「仕事の基本」を固める

 

テレビのクイズ番組を見ていると、一般常識を問うような中学生レベルの問題に、思いの外多くの解答者の方が苦労しています。特に、漢字の読み書きは意外に出来そうで答えられないことに気付きます。

 

 本人はわかっているつもりだけど、実際には答(言葉)が出てこない。答えたとしても正確に答えられないことも多々あるでしょう。

 

何故、この話をしたのかというと、同じような事が日々の仕事にも当てはまると思うからです。自分ではチャンとできると思っていることでも、たまにミスをする。いつもの感じで何となく仕事をこなしてはいるが、時にやるべき事の間違いに気付かないことがあり、最初からやり直しをすることがある。上司から、細かな仕事のやり方や内容について訊かれると「一応とか。取り敢えずとか。それなりに」などアヤフヤな答えしか出来ない。どうでしょう、このような思いを感じたことはないでしょうか。

 

上からの目線で見ると、入社して、数年も経つのに、仕事のやり方、手順を一通り覚えたレベルで止まってしまう。まだまだ半人前で安心して仕事を任せられない。目が離せない人が多いのも現実です。

 

意識の高いベテラン社員からは、まだまだ、基本的なこと(仕事のスキル)が身についていない。仕事への意識が甘い。緊張感が足りない。注意したことが守れない。基礎的な業務知識がシッカリと頭に入っていない。このように映ります。

 

また、上から言われないと動けない。いつまでたってもマイペース。どうすれば良いのか、何でも聞いてくる。自分で考えて動こうとしない。周りの状況をよく見ていない。上司に確かめることなく勝手に動くので行き違いが多い。残念なことですが、多くの会社で決して珍しいことではありません。もし、正社員の方がこのようなパターンに陥っているとするなら、会社としてはかなり困ったことです。 

 

このような人材育成に関わる経験談を少し紹介しましょう。経理の専任担当者がいないような小さな会社だと、毎日現金出納帳を記帳(作成)しない担当者がいます。信じられないと思う方は多いと思いますが、これも現実のビジネスの世界では決して珍しいことではありません。

 

彼らは、まず金庫の中にある現金残高(金額)を毎日チェックしません。加えて、簡単なことと多寡をくくって現金出納帳を一月分まとめて作ろうとします。その結果、記帳する内容や明細がわからなくなり、現金出納帳の現金残高と実際の金庫の金額が合いません。毎日こまめに記帳する。必ず現金残高と実際の金額を毎日確かめるという経理マンとしての“イロハのイ”ができないからです。先ほどの「漢字の読み書き」と同じく、仕事の基本がシッカリとマスターできていない人は意外と多いのです。

 

基本的なことがよくわかっていない。それでは成績が伸びる訳がありません。それは仕事の実行力にも通じることです。今のようなやり方を続けている限り、この担当者本人のスキルアップや成長は望めないでしょう。

何事も、基本が固まっていなければ進歩はあり得ません。

  

このような簡単な経理の仕事にかかわらず、あらゆる仕事において、担当者として、最低限、仕事としてやらなければいけないこと。仕事をする際に守らなければいけないこと、注意しなければいけないことがあります。

「仕事の基本」といっても良いでしょう。ところが、そこが、職場の決まり事、会社のルールとしてハッキリしているようでハッキリしていないのも事実でしょう。

  それが、担当者任せ、現場任せの仕事になっていることの実態ではないでしょうか。挙げ句の果てに、それは、社員個人の能力差、実力差という言葉にすり替わっていないでしょうか。

 

 仕事として「やるべき事。その内容・やり方・注意点を具体的に明らかにする」上と下の共通認識にする。そこに人材育成の原点があるように思います。担当が誰であっても一定レベルの仕事ができる。実行力がある。それこそが「組織力の基盤」になります上司と呼ばれる経営や現場リーダーの方は、その点をよく考えるべきではないでしょうか。

  

(令和元年927日)         Ⓒ 公認会計士 井出事務所

 

 

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