上司力のポイント その1 眼を離さない

 

 拙稿「上司力って、何のこと?」では、コンビニの店長さんを例にして、間接的ではありますが、リーダーの役割について検討してみました。

そこで、改めて上司力の意味や内容について考えていきたいと思います。

そもそも、上司、部下という言葉はワンセットの言葉だと思います。部下がいるから上司がいる。つまり、部下との関連性、部下の対義語として出てくる言葉です。

 このように考えてみると「上司力」の意味は、仕事をする上で、上司たる者に求められる実行力のことです。部下をどのように使うのか。どのようにして部下がミスや間違いをしないように指導するのか。如何にして仕事を教え、仕事をさせるのか。要は、部下との関わり合いを通して仕事をしていく際に発揮すべき力であり、上司になったならば身につけなければならない力とも言えるでしょう。部下とのコミュニケーションが上手く取れない上司が多くなった昨今、特に部下との関わり合い方に注目してクローズアップされた言葉だと思います。

 

 上司の仕事ができる人。部下の指導、コントロールが上手い人の動きを、よく見ていると、いくつか共通するポイントがあります。そのひとつが「部下から目を離さない」ことです。部下の動きを良く見ています。

 無論、目を離さないといっても、四六時中彼らの動きを追いかけている訳ではありません。ジーッと眼を懲らして見ていることとも違います。

「目は口ほどにものを言い」という諺を皆さんご存知でしょう。「眼」という言葉を辞書で調べてみると、“目配せ”“目を光らせる”“白い眼で見る”“目がうるさい”“眼を盗む”など色々な言葉があります。

 このことからもわかるように日本人が目線を動かすだけで気持ちを伝えてきた国民だったことがわかります。「眼」という日本語は、昔からコミュニケーションの手段を表す言葉として使われてきたのです。

 つまり、アイ・コンタクトだけでもコミュニケーションはできるということです。

面白いことに、そのような眼によるコミュニケーションは、逆に部下の方が得意のようです。下の方が上のことをよく見ています。「今日は、機嫌が良いな。悪いな」そこを見逃す部下はいません。彼らは上の動きに常に敏感です。一挙手一投足をよく見ています。決して眼を離すことはしません。

何故ならば、何かあった時にトバッチリを受けるのは自分だからです。 

また、不真面目な輩(やから)は、上の眼が行き届かないことを良いことに、手を抜こうとするかもしれません。最悪の時には、上の眼を盗んで、良からぬことを企む可能性も無きにしもあらずです。

 上司の目が光っていると仕事の手を抜くことができません。「見られている」という意識が無言のプレッシャーになるからです。「ちゃんとやらないと」という緊張感が自然と生まれます。

だから、部下の動きから眼を離してはいけないのです。

 

  部下の力を引き出せる上司は、部下の仕事の仕方やひとりひとりの行動パターンを良く見ています。「直ぐにやる」「仕事に計画性がある」「期日を守る」「必ずメモを取る」「仕事にメリハリがある」「段取りを付ける」「連絡や報告をまめにする」といった、部下の習慣や得手不得手、彼らの性格が良く頭に入っています。

加えて、初めての仕事を任せたときなどは、それとなく部下の動きを見ています。タイミングを見計らって「どう調子は?」などと声を掛けて、その進み具合や出来栄えを確かめている。さり気ない一言から、彼らの仕事をフォローしたり、チェックしています。それも、部下を良く見ているからできることです。

こういうタイプの上司は、仕事のこと、部下のことが、いつも頭の隅にあります。きっと、皆さんもご家族や大切な人には、同じような感覚や気持ちがあるでしょう。「よく見ている」「いつも気にしている」というよりも「忘れていない」「ふと眼に止まる」という感じで良いのです。

 部下の表情が目に入れば「仕事が上手くいっているのか。はかどっているのか。何か悩み事があるのか」何となくわかるものです。そこに気付けば「何か良いことあった?疲れてない?」何でも良いのです。何か、一声掛けられます。

コミュニュケーションの基本は、ちょっとした気配りに他なりません。

「上司力」のポイントとして眼を離さない」を挙げたのは、こういう何気ない自然体の感じで、部下の動きを見るということです

 意識して目を運ばなくとも周囲の動きが自然と目に入ようにならなくては、一人前の上司とは言えないでしょう。そういうセンスがリーダーには求められます。

 

( 平成27428日 )         ©公認会計士 井出事務所


 

► 関連項目: 部下とのコミュニケーション上司からのメッセージ