トコトン面倒をみる覚悟

 

「職場の問題解決」「営業など現場の業務レベルの向上」「部下の指導育成、スキルアップ」部下の指導育」は、どこの会社、あらゆる職場に当てはまる仕事力や現場の実行力を高める基本中の基本のテーマです。

ところが、それが上手くいかないのも多くの会社の現実です。

幹部社員を育てる時に、彼らへの期待値、即ち「彼等に何ができるようになって欲しいのか」その育成テーマ自体そのものがハッキリしていないことを前回指摘させていただきました。その原因のひとつは、その内容が「何でもかんでも、あれもこれも」といった総花的であること。「シッカリ。チャンと。もっと速く」みたいな抽象的な指示になっていることを挙げました。

彼らの成長を促す。それには、結果を出すためのヒントを与え、職場の問題解決等を自身の力で成功させるように道ならしをすることが求められます。経営が「ああせい。こうせい」と指示することは簡単です。

しかし、それではいつまでたっても下は頭の使い方がわかりません。自分で考えて「こういう風に進めていけば上手くいく」という答えを見つける。成功するための方法論と成功体験を持つことを手助けする。

 

それこそが、彼らに「経営の知恵を身につけさせる」条件ではないでしょうか。

 

 

伸び悩む管理者、幹部候補生に共通することは、現状の職場の問題点はわかるが、その解決策がわからないことです。部下の意識をどのように変え、仕事が出来るようにするためにどのように指導するのか。

自部署の悪しき現状を、どのようにして望ましい方向に変える。その具体的な方策がわからない。ある意味、それこそが部署なり会社を進化させ、職場(組織)を変える方法です。下を巻き込むマネジメントのスキル、現場の業務レベルを高めるノウハウとも言えるでしょう。

当事務所のコラムでは、これまでアパレル業の ㈱門倉プラスチック容器メーカーの三島容器㈱の営業部門改革、ヘアーサロンや印刷業の現場の業務改善についての具体的な改革の事例を紹介してまいりました。

都合上、いずれも簡単な記述にとどめていますが、どの会社でも、2年から3年をかけて、ようやく成功したことばかりです。

現状分析と称する「現状の仕事のやり方の事実関係の洗い出し」「問題の発生原因の究明」といった第一段階でも、月2度のミーティングで半年から一年くらいの時間がかかります。その間の会議資料や議事録をファイルすると数センチを超えます。それ位、細かい処まで事実関係をひとつひとつ掘り下げて議論しないと、根本的な解決策には結びついていきません。

職場の問題解決や自部署の業務改革が上手くいかないのは、そこの詰めが甘いからです。だから、場当たり的でその場しのぎの対策になってしまうのです。

会社を変えるということは、そう容易いことではありません。“当たり前のことを根気よく続けるしつこさ”や“成功への強いこだわり”を持たないと出来ないことです。

 

確かに今はスピードの時代です。速い者が遅いものに勝つ時代です。とは言うものの、人の能力はそう簡単に伸びるものではありません。

自部署の業務改善、改革といった自身の成功体験とその実績が、その人を一人前の幹部社員に育てます。

「石の上にも3年」と言う言葉がありますが、経営を任せられる下を育てるには、ある程度、経営が長い眼で辛抱強く見守ることが必要です。

そこにシッカリと関わること。そのための、上のサポートやバックアップは欠かせません。もし、こういった社内の改革を部下に任せるのであれば、任せっぱなしにするのではなく、経営も下と共に一緒になって考え、学ぶと言った姿勢が求められるのではないでしょうか

トコトン面倒を見る覚悟がないと、幹部社員になれるような部下は育たないと思います。人は誰しも「自分が出来ること。良くわかっていること」しか教えられません。やったことのないこと。未経験のことは指導できないからです。

 

( 平成271215日 )        Ⓒ 公認会計士 井出 事務所

 

► 関連項目: 仕事の仕組みについて考える

       「仕事の仕組み」と「プロ意識」

         OJTの限界と業務改善