重点顧客管理の重要性

 

  営業関係のお手伝いをしていると、営業の数字(売上・実績)にはいくつかの法則があることに気付きます。

当社内で売上シェアの高い取引先の数字(売上)が伸びると自然と全社的な数字は上がります。逆に、シェアの高い取引先の数字が落ち込むと全体の数字も下がってしまうものです。

 また、業績が好調な会社との取引が増えていくと全体的な数字(売上)も伸びていきます。一方、新規が無く伸び悩んでいる会社との取引ばかりでは数字の増加は期待できません。  

 他にも、取引先での当社のシェアが高い顧客ほど、そこで安定した数字は取れますが、裏を返せば伸び白すなわち売上の成長性は少ないものです。

取引先での当社のシェアが低い顧客ほど潜在売上である伸び白が多いと言えますが、このような取引先ばかりでは業績は伸び悩むものです。       

 何も目新しいことを言っているのではありません。全て当たり前のことばかりです。しかしながら、このことを実際の営業戦略や営業予算管理に上手く活かしている会社は余り多くはないように思います。

 具体的に言うと「成長性の高い取引先を攻める。当社のシェアが低い会社を攻める。当社の売上シェアの高い取引先の数字は落としてはいけない」と言うことです。何故ならば、これらの取引先の数字の動向が当社の業績に大きな影響力を持っているからです。

重点顧客(取引先)とは、このような当社の業績に大きな関わりがある処です。すなわち、重要性の高い取引先、優先順位の高い取引先であり、営業の動きをしっかりとウォッチンッグしなければならない取引先、営業のエネルギーを注がなければならない顧客のことです。

 一般的に、その会社の売上の約60%強~80%弱の金額を、総取引先件数の約20%強~40%弱の処で稼いでいるという法則があります。不思議なものであらゆる業種におおよそ当てはまるデータですこれをABC分析と言います。営業の重点顧客管理は正にこの分析データを活用したものです。

 

 伸びる会社は、一つ一つ確実にビジネスをモノにしていきます。取引先との商談を着実にまとめる力を持っています。細心の注意を払って、会社の皆で知恵を出し合って数字を取りに行きます。

営業は、提案にこぎつけるか。相手を乗せてこちらの提案に如何に食いつかせるか。勝負処での勝ち負けが大きな差になってきます。その要所々々での営業活動の巧拙、作戦の有無その是非こそ、受注成功の鍵になります。

 

次のステップに向けて相手の共感を引き出し、それを次回へのモチベーションにする材料が求められます。あるときは、話の材料、他社の成功事例や現場の生情報のような情報提供でクリアーできるかもしれません。

当社の工場見学や作業現場、サービス現場の視察等のリアルな体験を通して話を進める作戦を営業の切り札にしているところもあります。昨今、工場や現場をショウ・ルームと考える企業は珍しくありません。

いずれにしても、商談を推進の確度を高めるには、商談の分岐点となるポイントで、他社がやっていないような当社ならではの(販促)作戦を用意すべきでしょう。

 

 逆に、伸び悩む会社は取りこぼしの多い処です。担当者任せにして、会社としての目が離れてしまう処です。結果が出た後では後悔しても意味がありません。「苦戦しています。かなり厳しい状況です」とは数字の伸びない会社の営業会議の常套文句ですが、そんなことを言っても仕方はありません。「ちょっとした不注意。準備不足。不用意な動き」が沢山あっては数字が伸びるはずもありません。それは、重点顧客に対する意識の低さから起こることだと思います。会社として「重点顧客の絞込み」とそこでの「商談ポイント」の絞込みがハッキリしていないから起きてしまいます。

 

 このように考えてみると「重点顧客の絞込み」とそこでの「商談ポイントの絞込み」こそが成約の分岐点、キーポイントだと言えます。

そのためには、まず当社の数字に大きなインパクトを持つ取引先を会社として明確にしなければなりません。そして、商談の分岐点となる処でやらなければならない仕事の内容をしっかりと煮詰めることが不可欠です。

営業戦略を成功に導くためにも、営業予算管理を徹底するためにも「重点顧客の絞込み」とそこでの「商談ポイントを絞り込み」が重要です。

そうすることで、始めて具体的な商談推進作戦の内容を詰めることができるからです。「重点顧客管理」の狙いは正に此処にあります。

 

( 平成25年 6月 5日 改訂 )       ©公認会計士 井出事務所


関連項目 ► 戦略を数字で語れる営業幹部

                       戦略を数字で語れる営業幹部(その2)「予算管理の基本」

       中小企業に求められる営業体制