稼ぎ頭と儲け頭の違い )

どの業界も同じですが、通常、商品や製品によって利幅(粗利)や利益率が異なります。そして、売れ筋商品が利幅の取れるものではないことも一緒だと思います。稼ぎ頭の商品イコール儲け頭であるとは限りません。

売上さえ伸びていれば利益も増えているような時代は、当の昔に過ぎ去りました。今や「利益管理の徹底」なくして会社の成長はありえません。

今どき「営業成績」とは、売上ではなく「粗利額」のことです。

そこで、欠かせないのが、採算性の良し悪しの基準となる利幅、粗利のチェックの仕方です。

そのためには、まず自社の商()品、個々の利幅(利益率)はシッカリと頭に入れておかなければなりません。また、全社的な商品構成比及び取引先個々の商品構成も覚えておくべきでしょう。

昨今はスーパー業界も、従来の薄利多売商法型と裕福層向けの高級路線型に分かれてきました。このような業界を取引先にする食品業では取引先の二分化傾向が見られます。利幅の少ない商品を数多く納品している取引先と、数量的には左程多くないがシッカリと利益の取れるおいしい商品がメインになっている客先です。両者では納品する商品と商品構成が必然的に異なってきます。ビジネスにも「傾向と対策」と言う言葉が当てはまります。

営業として大切なことは、同じ100万円の儲け(粗利)を得るにも、その意味合いが違うことを良く理解すべきです。

このように考えて見ると「商品ごとの利幅(利益率)」と「全社的な商品構成比」は、今後の営業戦略、商品戦略に大きな影響を与える極めて重要なデータです。

 

3.月次の売上額と確保すべき粗利額を覚える 

営業部長なら覚えておくべきマストアイテムと言える大切な数字が、もうひとつあります。それは、毎月々の「実績(売上額、粗利額)です。

 今期の数字を読むには、主要顧客、大口得意先の「毎月々の前年実績」は、忘れてはならないデータと言えるでしょう。

「業績の好不調」の判断に「目標達成の可否、達成度合い」の見極めに欠かせないデータだからです。

数字を伸ばせる会社は「仕掛けのタイミングが早い」という特徴があります。まして、前年よりも実績を積み増ししたいと思うなら、前倒しに数字を取っていきたいものです。期末近くの一発大逆転に期待していては目標の達成など、到底覚束ないでしょう。

それには、他社と差別化できるような「サービス提案(対策)を先手先手に仕掛けていかなければなりません。そうすれば、先方のリアクションから現状のアプローチ法で「いける、いけない」ということが早目に察知できます。前年(前月)より「どれくらい上積みできるできない」と言う実績の先読みができます。

 

戦略を数字で語れる営業幹部は、このような目標を達成するキーになる数字やデータがシッカリと頭に入っています。彼らは、いつも、その数字にいつもピリピリしています。営業努力の成果が、その数字になるべきだからです。その一方彼らは、これらの数字をベースにして実績を積上げていく術をマスターしています。「商売の的」の絞り込み方を知っています。だから、最終的な数字をまとめることができるのだと思います。

 

 ( 平成26727日 )         ©公認会計士 井出事務所   

 

関連項目 ► 戦略を数字で語れる営業幹部

         戦略を数字で語れる営業幹部(その2)「予算管理の基本」   

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