提案のチャンスを掴む

 

ソルーション型の提案営業では、訪問先と同じ目線で物事を見れることが求められます。相手と同じ土俵に立つから、そこに共感が生まれ、そこから共通認識が広がっていきます。 これら双方の想いが、徐々に膨らんで、ようやく「一度、一緒に仕事をしてみよう」という気持ちになるものです。

継続訪問の次の営業ステップは、これまで積み上げてきた当社への認知度を、もう一歩進め「一度、相談してみよう」という期待感にする。

そして、そこからさらに「一度、任せてみよう」という信頼感を得ることが仕事の目的になります。商談の中盤戦の狙いは、相手ビジネスの良き理解者、良き相談相手になり、そこから「新たなるビジネス・パートナーの候補先になること」だと思います。それが提案のチャンスを掴むことだと思います。  

ここからが、営業活動の本番といえるでしょう。

 

  この段階でまずやるべき営業の仕事は、業界の事情や業務に精通した経験豊富な営業との印象を与えて先方の信用を高めることにあります。直接的なビジネスの話に入る前に、このようなこちら側の業界独自の話を仕込んでおくと、力のある会社との心象が強くなって物事が進みやすくなるからです。

相手の知りたいことを口にすれば向こうの担当者の注目度は上がります。

 向こうの欲しい情報に関わることを話題にすれば自然と関心度は高くなります。それには、これまでよりもよりリアルで具体的なビジネス情報を提供することが求められます。先方の情報源になれる。ここが、ライバルとの差別化を図る一番のポイントになります。

 

 何処の会社も全てが上手く行っているわけではありません。他社では「このような動きをしている。こんなことを上手くやっている」成功事例をベースにして話をすることが大切です。逆に「このようなことで苦労している。このようなことが上手く行っていない。このような問題がある」等々これまで多く受けた相談内容やよく訊かれる質問も、相手の共感を引き出す格好の材料です。

 より一歩突っ込んだ情報を話の軸に据えれば、相手先の信用度は自然と高まっていきます。そこで「フムフム」といった相手の頷きが見えたり「成る程ね」というような同意の言葉が出てくれば、コミュニケーションの掴みは十分です。

 先方がこちらの話に言葉を挟んできたり、質問をするようになればこちらの話に乗ってきた証拠です。

こういう状況になれば、これから先、お互いに共通認識を得るべき話のテーマは自ずと見えてくるからです。

 要は、先方が言葉を発するような情報を出す。相手の口から言葉を引き出すように話を振ることがポイントです。話の誘い水となるネタ(情報)の内容は、ひとつの営業ノウハウと言っても差し支えないでしょう。

情報通の営業は顧客情報の集め方を良く知っています。つまり、相手にとって関心のある情報を出すことで先方の実情を聞き出すのが上手いのです。

 

提案営業の本番の入り口は、訪問活動を情報提供の場であると同時に積極的に情報収集の場にするタイミングでもあります。提案のチャンスを掴むには、先方の企業体質、業務方針、会社の状況や現場の実情等、訪問先の情報を、さりげなく且つ意識的に手に入れていかなければなりません。

訪問活動を、そのための情報提供、情報交換の場にしていくべきでしょう。話のやり取りの中から相互理解を深めていくことが求められます。

 まさしく、それがこの段階での商談の目的、本題だと思います。ビジネスパートナーとしての一体感を築かなければ提案のきっかけはやってこないからです。

 そこで、相手から「うちも同じ。似たようなものだよ」と本音が漏れてきたり、社内の愚痴をこぼしてくれるようになると、商売の可能性はゼロではないでしょう。「この間、上からこんな話がありました」とトップの発言や上司の言葉のような社内の内部情報が自然に出てくれば、ビジネスの脈はかなりあるとみて良いでしょう。

 

 ソルーション型の提案営業で最終的に勝てる企画をみてみると、相手の背景や実情を、しっかりと踏まえた内容になっているものが多いと思います。提案先の的確な現状認識をベースにしているからこそ先方が納得するような「的を得た企画」ができるのです。だからこそ、できるだけ細かな情報収集が欠かせません。

営業活動の中盤戦は、相手の立場で仕事の話ができるかどうかを試されるタイミングと言えます。ビジネスの相談相手として相応しいかどうかを絞り込まれるステップだとも言っても良いでしょう。

そして、ここが「提案のきっかけを掴む」ポイントです。

 

(平成25212日)           ©公認会計士 井出事務所