幹部社員の育て方 (週報の活用 その1)

 

 いまどきの管理者は「上司としての意識が足りない」「職場リーダーとしての責任感が乏しい」「一担当者としての感覚しか持っていない」という話はよく耳にすることです。その意識を高める方法として「職場の週報」を書くという手法があります。

 ところが、思いのほか、これが書けそうでなかなか書けません。当たり前のことのようで実際にやってみるととても難しいことです。勿論、書くにはある程度、皆さん書いてきます。ところが、その内容に問題があります。

シッカリと具体的に書かれた内容、文章を見ることが少ないからです。

よくあるのは、記述内容がお粗末というか、中身がスカスカの週報(報告書)です。結果報告や仕事の進み具合に関わる中間報告を羅列しただけのものです。経営(上長)からすると「何か物足りない」「何処かピントのずれた」感じがします。そのひとつの理由は、中身が大雑把すぎてよくわからないからです。

 上長として、どのような動きをしたのか。職場として目指すべきテーマが見えてきません。また部下に何を指示し、何を注意したのかわかりません。もしかすると、現場の責任者として、彼らは「何か、特別なことがない限り、取り立てて上長(経営)に報告する必要は無い」と思っているからかもしれません。これでは報告の意味が無いと思います。

 

 どのような職場であっても、一週間の間には、実に色々なことが起こります。何かしらイレギュラーなこと、予定変更、何かしらの不手際や不行き届きがあるものです。何の不始末も無かったという方がありえないでしょう。

 そこには、必ず、改善すべき問題点、レベルアップしなければならないことがあるものです。

 日々頑張っているけれども、レベルの上がらない仕事があります。なかなか思い通りに進められない仕事もあるでしょう。それらに対し、上長として各担当者にミスが起きないようにアドバイスしたこと。遅れがちな仕事のバックアップ、そのフォローをしたことがあるべきです。

ですから、週報には“部下に具体的に指示したこと”“注意したこと”“確認したこと”が書かれているべきです。ところが、このような上司が行うべき日常的な取組みについての記述がほとんど見当たりません。

現場レベルでの状況対応、細かな問題解決こそ、管理者としての業務管理の仕事です。そんなことまで書いていたらキリが無いと言う人もいるでしょう。 しかしながら、上長として、どのように部下と関わっているのか。部下に細かく指導している内容、いつも注意していることなど、その具体的な動きは経営に報告すべき内容だと思います。

 

どうして、そうなってしまうのかというと、職場のリーダーとして、現場の状況や部下の動きに関心が薄いからだと思います。皆が、ただ漠然と、時間の流れ、スケジュールに任せて、何となく仕事をしている。

  大きな問題が起きなければ、結果オーライ。小さなミスを他愛のないことと見過ごして、そのまま、やりっ放しにしている。ちょっとした行き違いや多少のトラブルは仕方のないこと、あるいは結果として無事対処できたことは報告するようなことではないと思っている。

 あるいは、自分の仕事で手一杯。自分の仕事ばかりに気がいって、職場全体の状況に眼が行き届かない。

  上司の頭の中がこのような状況では、週報(報告書)に書くべき言葉は浮かんできません。とりもなおさず、それは現場の責任者として、部署全体の仕事のやり方、進め方の良し悪しについて考えることが少ないからだと思います。

 

 ここで皆さんにお伝えたいことは、報告書の書き方ではありません。書き方の上手い下手という問題では無く、報告書を書く以前の職場の長としての意識のあり方です。要は、週報を書くことで「現状の仕事のやり方に問題はないか」という問題意識を持たせる。「どうやって現場の実行力を高めるのか」そのための注意力を深める。その目的意識を高めることが大切なのです。週報を書くことは、その手段、手法に過ぎません。

 人は、意識してやったこと、注意してやっていることは、細かなことまでハッキリ覚えているものです。ところが、期日までに仕事を片づけることだけにしか気が向いていないと、意外と一週間の出来事がしっかりと頭に残っていません。言葉が浮かんでこないのは仕事が雑用の塊になっているからです。

 その結果が「内容の薄い報告書」です。このように上長の意識が希薄であれば、次週もまた同じことを繰り返すだけでしょう。それでは職場のレベルアップは難しいと思います。書くべきことが多すぎて頭の整理がつかないのか。書くべきことが思い浮かばなくて書けないのかでは大きな違いです。

 

週報(報告書)を、幹部社員や管理者育成に役立てるには「週報の書式」に工夫をすべきです。

 そこで「今週の反省点」「次週に向けての改善点とその注意事項」という二つのテーマを週報に設け、それぞれの内容に分けて記入する書式にした方が良いでしょう。

 週報を含め報告書は、ただ漠然と自由に書いても意味がありません。書くことを通して、常に、今日の仕事を明日につながるような意識を持たせることが大切なのです。

  また、ただ週報を書いてもらうだけでも意味がありません週報を通して、トップが彼らと話し合うことが大切です。各職場の状況について意見交換をしながら、上司として日常業務の細かな点まで眼を向けるように伝える。 その場を活用して、ビジネスのあり方、経営的なものの見方、考え方を教えることを忘れてはいけないと思います。このような週報を活用することも、幹部社員育成の一法です。

  

  平成2748日 )修正改訂       ©公認会計士 井出事務所

( 平成26411日 )           

 

 ► 関連項目:幹部社員の育て方 (週報の活用 その2) 

        スケジュール表の活用事例 

        議事録作成を通して養う「ビジネスリーダーの力」

     頭を使って仕事をする(職場の問題解決ができる管理者)         日常業務を管理するポイント

     仕事の全体像を掴む大切さ

         「メリハリをつけて仕事をする」その狙い

        コミュニケーションの仕組み(報告)