経営情報の集め方と活かし方

 

社長さんから「当社の戦略を考えて欲しい。経営計画をまとめて欲しい」と依頼される幹部社員の方は多いと思います。(* 本来は、それこそが経営トップの仕事です。)今は、そうした際の情報は、いとも容易くリアルタイムに無料で手に入る時代になりました。上場会社の経営計画ならネットで簡単に入手できます。

 ところが実際に、これらの情報をベースにして自社の戦略や計画を作ろうとすると、あまり参考にならないという声を良く聞きます。無論、それらの文書を単に集めただけでは、その内容やその意味・狙いはわかりません。

何処も似たようなパターンの書式で書かれていることが多く、同業他社との違いが良くわからない。口先だけでの内容で説得力のあるモノとは思えない。実際の経営現場では役に立たないと思うかもしれません。

 しかしながら、そこに書かれていることがすべての情報、すべての内容ではありません。同一業種であっても全く同じビジネスのやり方をしているという会社はありえないからです。

 逆に、今は情報が手軽に得られるからといって、それを集めることだけで満足してしまい“ひとつの情報の意味を探る。情報を分析する。その内容を深掘りする”という発想が足りない人が多いように思います。

 ただ何となく検索をするだけでは、自社に直接役立つ情報など出てくるはずもありません。一度、検索をしてだけで「役に立つ情報がない」と諦めていては、欲しい情報は得られないと思います。

 他社の戦略や計画に「説得力がない」というなら、どういう内容、情報を加えれば、そこに深みが出るのか。どのレベルまで内容を掘り下げれば実行性のあるモノになるのか。その点に気付けないと、情報を実際のビジネスに活かすことは難しいと思います。それは、他社の動きや成功事例から学びを得る。優れた会社の「良いところを探す」という視点が欠けているからです。

 

振り返ってみると、私が店頭公開(今のJASDAQ)のお手伝いをしていた頃は「経営計画書」が一般の目に触れること自体が珍しい頃でした。

情報公開(ディスクロージャー)制度の充実。ネット社会の広がりといった、時代の変化も多々ありましたが、当時と比べると、今の方がはるかに「経営戦略」や「経営計画」といった経営情報を手に入れることが簡単になったように思います。

 とりわけ、広告メディアを持てない中小企業のHPに至っては、直接営業、集客といったダイレクトに数字を取るような内容になっているものが今では主流になりました。Topページから、コンテンツを読み進んでいくと、その会社のこだわりや他社製品との違い。商品の内容や特徴がわかりやすく頭に入る仕組みになっています。

 しかし、これらのHPが、その会社の経営戦略や営業戦略を具体的に表していることに気付いていない人も多いように思います。ビジネスセンスを磨く手段としてHPを活用する

 

また、Web上の経営情報を「検索ワード」の集まりだと考えてみることも一考です。そうすれば、その言葉を起点にして芋づる方式に情報を引き出すきっかけになります。根気強く探していると、思いの外現場の生情報、成功の裏話に何とかたどり着くことができるものです。何処の会社も「結構、色々なことにチャレンジしているな。成る程、こういうやり方もあるな。細かなことまで注意を払って仕事をしていて大変だな。業種は違えど、同じようなことで苦労しているな」ということがわかります。このような経験は、実際に自分が自社の戦略を立て、その実行計画書を書く立場にならない限り気付けないと思います。

 

確かに、今は数多くの経営情報が、Web上でオープンになっています。しかし、これらの経営情報が実際のビジネス社会で、どの程度活かされているかというと甚だ疑問です。情報活用力」といった意味での「情報リテラシー」という言葉がありますが、まだまだ情報が情報インフラの広がりのレベルで留まっているように思えてなりません。

 多くのビジネスマンは、活かし方のレベルには程遠いレベルだと思います。

 現在は、探そうと思えば、企業経営に関わる「学びの材料。参考事例」はいくらでも出てきます。「情報の読み方」「情報の探し方」を是非とも経営幹部の方に身につけていただきたい力だと思います。

 

( 平成28329日 )       Ⓒ 公認会計士 井出 事務所

 

 ▶ 関連項目:経営センスのベースになる情報感度の高め方

         ビジネスセンスを磨く手段としてHPを活用する