戦略を数字で語れる営業幹部

 

仕事ができる人の条件の一つに「数字に強い」と言うことがあります。世界の経営の共通言語は数字です。ビジネスは最終的に経営成績と言う数字に行き着きます。だから、同じ頑張るにしてもただ闇雲に頑張るのではなく、目標なり基準となる数字を、常に頭に入れて仕事をしている人とそうでない人では当然その結果に差が出てきます。

 中小企業の経営者で、経理のことは良くわからないが妙に数字に強い方がいます。彼らは商売感覚として押さえておかなければならない数字は何かと言うことを良く知っています。数字で経営を語れる人です。

確かにビジネスは数字という結果が全てです。しかし、経理知識や決算書の読み方がわからなければ経営ができないというものでもありません。

 要は、商売に必要な数字は何かと言う問題だと思います。

数字に強い経営者は、それをどう活用すれば良いのか。まさにそのことを良く知っている人達です。


 では経営として、どのような数字を頭の中に入れておかなければならないのでしょうか。それは最終的な決算書上の経営成績ではありません。日々の仕事を進める上で、頭にいれておくべき数字です。日常のビジネスで、日々念頭に置くべきデータとも言えるでしょう。それは、幹部社員にも全く同じことが当てはまります。 

 一例を挙げるならば、月々の売上額、仕入額、在庫額のような数字があります。これは金額ベースの数字です。一方、主力商品の販売数、仕入数量、メーカーなら生産量、在庫数というような数量的な数字もあるでしょう。

上得意先の売上額、各仕入先の仕入額も忘れてはいけない数字です。取りこぼしてはいけない取引先、逆に取りこぼしの多いお客様の数字も大切でしょう。

 言われてみれば、確かに成る程と思う数字かもしれませんが、実際の月々のビジネスで、それを上手く活かしている上司の人達は、余り多くいらっしゃいません。わかっていても実行できない。それをどう活用して良いのかわからない方達ばかりです。

 そこで、売上目標の達成の仕方を例にして営業幹部に求められるデータの活用法を見てみましょう。

 

 戦略を数字で語れる営業幹部即ち、数字を読める営業幹部に他なりません。彼らは、まず最初に「どのようにして売上を伸ばすのか。何処で数字をとるのか」営業戦略の基本構想を頭の中で描きます。

得意先の業績の推移をよく見ていれば、伸び白のある会社があれば、もう一杯一杯で厳しいところもあるでしょう。全ての取引先がターゲットという訳にはいきません。また、その大きさは取引先によって異なります。 

営業戦略のたたき台になるのは、既存顧客の実績数値(売上実績)をベースにしたターゲットの絞込みです

「上得意の取引先で伸ばす」という狙いもあれば「取りこぼしの多い取引先での挽回を狙う」という考え方もあります。あるいは「新規に重点を置く」という戦略もあるでしょう

そこから、既存顧客のA社は5%、S社は8%というような現実的な伸び白の可能性を検討します。

新規に関しては、具体的な数字が見込める先行きが読める見込客と不透明な訪問先に分けて考えます。

その一方で「主力商品で伸ばすのか。利幅の取れる新製品のプッシュに力を入れるのか。あと、どれくらい行けるのか。増やせるのか」商品的な数字の意味合いも検討しなければなりません。

このようにして「何処の得意先で数字を取るのか」「どの商品で稼ぐのか、儲けるのか」数字の基本的な方向性を固めて営業戦略を決めます。

要は、前年実績との「足し算」と「引き算」です。

 

売上を伸ばす。その確実性を高めるには、やはり取引先に向けて実績を積み増しするプラスアルファーの材料が必要だと思います。

工場見学や現場視察のような「取引先の関心度を高める作戦」もあれば、顧客の要望に応える「ワンストップ・サービスの提案」「購入後の保証制度の充実」等、商談を推し進めるための「他社との差別化対策」を打ち出すことが欠かせません最前線の担当を背中から後押しする具体的な作戦を社として用意すべきです。

 業績を伸ばしている会社には、月次の営業会議の他に、必ず作戦()会議という場があります。そこで、主なターゲットに向けての具体的な作戦の内容を詰めています。そのインパクトを考えながら対策を練っていれば「勝てる勝てない。通用する、しない」は何となくわかるものです。

それと同時に「どれ位、いけるのか」取引先個々の目標達成の可能性や確率も、ある程度読めます。

このようにして、営業戦略を成功させる戦略シナリオ(作戦・対策)の中身を一つ一つ具体的に詰めていきます。最後に、これらの対策を仕掛けるタイミング、実行する時期を営業計画や年間(半期・四半期)のスケジュール表に落とし込んでいきます。

 

戦略の流れ、ストーリーを語れる営業幹部は、勢いではなく、ちゃんと先を考えています。「実績数字を積み上げていくシナリオ」がイメージできます。戦略と数字をいつも表裏一体の関係で捉えています。

だから、営業を数字で語れるのです。

戦略を数字で語ると言うことは、ただ将来の実績を予測することだけではありません。勿論、結果である数字の分析することだけでもありません。これまでの実績を分析し、ビジネスの具体的な対策を打ち出すことです。そして繁忙期に向けて先手先手に仕掛けていくことだと思います。

 

( 平成26 7 7日 加筆改訂 )     ©公認会計士 井出事務所   

 

関連項目 ► 重点顧客管理の重要性営業戦略の二つの意味

       戦略を数字で語れる営業幹部(その2)「予算管理の基本」

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