上司からのメッセージ
日常的な業務レベルの良し悪しは、上長からの話や言葉の投げかけ方によって変わってきます。現場の一人一人が先を見て動けるなら、どれほど現場のリーダーは楽でしょう。各人が段取りを整え、一つ一つ注意事項を予め確かめてから仕事に取り掛かるような職場であれば苦労はしません。
しかし、現実は何度注意しても同じようなミスがなくなりません。いつも何かしらの行き違いがあってトラブルが絶えないと思います。
だからこそ、管理者が自部署の業務をスムースに動かすためには「指示、連絡、注意、確認」のような上司から部下へのコミュニケーションが欠かせません。“指示というメッセージ” “連絡というメッセージ” “注意というメッセージ” “確認というメッセージ”の発信が、管理者には求められます。
例えば「日程が詰まっている状況なので、こういうミスをしないよう注意して下さい」とミスが起きやすい点を、もう一度確かめる。
「今日は、不手際のないようこういう点に特に気を付けて仕事をしてください」と部下が忘れていそうなことを、前もって指示する。
部下がツイツイ見過ごしてしまいそうなことを「いつものことですが、こういうことを意識してやって下さい」と、改めて注意する。
このように、現場のリーダーは部署全体の動きを見ながらミスやトラブルが起きないように事前に注意をする。クレーム対応のような余分な仕事を増やさないように業務の進行状況を確かめるべきでしょう。一つのミスが次のミスを呼び込むような悪循環を起きないようにしなければなりません。
要は、業務管理の成否は、上司からのタイムリーで適切なメッセージの発信にかかっています。 これらの内容が、組織をスムースに動かすための潤滑油の役割を果たすからです。
その内容は状況によってその都度異なります。ひとつひとつの仕事の注意事項もあれば、各担当者への連絡事項もあるでしょう。担当者個々の仕事の進み具合を確かめる事もあります。比較的手の空いている時期と忙しい時期では、その細かさや内容も変わってきます。イレギュラーな状況では、指示の内容はできるだけ具体的で、細かな方が望ましいでしょう。
反対に「忘れ、漏れ(抜け)、遅れ」といったコミュニケーションを妨げる言葉に、上長が発すべきメッセージである「指示、連絡、注意、確認」を組み合わせてみると、その部署や会社の業務管理のレベルが何となく浮かんできます。“指示忘れ、指示漏れ、指示遅れ”“連絡漏れ、連絡遅れ”“確認漏れ、確認遅れ”が多いような部署は、到底、コミュニケーションが上手く行っているようには思えません。職場全体の仕事がテキパキとスムースに進むという訳にはならないでしょう。とても、現場の仕事が上手く動いているとはいえないでしょう。
この他にも「指示、連絡、注意、確認」に「はっきりしない、不明確、曖昧」という言葉を付けてみても面白いでしょう。上長の指示がはっきりしない。
注意の内容が不明確。確認しなければならないことが曖昧。
このような状況であるならば、そこで仕事をするメンバーが「今、何をすべきなのか。何に注意すべきなのか」共通認識を持つことは難しいと思います。これでは、その職場全体の仕事はスムースに運びません。
さらにもうひとつ加えると「しっかりやってください。ちゃんとやってください。各自注意してください」といった、上司の言葉が抽象的なレベルで留まっていることがあります。それでは「何を伝えたいのか」その意味がはっきりしません。部下にしてみると、適当な指示や注意で終わってしまいます。だから、現場が右往左往してしまうのです。つまり、上司からのメッセージは具体的な内容でないと意味のあるものとは言えないのです。
このように見てみると、上司が部下へ「指示、連絡、注意、確認」のような的確なメッセージを伝えること。タイムリーな言葉の投げかけ、具体的な話の内容が職場を動かす潤滑油になっていることがわかります。
まさに、これらの上司から部下へのメッセージの発信こそ日常業務の管理ポイントなのです。
( 平成27年5月2日 改訂 ) ©公認会計士 井出事務所