職場のまとまり感と上司の力

 

  大きな病院では、必ずカンファレンスという「会議の仕組み」があります。神経外科、消化器内科というように、診療科ごとに、だいたい週に一回の頻度で行います。各患者さんの主治医の先生がレントゲンやCTを科のメンバーに見せながら、診療方針を述べ、それに対し当該科の医師や看護スタッフさんと質疑応答を行います。

  入院患者であっても主治医の先生が必ず毎日いる訳ではありません。医師にも休日はありますし、学会等で病院を離れることもあるでしょう。

そんな時、何か急なことが起きても、他の医師が対応できるように情報を共有しておかなければなりません。カンファレンスは、医師を含めた科のメンバー全員の勉強会であるとともに、万が一の場合に備えた予備知識、情報を共有する場でもあります。

 病院の仕事は一日24時間休み無く続きます。仕事的にお互いに連携をとってチームで動かなければ仕事にならない業務です。一人の患者さんを、医師団、看護チームといった科のチーム全体でフォローすることが当たり前です。いざと言う時には自身の担当外の患者さんであってもお互いにヘルプしたり、フォローしなければなりません。

 

カンファレンスの場で、医師や看護スタッフが、注意を要する患者さんの情報を聞き漏らしたり、ウッカリして忘れてしまっては困ります。

「聞いていませんでした。忘れました」では済みません。それは病院ではあってはならないことです。大きな事故になりかねないからです。

だから、カンファレンスのメンバー全員がその内容に注意深く耳を傾けるのです。患者さんの医療情報を正確に聞き取り、共有することは彼らにとって欠かせない仕事です。

 一見すると、病院のカンファレンスは、何処の会社でもやっているような週明けの打ち合わせ(ミーティング)です。極々、当たり前の職場の仕組みです。 しかしながら、多くの企業から実際に聞こえてくる声は“職場にまとまりが無い”“仕事上の連絡事項や注意事項が全体に行き届かない”“各人が勝手にバラバラに動くので、行き違いが多い”といった職場の一体感やコミュニケーションに関する悲鳴です。できて当たり前の職場内の情報共有でさえ、なかなか上手くいかないことの方が、よくある現実のようです。

 

同じように職場で情報共有をする仕組みがありながら「病院」と「まとまりのない職場 (会社)」その違いは何処にあるのでしょうか。組織としてあってはいけないことですが、現実には仕事のやり方や進め方をほとんど担当者任せにしているような会社や職場が思いのほか沢山あります。

そのような現場になっていると、打ち合わせの場で緊張感が感じられません。自分の仕事のことしか頭にないからです。メンバーは職場の状況や周りの動きに全く関心を持たなくなってしまいます。だから、職場の情報共有が出来ないのです。残念なことに、いつの間にかメンバーがチーム・プレイで仕事をするということ。チームの一員として動くことをスッカリ忘れています。そこの感覚が、病院の仕事と大きく違う処だと思います。

 さらに酷くなると職場のルールや仕事の決まりごとでさえ守れない処もあるでしょう。それでは、アルバイトやパートさんの寄せ集め集団と何ら変わりがありません。

 

職場のまとまりの良し悪しは、上長の動き方次第で変わってきます。優れたリーダー(上長)のに共通することは、メンバーをまとめ、結束力のある職場を創る力を持っていることです。

 いくら、会議という「職場内の共通認識を得る仕組み」が合っても、それだけでメンバー全員がその内容を理解しているとは限りません。「皆、わかっているはずだ」などと決め付けずにツイツイ見落としがちな下とのギャップをすかさず埋めていくのも上の勤めです

 彼らは、上司として、伝えるべきことを確実に伝え、注意すべきことを注意することを欠かしません。大切なことは念のために確かめること"を忘れません。また、メンバーからの質問にも快く応じ、わかりやすく説明します。このような上長の伝えようとする気持ちや態度は自然と下にも伝わります。そこに、聞き手が耳をダンボにするようなピリッとした雰囲気が生まれます。そうやって、彼らは現場の注意事項やルール等の共有すべき情報を徹底していきます。

 加えて、彼らは定例会議と言う場を上手く使って「お互いに助け合う。お互いさま」というチーム・プレイの考え方をメンバーに発信してます。

ことあるごとに、皆で「チーム力を高める」という職場の気運を創り、それを盛り上げていきます。時には「上手く行っている?順調?」などと、さりげなく声をかけ、タイムリーに下をフォローすることも必要です。そこが、名ばかりリーダー(課長)はわかりません。

 真に上司力のあるリーダーは自から見本となって、チームの一員としての動き方を伝えています。

 

 

平成28218                                  公認会計士 井出 事務所 

 

▶ 関連項目:上司力のポイント(声をかける) 

       部下の信頼を得る眼を離さない