幹部社員の育て方 (週報の活用 その2 )

 

 どうも、当社の幹部社員(管理者)は、真面目だけれども今ひとつ物足りない。もうひと皮剥けて欲しい。経営が細かなことまで指摘しなくとも、安心して会社のことを任せられるようになって欲しい。

いちいち口には出さないが、このような想いを抱いている経営者の方は少なくありません。日常的な業務管理にしても、もう少し細かな所まで目配りをして欲しい。

 ミーティングの際に念のために注意をする。わかっていることと思っていても敢えて部下に尋ねる。このような、ちょっとした気配り、仕事のリスクマネジメントに眼が向かない。仕事の詰めが甘い。仕事ができるようにもっと部下の面倒をみてもらいたい。

トップが、このように感じる理由の一つは、経営と現場の間に日々の仕事のやり方、進め方に対して微妙な温度差があるからだと思います。

現場の長からすると「皆、良くやっている。かなり頑張っている」と思っていても、経営からすると全体としてマダマダ心もとないと思うようなことが沢山あります。

 その温度差を埋めることこそ幹部社員の育成に他なりません。部署の隅々まで眼が行き届くように、上長としての仕事のシビアさを理解してもらうべきです。その手段として有効と思われるのが「週報の作成」です。

経営は、週報の記述内容を見ることで、スケジュールを含め現場の仕事の全体像をしっかりと掴んでいるか。自部署のメンバーの性格や動き方がシッカリと頭に入っているか。一人一人の仕事の注意事項を見落していないか。部下へのちょっとした確認を忘れていないか。要するに、彼らが管理者としての役割がどれ位頭に入っているか、よくわかるからです。

日々のフェイスtoフェイスのやり取りに加え、週報の内容から足りない部分、甘い点をフォローすべきです。

 

部署の月報、月次報告書を書かせている会社は多いと思います。ところが月報は報告の期間が長いためにタイムリーな内容が文書として残りません。勿論、細かな打ち合わせはリアルタイムにその都度行っていますが、ひと月の間には余りにも色々なことがあり過ぎて細かさにかけるきらいがあります。肝心な一つ一つの内容が大雑把になってしまう。その結果、どうしても多くのことを見過ごしてしまいます。

だからこそ、管理者教育の手段としては月報よりも週報が望ましいのです。

 

 4月からの消費税率アップに備え、2月、3月と駆け込み需要の増産に追われたメーカーさんは多いと思います。カレー粉やスナック菓子の調味料を造っている柴又香料()では、通常月の2倍以上の品種を受注し、生産しなければならなくなりました。作る品目が増えると、混ぜ合わせる香辛料の配合テストを頻繁に実施しなければなりません。加えて、計量ミスや配合レシピの間違いも起きやすくなります。また、香辛料を調合するミキサーの清掃が頻繁になります。実は、これがこの業界ではとても重要な仕事で、もし、それが不十分だと次に造る製品の味が変ってしまい、全て不良品になってしまうからです。

今回の消費税の変更による緊急増産は、1月中旬からわかっていました。しかし、この会社のリスク対応は後手に回ってしまい大量の不良品を出てしまったのです。

工場長の増産体制にかかわる現場への指示やこまめな注意が十分でなかったため、ミキサーの清掃不良、計量ミスや配合ミス等、現場の基本的なミスのオンパレードが連日重なりました。これに配合テストの不手際による手待ち時間も加わって、当初の計画が大幅に遅れてしまいました。

現場は当初の見通しを大幅に超える残業をせざるを得ない日が続きました。

この会社では、生産設備ごとに生産日報と週報の提出を現場に求めていました。しかしその内容をよく読んでみると当日の生産実績のことしか記載されていません。工場長は納期管理のことにしか頭が無く、毎日の生産状況の結果だけしか見ていなかったのです。そのせいもあってか、当日に起きた細かなミスや不手際についての報告は口頭であっても、日報や週報への記述はスルーされていたのです。当然の如く、口先だけの話のやり取りだけでは、いつまでたっても、これらの問題に対する解決策や改善策は出てきません。

このような状況の中で、上記の大混乱が起きてしまいました。2月からスタートする増産に向けての準備やその段取りについて、工場長は「ちゃんとやっておいてください」と数回言葉を掛けただけでした。

準備作業の具体的内容や進み具合について、週報の中で確認することは一切ありませんでした。また、現場に足を運ぶこともしなかったのです。全てを現場担当者に任せっぱなしにしていたのです。

 改めて、工場長の管理能力と組織の未熟さ、製造の基幹技術とも言える仕事のやり方に多くの問題点があることを思い知らされました。

このような情況から脱皮し、成長路線への転換を図るためには、頼りになる経営幹部の育成が急務です。これまでの基本的な仕事のやり方、進め方の良し悪しについて、より細かな視点で経営の意見と彼等の考えをすり合わせる必要があると思います。

彼らを、一人前の管理者に育てるには、上司としてやるべき仕事を、もう一度、一から細かくフォローすることが必要です。スケジュール表を叩き台にして彼らが細かなことまで眼が行き届くようにする。忘れてはならない注意事項を確かめる。その為には、月報より、むしろ週報を活用して指導する方が望ましいと思います。

 

 ( 平成28814日 改訂 )

 

 ► 関連項目:幹部社員の育て方 (週報の活用 その1)

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