「言い過ぎてもいけないし、言わなすぎてもいけない」その線引き

 

職場のリーダーであれ、社長さんであれ「どうすれば、部下が伸びるのか」その指導・育成について悩まれている方は多いと思います。リーダーとしての役割や下の指導法について学ぶ機会も無く、これまで我流の教え方でやってきた。日々の動きの中で何となく、自身にできることはやってきたつもりだ。そう思っている。

しかし、そこにシッカリとした自身の考え方を持っている方は以外に少ないように思います。

残念なことですが、部下を持つ立場にありながら、具体的な指導法のイメージや自身のマネージメントスタイルにはっきりとした自信がありません。 

 

その一例が「言い過ぎてもいけないし、言わなすぎてもいけない」その線引き(感覚)がわからないという問題ではないでしょうか。

確かに、多くの会社で、(直属の)上司のタイプとして「言い過ぎる派」と「言わなさ過ぎる派」の二つに分かれるかと思います。ここ数年の流れを見てみると、前者のタイプは、下から「パワハラ」と思われてしまうことを恐れて、少数派になっているような気がします。

しかしながら、時代は変わっても、経営的にみると、会社的にも、職場的にも、どうも「言い過ぎる派」のリーダーの方に、いつも軍配が上がりそうです。そこで、リーダーの役割・やるべき仕事という視点から、この問題を考えてみたいと思います。

 

そもそも、組織のリーダーの役割は、会社なり職場を前向きな方向に導いていくことです。あるべき論としては、現状の仕事をただこなすだけでなく、そのスピード感、レベルアップを推進するのがリーダーの仕事です。特に、仕事の内容がマンパワー的な要素が大きい仕事では、職場のレベルアップと後進の育成は、ほぼイコールの問題として捉えられます。

営業の管理者なら、職場全体の営業力アップ(提案営業の推進)、提案力アップ(企画書の作成能力)が求められます。IT企業の開発部門は、10年以上も前から、開発期間の短縮(納期の遵守)、バグの減少(開発の工程管理の強化)が欠かせません。このような職場の基本的な改善テーマが、いつまでたってもクリアーできない会社が多いのも事実でしょう。

他にも、ちょっとしたミスが無くならない。さらに悪しきケースとして、基本的な職場のルールが守れない。何度、注意しても守るべき約束事や注意事項が守れない。といったことも良く見かける光景です。

このような状況を見過ごしていると、職場全体の(仕事の)緩み、レベルダウンにつながっていきます。

職場として、最低限、守るべきことが守られないようであれば、上司としてシビアな対応をとらなければなりません。下に「言いたくないこと」や「厳しい言葉」を一言掛けるのも上に立つ者の仕事です。

 

そこに、言い過ぎるとか、言わなさ過ぎるという視点はありません。 仕事のやり方、その出来ばえに良し悪しにケジメをつけることは、上司の仕事に他なりません。

要は「言う、言わない。口数の多い、少ない」の問題ではなく「伝えるべきことは、躊躇うことなく言う」ことが肝心なのです。締めるところは締める。仕事への緩み(緊張感の欠如)を見逃さない。その辺りの感覚が備わってくれば、自ずと「言い過ぎ、言わなさ過ぎ」の判断ができるようになると思います。

ともすると、部下との関係性に気を遣うあまり、言葉をかけるのを止めてしまう上司が多くいらっしゃいます。それは下とシッカリと向かい合うことを避けているのかもしれません。そういう方こそ、今一度、上司の役割という原点に立ち返って、メンバーのスキルアップのための指導、注意を行って欲しいと思います。

 

ただし、今の時代、その言い方には気をつけなければなりません。欠点指摘のオンパレードや個人攻撃にならないよう言葉遣いには、十分気をつけましょう。部下だからと、下に見るから、思わず大きな声が出る。棘のある言葉を口にする。感情的な伝え方はNGです。

 

( 令和2815日 )         ©公認会計士 井出 事務所

 

 関連項目:  「上司力」って何のこと?

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