喋る・話す・伝える・告げる

「喋る」という言葉があります。「話す」という言葉もあります。「伝える」という言葉もあります。「告げる」という言葉も皆さんご存知でしょう。

 いずれも、誰かに向けて言葉を発する。他人に言葉を投げかけるという意味です。では、この「喋る・話す・伝える・告げる」という言葉は、皆全く同じ意味でしょうか。

多くの人はこれらの言葉から微妙なニュアンスの違いを感じ取ります。

言葉の投げかけ方の意味合いが、ひとつひとつちょっと違うように思います。そこで、これらの言葉の意味を個人的に解釈してみました。

 

「お喋り」という言葉がありますが、皆さんも立ち話や雑談のように余り考えることなく無意識に言葉を交わすことが良くあると思います。

「今日は良い天気ですね」みたいな挨拶替わりの会話も同じです。

それは只、耳を貸して欲しい思いで言葉を口にするのであって、話の内容そのものにあまり意味はありません。

つまり「喋る」は、取り立てて伝えたいことや特別な考えがある訳でなく、思いつきで言葉を口にするような話し方のことです。

ですから、相手が聞き流していても気になりませんし、特別話の内容を理解して貰いたいとも思いません。相手に内容的な受け答えを求めるような話ではないのです。相手が聞いていても聞いていなくても関係なく、こちらが言葉を投げかけることです。  ちなみに「喋」と書いて(はなし)と読みます。

 

 思いつきで言葉を発していると、どうしても「何を言いたいのかわからない」

脈絡のハッキリしない話になってしまいます。このような話し方では聞く方も話の内容を理解できません。話す方に、考えがあって言葉を口にしているのか。話の内容に筋が通っているのかどうか、聞き手は微妙に察します。

「話すという言葉は、相手に話の内容を理解して貰いたい思いがあって言葉を口にすることだと思います。「どうして相手に話をするのか」自身の考えや他人に話す意味があって話を投げかけています。ちゃんと相手に受け止めて欲しいという目的がある話です。

それには、こちらの思いが相手に通じるように意識して言葉を発しなければなりません。言葉を選ぶなり、話の筋を通すなり相手が納得できるように注意して話を投げかけることが求められます。

 その点に気を付けないと「他愛の無い話。何気ない話」のような「お喋り」になってしまいます。

 

 「伝言・メッセージ」という言葉があるように「伝える」は、連絡や報告、注意事項のように何かしら相手に知らせたいことがある。特定の事実や状況など知っておいて欲しいこと、頭に入れて欲しいことがあって言葉を発することだと思います。伝える側の目的、その内容がハッキリしているので聞き手に、話の内容をシッカリと頭の中に入れて貰いたい思いがあります。

 ですから、話の内容を、相手が聞き逃したり、聞き漏らすことの無い様に伝えるべきです。「忘れないで、覚えておいて」という聞き手との間に共通の理解を求めるような話の投げかけ方と言えるでしょう。   

 

「告げる」というと「宣告する」「告白する」みたいな、一方的に押し付けるようなキツイイメージがあります。それは、話の内容に、聞き手に迫るような強い意思や明確な理由があるからです。

「告げる」は、相手にどうしても「話の内容を認めて、理解してもらわなければならない」というような強い意志を持って言葉を投げかけることだと思います。相手が聞いていようと聞いていまいと「その内容を拒むことを許さない」強い思いのある話し方です。

 

 どうして、これらの言葉の意味合いを比べてみたかと言うと、ちょっとした話し方の違いによって、ビジネスの場面で様々な行き違いが起きているからです。ちょっとした伝え方の差で多くの誤解が生じています。

部下に言ったことが伝わらない。話したことを聞いていないとの思いを持つ上司は多いと思います。

 しかしながら、その原因の多くは、上司の話し方が「お喋り」になっているからではないでしょうか。目的のある話になっていないと、その場にいる人達は仕事の話と思いません。関係のない話と感じるから聞く必要がないと勘違いしてしまいます。話の内容がまとまっていなかったり、言葉が足りないと、聞き手は意味のある話と受け取らないものです。

 

 「言ったつもり。伝えたつもり」や「言ったはず。伝えたはず」と言うだけでは何の意味もありません。「思いつき」や「考えなし」で言葉を口にしている限りはビジネス・コミュニケーションは成り立ちません。

 上長たる人は、コミュニケーションのあり方として、相手に分かるように考えて、言葉を口にすることが求められます。ビジネス・トークは、聞き手が納得するように話の内容や流れに気を使うべきだと思います。

その意識の有無は確実に聞き手に伝わります。話の中身を部下が受け入れないのは、上司の伝えようとする意識が弱いからではないでしょうか。

話の内容を整理し、言葉を尽くして話すことが大切です。

 

それを探るために「喋る・話す・伝える・告げる」という普段何気なくつかっている言葉の意味を、もう一度見直すことにしました。話の投げかけ方とコミュニケーションの意味合いの違いを確かめてみました。

 

 ( 平成2575日 )          ©公認会計士 井出事務所 

 

   ► 関連項目: 上司からのメッセージ

           部下とのコミュニケーション

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           聞き手がわかる「話し方」