「話に筋を通すこと」の大切さ

 

 部下を上手く使える上司は、彼らを動かす話し方のポイントを良く知っています。若い人に限らず昨今の人は、自分で納得できないこと、曖昧なこと、はっきりしないこと。筋の通らないことは受け入れようとしません。

彼らの理解や納得を得るためには話の内容に筋を通すことが求められます。

筋書きと言う言葉があるように話の中には筋と呼ばれる流れがあります。それが一つの方向に向かって流れているからわかりやすい話になる。

 ところが、その流れが次の話につながらなかったり、その方向がアチコチに向いてしまうと、聞き手は「何を言いたいのか」話の内容がわからなくなってしまいます。 

 

 何気なく言葉を口にしていると、知らず知らずのうちに、ひとつの話の中に二つの内容が入ってしまうことがあります。

しかしながら、聞き手からすると、それは言っていることがチグハグで何を言いたいのか良くわからない。最初に言ったことと次に言ったことが喰い違う。

話の内容が前と後でブレているように感じます。話の方向が定まっていなかったり、話の流れがつながっていないと、筋の通った話に聞こえないからです。

 このような話し方をしていては聞き手の納得感は得られません。話に筋を通すことは、何も何か特別な話をするときに求められることではありません。

 逆に、日常的な仕事の指示や連絡、注意、確認、報告のような職場のコミュニケーションにこそ、忘れてはならないことだと思います。

   

 部下への指示を例にして「話に筋を通す」大切さを検討してみましょう。

営業でよくあるケースとして「これからは新規開拓を基本方針にして重点的にやっていくが、既存顧客のフォローもこれまで以上に力を入れる」という上司の指示があります。

 何気なく聞いていると尤もらしい話に聞こえますが、冷静に考えてみると何処かおかしな話です。これからの方針として、新規と既存のどちらに重点を置くのかハッキリしないからです。このような指示の仕方は、指示される立場からすると、わかったようなわからないような話に聞こえます。

最終的に新規と既存どちらに力を入れるのか、よく理解できません。基本方針が二つあるように聞こえるからです。それとも、二つの方針を同時に目指すという意味で伝えたのでしょうか。

 要するに「方針の徹底」という見方からすると「二兎追う者は一兎も得ず」の例えの通り、共倒れになる確率の高い指示の仕方になっています。ですから、新規の目標も既存の目標も両方とも未達ということになりかねません。

何を言いたいのか。話の内容が一本化されていないために、筋の通った話に聞こえないからです。話の筋が二本あるような曖昧な話に聞こえてしまい、指示を受ける者が誤解しやすい流れになっています。これでは適切な指示の仕方とは言えないでしょう。 

 この他にも「考えなしでやっている場当たり的な指示」「状況に振り回され指示の内容が二転三転する」「指示内容に一貫性がない」というような悪しき状況が多くあります。

これでは、部下の納得感を得るどころか、彼らのやる気を無くす原因を作るだけです。

 

 自分で納得しなければ動こうとしない部下を動かす。そのためには、指示であろうと、注意、確認であろうと、話の内容に筋を通さなければなりません。一つの方向に向かって話を集約すべきだと思います。彼らの耳にスッーと入るような、わかりやすい話し方を心がけるべきです。

上司の頭の中で部下に伝えることが簡潔にまとまっていれば、部下が納得するような脈絡のハッキリした話が自ずとできるものです。話の内容、伝えることがハッキリしていれば、聞き手はちゃんとその内容を受け取ります。

説得力のある話ができる上司になるには、職場全体のスケジュールや仕事の優先順位を軸にして、周囲の状況を良く見ていること。常に先のことを考える姿勢が求められます。とりもなおさず、それは的確な状況判断を行うための考え方、思考方法と同じことだと思います。

 

 ( 平成25731日 )        ©公認会計士 井出事務所

 

 ► 関連項目: 喋る・話す・伝える・告げる伝えることも仕事のうち

         聞き手がわかる「話し方