部下とのコミュニケーション
部下との関わりあい方がわからない。若い社員とどう接して良いのか。
その方法がわからないという管理者、上司の方が多くいると耳にします。
生まれも育ちも全く異なる違う他人同士。まして世代が異なれば仕事に対する考え方も違います。
「そんなこと言われなくともわかるだろう。今更いちいち当たり前のことを言わせるな」という考え方は通用しません。時の流れと共に仕事のやり方が変わっています。
今はパソコンが無ければ仕事にならない時代です。それに伴い職場のコミュニケーションの方法もメール主体の報告・連絡に変わってきました。そして、直接話し合う場が次第に少なくなってきました。
そうこうしているうちに、あちこちの職場でコミュニケーションが取れない状況が多くなってきました。
上司と部下とのコミュニケーションで最も大切なことは、上司からすれば部下の指導、部下にすれば上司への仕事の相談でしょう。
現状の仕事のやり方、進め方、その内容の良し悪しについて話し合うことです。ところが、その関係が全く成り立っていない会社が多いようです。
そもそも昔からよくある部下から上司への不満として「上司の指示がはっきりしない。自分なりに頑張ってやっているが、どうしたら上手くできるのかわからない。上司はただ駄目出しをするだけで何に注意をすれば良いのか教えてくれない。仕事の相談をできる上司がいない」という声が多くあります。
一方、逆に上司から部下への不満としては「いちいち細かいことまで指示しないと動けない。何度も同じことを聞いてくる。自分で覚えようとする意思を感じない。 自身で考え工夫して上達しようとする気持ちが足りない。注意を怠ると直ぐミスをする。やる気が感じられない」という意見があります。これも大分前からどこの会社でもよく言われてきたことです。
現状の仕事のやり方、進め方、その内容の良し悪しについて話し合う。それこそが、部下指導の原点であり上司の役割だと思います。よりレベルの高い仕事ができるように部下と意見を交換する。
これまでよりも成果が上がるように仕事のコツなりツボを部下に教える。部下の仕事のレベル、その出来不出来、現状の改善ポイントについてお互いに共通認識を持つこと。それは上司にとっても部下にとっても仕事の一部だと言えるでしょう。お互いにとっての職務ではないでしょうか。
「何も忙しいのに、いちいちそのような話し合いをする暇はない。そのために報告書や日報がある」と思う上司の方もたくさんいるでしょう。しかし、報告書等の文書の提出を部下に求めている会社は多くあっても、そのフィードバックやフォローをタイムリーに行っている処は少ないように思います。これらの文書を出させても、その内容によく目を通していないケースが多くないでしょうか。
誰しも報告書や日報を仕事上書かなければならないことはわかります。
しかし、誰にとっても意外と手間のかかる面倒なことです。ですから、それについて直ぐにフィードバックしなかったり、コメントしなければ書く方のモチベーションは無くなってしまいます。そのリアクションを怠ることは部下を無視することと同じだからです。
上司が部下に報告書等の提出を求めるならば、それに対して回答することを上司は忘れてはなりません。簡単なコメントでも何でも直ぐ答えるべきです。相手の声に答える。言葉を返す。それで初めて行ったり来たりのコミュニケーションが成り立つからです。
余り遅れてもいけません。タイミングを失したリアクションではフィードバックやフォローにならないからです。
それができないのは、上司が報告書や日報が何の為の文書なのか。その狙いなり意味を理解していないからです。このような、極々当たり前の基本的なコミュニケーションを取らないでおいて、それで部下との接し方がわからないというのはいかがなものかと思います。
部下の動きから目が離れている上長が多いように思います。
( 平成 24年 9月 9日 ) ©公認会計士 井出事務所
► 関連項目: 喋る・話す・伝える・告げる