効率的なコミュニケーションと効果的なコミュニケーション

  

 先日、電車のつり革広告で「時間を取られる朝礼や報告書など昭和時代の働き方・・」といったSNSを使った新しい働き方?の提案のコピーを見つけました。要は、もっと効率的なコミュニケーションを図ることで、スピーディーに仕事を進めませんかということだと思います。

 しかしながら、勘違いしてならないことは「効率的なコミュニケーション」は決して「効果的なコミュニケーション」とイコールではないことです。

ここで効果的なコミュニケーションとは、上からの指示や注意事項を確実に伝えること。受け手は、そのことをシッカリと頭に入れて仕事をすることとしましょう。

  

社内コミュニケーションの手段が、口頭からPCのメールや携帯に変わり、今はPCがスマホになり、ラインのようなSNSになりつつあります。確かに、コミュニケーションの手段はお手軽になりました。

    ところが、これらの通信手段の変化により、上から「伝えるべき内容が確実に伝わるようになったか」と言うと、その点については甚だ疑問です。

進歩したのは通信技術とそのツールだけであって「職場全体としての共通認識を得られるようになったか。伝達事項の周知徹底ができるようになったのか」そこは、また別の問題です。

 

と言うのも、それは「急用では無いと思い、まだ開けていません。見落としました。間違って削除しました」といった言い訳。あるいは「至急、上司に報告しなければならないトラブルが起きたにも関わらず、何の連絡もしない」といった、どこの会社でも耳にするような事実によく表われてきます。

いくら、コミュニケーション技術が発達しても、メンバーの「仕事への意識」が低いままでは、共有すべき仕事の情報は伝わらないのです。伝達手段の進歩は、必ずしも仕事のレベルアップにはつながりません。

   そこで考えるべきは、時間を取られるからといって、果たして、朝礼や報告書といったコミュニケーションの場、手段が無くても問題は無いのか。

ラインのようなコミュニケーション手段で全てが事足りるのか」と言うことです。

 

職場のメンバー、全員がレベルの高い仕事が出来る。一人一人がプロ意識を持って働いているような職場ならば、連絡事項や注意事項といった情報を伝えるだけのSNSのようなコミュニケーション手段でも大きな問題は無いかもしれません。しかし、実際には、そのようなメンバーが揃っている職場や会社の方が少ないと思います。伝えたと思っていたことが伝わっていない。指示や仕事上の注意事項が徹底できない。そう思っている上司の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。

  

上長の方に忘れていただきたくないことは、部下の顔を、直接見ながらコミュニケーションをとる意味です。その点を、もう少し深く考えてみるべきだと思います。

  儀式としての朝礼、社内ルールだから仕方なく書く手続き的で意味の無い報告書。それが、社内コミュニケーションが上手くいっていない会社の実情です。これらのコミュニケーションの仕組みが役に立っていないから、ただ時間をとられる無意味なことにしか思えないのです。だからこそ、今一度、フェイス・トゥー・フェイスで話すことの狙いを掘下げて欲しいのです。

  

本来、朝礼は部下指導の場であり、報告書も指導法の手段の一つだということです。確かな仕事ができる部下。他社に行っても、即戦力として通用する人材を育てることは、職場全体としても大きな課題のはずです。彼らを、もうワンランク上の仕事が出来るようにすることは上長の仕事です。上司が言わないことには部下は動きません。

 

その為には「どうすれば、部下がレベルアップするのか。何を伝えれば成果が上がるようになるのか」その点を意識して朝礼のやり方を変えてみるのも一法です。例えば、その場で、話したことを聞き返す等して、 伝えたことがシッカリと頭に入っているのか、確かめる。そうやって、指示や仕事の際に注意して欲しいことを部下に確実に伝え、不注意や不手際を無くす。

それが、伝えたことを周知徹底する為の朝礼のやり方です。メンバーと直接向かい合って伝えるからこそ出来るコミュニケーションがあるのです。

 

 

報告書の内容であるなら「今日は何々をしました」といった子供の日記みたいな書き方を改めたいものです。「何を書いて良いのかわからない」と言う人がいますが、いったい、その人は今日、一日何をしていたのでしょうか。

何も考えずに、手先だけを動かして仕事をしていると、頭に言葉は浮かんできません。上から言われたことだけを、無意識にやっているから頭に何も残っていないのです。

 

今日の出来事を振り返ることで「もう少しこうすれば良かった」という反省事項を拾う。そういう風に、今日、一日あったこと。感じたことを自身の頭と手で確かめることが重要です。

 

チャンと、自分の頭に入っていることしか人はできません。仕事としてやるべきことを頭に刻み付ける。伸びる人は、それができる人です。

そこに、報告書のコメントとして上司としての一言を添えること。あるいは報告面談の場でヒントを与えることで、本人の気付きを引き出す。それが理想の指導法だと思います。

 

部下指導に悩まれている上長の方は、是非もう一度「朝礼をする元々の目的。報告書を書くことの本質的な意味」を考えてみてください。これらが、部下指導のための場であり、その指導手段・方法の仕組みであることを忘れてはなりません。

 

 

 

( 平成30618日 )     Ⓒ 公認会計士 井出事務所

 

 

 

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