上の気分は下に通じる

 

先日、ネットで見つけた、あるアンケート調査によると、物販(小売)の店長に「勤め先の店舗の店長を続ける理由」を尋ねたところ、

 

1.「今、転職をするのは難しいから」(28.3%)       

 

2.「店の責任者として仕事に権限を持てるから」(27.0%)

 

3.「自分の仕事が日々の売り上げとして、形になるから」(8.7%)

 

4.「好きなものに囲まれて仕事ができるから」(8.3%)

 

5.「好きな接客の仕事ができるから」(8.0%)

 

6.「何となく」(6.3%)       という結果だったそうです。   

 

   ジェイティービーモチベーションズによるインターネット調査。対象は2069歳の物販(小売)店店長300人(男性235人、女性65人)

  

 店長といえば店舗経営の責任者です。ところが、残念なことに、ただ毎日、お店を開けて、店番感覚で仕事をしている店長が三分の一くらいいるというデータです。1位と6位の合計34.6%)

 

厳しい見方をすれば、彼らの本音は「店長として転職できる自信が無い。スキルが無い」ということでしょう。こうした思いは自然と下に伝わってしまいます。こう言うモチべーションの低い方が店長をやっていては、お店の数字も取れないし、部下やスタッフさんの指導も巧くできないでしょう。

  

物販に関わらず、店舗営業における商売繁盛のポイントは感じの良いお店創りにあります。店員さんが、明るい笑顔でハキハキと接してくれ、皆がテキパキ、サッサと動いているお店には誰もが足を運びたくなります。

そのような店創りのためには、チームワークの強化とスタッフさんの教育が欠かせません。

 つまり、店長職の人にとって「スタッフさんの指導力」は、極めて重要なスキルのひとつなのです。

  

首都圏で20店舗を超えるヘアー・サロンのチェーン店を経営する社長さんから、お店のスタッフ指導のポイントについて聞いたことがあります。

それは、店長の「始礼のやり方にある」とのことでした。始礼をする意味は「これから仕事をする」という気持ちを高めることです。そのためのケジメの場だと言います。「何となく過ぎる毎日」の連続では、いつまでたっても下の成長・進歩は望めないからです。

 

仕事にシビアな店長は、オープンする前にスタッフさん全員に、「今日、一日の目標。自身がやるべきこと。注意すること。意識してやること」その一言を毎日言わせるそうです。(*元々は、今月のチャレンジテーマ・目標を、毎月設定し、それを、週ごとのテーマ・日々のテーマに落とし込んだもの)

 

「笑顔を忘れない。お客様とのアイ・コンタクトを心掛ける。お声かけを頑張る。周り(各お客様のサービスの進み具合)をよく見て動く。仕上げの順番をスタイリストに早く知らせる」人それぞれ、何でも良いのです。

 

彼らは、一方的に指示や注意を与えるようなやり方だけでは、スタッフ(部下)の指導が上手くいかないことを良くわかっています。だから、敢えて自分の言葉で語ることを求めるのです。

  そうすることで、一人一人が初めて今日一日の仕事の意味を意識するようになるからです。できる店長がスタッフさんに望むことは「有言実行」その一点にあります。

  

 一方、アンケート結果のような店長は、始礼の意味を良く理解できていません。それ故、形ばかりの意味ない儀式になっています。毎日の指示や注意が「もっとシッカリと」とか「もう少しチャンと」とか、話の内容がハッキリしません。上の気持ちは伝わっても、その内容が具体的な動き方として下に伝わりません。だから実際の現場の動きにつながらないのです。

 

酷い人になると、週始めにしか始礼をやらなかったり、始礼そのものを勝手にやめてしまいます。彼らに、その訳を聞くと「毎日、同じことばかりを話しているだけなので、余り、しつこくなってもいけないと思って・・」「スタッフの自主性(やる気)を尊重しないと動かない」などと、やらない言い訳をします。

 

かの社長曰く、スタッフをシッカリと育てられないは「何のためにわざわざ毎日、始礼をするのか」始礼の意味、その理由が、シッカリと頭に入っていないからだと。

始礼は、部下指導のために怠ってはならない場であり、強いチーム・ワークを創るために欠かしてはならない職場の仕組みなのです。

 これらの話は、何もヘアー・サロンの店長さんに限ったことではありません。あらゆる業種の会社の管理者・上司にも当てはまることではないでしょうか。

 部下の指導法、職場のコミュニケーションに悩む上長の方は多いと思います。しかし、現場リーダーとして「自身の仕事の役割を的確に理解し、やるべきことを確実に実行しているか」というと難しい人が多いと思います。

 

  (平成3095日)        Ⓒ 公認会計士 井出事務所