部下に有言実行を期待するだけでは何も変らない

 

  規模の大小、業種の如何を問わず、基本的なことでありながら、なかなか徹底できない仕事のやり方や進め方があるものです。週明けに必ず今週の予定を頭に入れて、仕事の段取りをシッカリと整える。先を見て動く。前倒しに仕事を進める。仕事にメリハリをつける。仕事をする際には、その注意事項をもう一度、確認する。まめに上司に連絡や報告を入れる。提出物の期限を守るといった、一見、当たり前のことばかりです。

 しかしながら、実際にこのような当たり前のことができる会社の方が少ないと思います。

このような仕事のやり方、進め方は、仕事のできる人が必ずと言って良いほど、身につけている行動パターンです。どれも当たり前のことばかりですが、誰もができることではありません。

 大切なことと頭ではわかっていてもツイツイ忘れてしまう。あるいは、目先の煩わしさが先に立って、スルーしたくなる心理がどうしても働くからです。その結果、仕事がスムースに進められない、後手後手に回る。期日に間に合わないといった悪循環を招いてしまいます。

 

 会社は、時流に乗るだけ、勢いだけでは成長するものではありません。伸びる会社に共通することは仕事にシビアなことです。「やった、やらない。できた、出来ない」の線引きをハッキリ付けます。細かなことを疎かにしません。仕事の基本がシッカリと徹底されています。また、全員がそれを実行できるような仕組みがあります。改革の進め方:参照)ですから、成長している会社の社員は、上記のような組織的な動き方の軸になる仕事の進め方を良く知っています。このような基本的な仕事のやり方をシッカリと身につけています。

  一方、頑張っているけど、思わしい成果につながらない会社は「今更、イチイチ言わなくとも」と思うような初歩的なことがなかなか社内に浸透できません。社内の仕事振りがマイペースになっています。笊で水をすくうような仕事のやり方になっているから伸び悩むのです。

 

部下が当り前のことができるようにする。それには、仕事の有言実行を部下に求めるべきだと、前回の拙稿不言実行を期待する限り、当たり前のことはできるようにならない)でご提案をさせていただきました。

 では、部下に有言実行を求めるような仕組みにさえすれば、彼らは当り前のことをできるようになるのか。任せっぱなしにして、自身の力だけで目標を達成できるか、仕事を成功させられるかと言うと、そういうことでもないでしょう。 多く場合「言ったものの、やらない。口にしたけど結局出来なかった」という有言不実行で終わってしまうことになりかねません。

「言うは易し行うは難し」というのがリアルな現実だと思います。

 

そこで欠かせないのが上司の指導力です。そうならないように、部下の動きから眼を離さない。部下が有言実行できるようにフォローすることが大切です。そこに上司の存在価値があります

 タイミングを見計らって指示をする。注意をする。仕事の進み具合を確かめるなど、彼らにまめに声を掛けるべきです。時には「何故、(仕事が)上手くいかないのか」職場メンバーと話し合うことも必要でしょう。

  部下が当り前のことができるようになるには、上司のサポートなりバックアップが欠かせません。部下と、シッカリと関わり合うべきです。


 よくよく考えてみると、部下の育成、仕事力アップは、上司の指導力の問題だけではありません。「言ったことは必ずやる。自分の言葉に責任を持つ」このような部下自身のマインドがあってこそ、上司の指導も活きてきます。日々、同じこと(仕事)を、ただ繰り返しているだけでは仕事は上達しません。 だからこそ、有言実行という考え方を通して、部下の方に「自身の仕事のレベルを上げる責任」があることを自覚して貰うことが大切です。仕事への自発的な気持を持たせる。そのための有言実行の仕組みであるべきです。

 不言実行というやる気を期待するだけでは職場のメンバーは成長しません。有言実行というやる気を求めるだけでも、彼らの仕事の実行力は上がらないでしょう。本人の自覚、意欲と上司のアドバイス。この二つが揃ってこそ人は育つのだと思います。

 

 昨今は、部下から「口喧しい上司」といわれるような方が少なくなりました。会社の戦力になる一員となるよう部下を鍛えるそれも上司たる者の役割であり責任です。ある意味「口喧しい。口うるさい」というのは、強い指導力の表れではないでしょうか。

 

( 平成261214日 )                   ©公認会計士 井出事務所