テーマ設定に求められる具体性のレベル

 

幹部社員を育てる時には、彼らへの期待値、即ち「彼等に何ができるようになって欲しいのか」その育成テーマを明確にすることが重要であることを前々回のコラムで指摘しました。

どこの会社、あらゆる会社の職場や現場に当てはまるのは「職場の業務改善、レベル・アップ。業務効率アップ。スピード・アップ。クレームゼロ」といった職場の問題解決が、そのテーマになることです。

 現場の仕事力や業務レベルを高める基本中の基本のテーマですが、それが上手くいかないのも多くの会社の現実だと思います。

 

 幹部社員候補生に一皮剥けてもらうポイント。即ち、職場の問題解決等を成功させるひとつの秘訣は、彼らが成功させるべき仕事のテーマを絞込み、その重点ポイントをはっきりさせることです。

  あまり意識されないことですが、テーマ設定をする勘所は「その内容をできるだけ具体的に表わす。明確な目標設定をする」ことです。

やったのかどうかわからない改善。解決できたような、できないような代わり映えのしない問題解決になってしまうのは、その点がハッキリしていないからです。逆説的に言うと「やった、やらない。出来た、できない」の線引きを明らかにすること。それがハッキリとしていることが「テーマ設定のポイント」だと言えます。

 

例えば、どこの会社でも良く見かけるまとまりのない職場"“スピード感の足りない職場”“メンバーのやる気・責任感の欠如”といった現状があります。各人がマイペースで動くバラバラの職場、会社(組織)人としての自覚が足りないメンバーの多い現場です。仕事を担当者任せにし、上長の眼が部下の動きから離れていると、このような職場になりがちです。仕事の仕組みが固まっていない職場ともいえるでしょう。

 

そこで、これらの問題点を解決する際にまとまりのある職場作り”“スピード感のある職場作り”“メンバーの意識改革”といったテーマ設定をする管理者や上長がいらっしゃいます。これらは望ましい表現とは言えません。 何故ならば、どういう状況が「まとまりのある職場なのか。スピード感のある職場なのか。意識改革できた状態なのか」その意味が不明確だからです。目指すべき結果、達成すべき目標の状況がハッキリしていません。言葉遊びではありませんが、悪しき状況の反対の表現をしただけの文言だからです。

 

そこで「テーマ設定の言葉をもう少し具体的にすると?」と問いかけると、次に出てくるのが、大体「職場の業務改善、レベル・アップ。業務効率アップ。スピード・アップ。クレームゼロ」といった言葉です。

 残念ですが。これもまた望ましいテーマ設定の表現ではありません。上記の「まとまりのある・スピード感のある・意識改革」のような「やったのかどうか。解決できたのかどうか」その成否の分岐点が不明確な言葉だからです。

 

そこから更に議論を重ね、テーマの内容の具体性を言葉として掘り下げていくと、ようやく

 

各担当者のバックアップやサポート体制のシッカリした現場にする

・提出書類の期日のような職場の決まり事やルールが確実に守れる

 職場にする。

・仕事の進捗管理・納期管理の徹底されている職場にする。  

   といった言葉が出てきます。

 

焦点のハッキリしないテーマ設定になってしまうのは、指導する側の人達が普段から注意をして仕事していないからではないでしょうか。「頑張ることを一所懸命頑張る」みたいな感覚で仕事をしていないでしょうか。

自身の頭の中がクリアーでないと「仕事としてやるべきこと。目指すべき状況。具体的な方法や動き方」がわかりません。

それ故、テーマ設定が「抽象的でハッキリしない精神論な文言」になってしまうのです。このような言葉で語られるテーマは、往々にして職場のスローガン、毎日の掛け声になりがちです。そうなると、結局「上司の願望、独り言」で終わってしまいます。

 

 部下に意識改革を求める前に、自身の意識を改革する方が先決です。それこそが「リーダーの自覚」であり責任感ではないでしょうか。マネージャー (管理者)としての役割、やるべき仕事の内容を確実に理解し、仕事としてやらなければいけないことはキチッとやる。だから「為らぬものは為らぬ」といった、上司として言うべきことが言えるのです。言いたくないことの一言も下にハッキリ言える。現場リーダーとしての毅然とした態度こそリーダーに求められる役割です。いつまでたっても、上長が職場メンバーの一員では困ります。

 

 ( 平成271223日 )       ©  公認会計士 井出 事務所  

 

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