職場を変えられるリーダー

 

以下は、ある会社の管理者(課長)研修の場で見かけた、職場の現状分析にかかわる一文です。

 

「会社の計画や方向性が組織としての動きや形にならず、

メンバーの意識が希薄である」

 

部署としての年間目標や計画はあっても、それを具体的にどのように実行していくのか、その方法がわからないために現場のメンバーの意識は、相変わらずマイペースで、これまでと何も変わっていない。また仕事のやり方も従来通りのスタイルままで何も変わっていない。たぶん、そういう意味で、書かれたのだと思います。

しかし、よく考えてみると、この文章から読み取れることは、自分がリーダーとして、会社から与えられた部署の目標を達成しなければならないことを本人は忘れています。

まるで、他人事のような表現で困ったものです。しかしながら、実際「リーダーとしてどう動いていけば良いのか。わからない」「どのようにして自部署をレベルアップし、会社から与えられた目標やテーマを達成するのか。そのイメージが湧かない」と思う上司の方も多いでしょう。

 

実際、多くの会社の現場でよく見かけること景は、一方的に指示を与えるだけで、後はメンバー各自が頭を使って結果を出すように動けば良い、と考える上司が多いことです。上位下達のスタイルでやることが正しいやり方だと思っています。「部下との関わりあい方」や「チームとしての現場の動かし方」についての考えが浅いと、どうしてもこういう接し方になりがちです。部下への不満を口にするのは、その証拠でもあります。社内の立場的な上下関係だけで職場は動くという発想しか彼らには浮びません

このように考えるリーダーの職場は、仕事を全て担当者任せにしているので、メンバー一人ひとりがバラバラに動いています。各自、自分の仕事さえチャンとやっていれば良いと思っている。ところが、そのレベルは本人が思っているほど高いものではありません。メンバーのレベルに大きな格差があります。

 加えて、報告・連絡・相談といったコミュニュケーションがスムースにいかず、まとまり感の無い職場が多いものです。

 

現場リーダーの役割は「仕事が出来る部下を育て、職場全体をレベルアップする」その具体的なイメージを描き、それを実行することです。

大切なことは上司として、どう動けばよいのか。メンバー(部下)にどのように働きかけていくのか。リーダーとしての具体的な行動力、その人の職場に応じた適切な動き方です。それこそが「リーダーシップ」に他なりません。

 

では、どのようにメンバーに働きかけていけば良いのか、職場をまとめていけば良いのか。成功しているリーダーの動き方を見てみましょう。現場の動き方を変えられる人は、まず最初に、メンバーの思いや考えを引き出すような取り組みをします。指示することよりも、話し合いの場を設け、そこで下への問いかけを発していきます。

例えば「今の仕事のやり方がベストだと思う?今のままで会社は大丈夫だと思う?」といった素朴な疑問です。

そう訊かれると「今の方法、やり方に何か問題があるのか」と思うマイペースタイプの人のほうが多いでしょう。

一般的には、それくらい今やっている仕事のやり方、その良し悪しについて考えている人は少数派だと思います。

ところが改めて「今の仕事のやり方がベストか」と問われると、心の底では誰しも「現状のやり方がベスト」だとは思っていないものです。リーダーが、こういう問い掛け(問題提起)をすることで、これまで余り意識することの無かった「仕事のやり方の良し悪し」について考えるようになります。 

 

 組織を変えることが出来るリーダーは「メンバーの共通認識が、組織を動かす軸になる」ことを良くわかっています

 だから一方的に話をすることよりも、話し合いの中から個々の意見を引き出すこと、そして、お互いの考えを共有することを重視します。

 上記のような何気ないテーマについて、お互いの意見を交換する。そうやって、少しずつメンバーの共感を引き出し、ひとりひとりを巻き込んでいくことが上手いのです。

まとまりのない現場、バラバラに動いている職場に一番欠けていることは「チームワークで仕事をしている」という意識です。職場というチームの一員であるという自覚が足りません。だから、マイペース(自分勝手)なやり方になってしまうのです。  

 

( 令和3415日 )         ©公認会計士 井出 事務所