頭を使って仕事をする(伸び悩む中堅社員)

 

 頭を使って仕事をする。そういうと、何か良いアイデアを出すとか、工夫して新しいやり方を見つけるようなことが思い浮かびます。しかし、それを現場の担当者レベルの人達に求めるとなると、現実にはかなりハイレベルなだと思います。誰にでもできることではありません。

 あらゆる業種のどのような職種の仕事でも、実際の現場レベルでは「注意したことを守る。マニュアルのようなルールを守る。上司の指示通りに動く」というような当たり前のことが、必ずしも徹底できているとは言えません。

現場の担当者からすると、業務ルールや注意事項は面倒で手間にかかることです。だから、上辺だけの形で仕事をしようとする。何とか理由をつけて、やろうとしない。効率的と称して手を抜こうとする。自分に直ぐできることだけやって、できないことはやらない。自分が、やりたいことだけやって、やりたくないことはやらない。それでは、いつまでたっても仕事のレベルが上がりません。仕事が上達しないのは、このような仕事に対する後ろ向きな考え方があります。

 

 だいぶ以前に、街のスーパーを主たる取引先にする惣菜関連の食品会社で、お手伝いをさせていただいた時のことです。その会社では「営業鉄則」として、以下の三つの項目を徹底していました。

         

 ①通路の空き箱の片付けなど、必ず取引先のヘルプをすること。

 ②売れ筋商品やセールス・キャンペーンなど、必ず他店の情報を持って行く     こと。

 ③キャンペーン提案、営業の際は、必ず実績数字をベースにして商談をすること。

 

 ところが、実際には、これらの注意事項は、一部の担当者しか実行していませんでした。限られた時間で、配送だけでなく陳列までやらなければならい。忙しくて、そんな時間はない。これをやったからと言って取引は増えない。それが担当者の多くの意見でした。その一方、彼らは「数字が伸びない。キャンペーンの提案をしても耳を貸してくれない」という悩みを持っていました。

 取引先からすれば、忙しいときに手伝ってくれるから話を聴こうと言う気になる。良い情報を持ってくるから耳を貸す気になる。何にもしないで商売しようと言うのは虫が良すぎる。それが向こうの本音です。

 この会社の「営業鉄則」は、ある意味、この業界の営業ノウハウを示していました。お店のヘルプをしても、直接取引は増えるものではありません。

 しかし、これをやらないとこちらの話に耳を貸してもらえません。提案のきっかけさえ掴めないのです。提案のチャンスそのものを失ってしまう。

 要するに、提案のチャンスを掴むノウハウこそ「営業鉄則」の内容だったのです。ところが、多くの担当者はそのことに気付かず、自身の職務怠慢を棚に上げて「パッケージが目立たない。古臭い」という自社製品の欠点を並べ、売上が伸びない理由ばかりを口にしていました。

 

  彼のような人達は、これらの上司の指示や注意、ルールの内容が、その仕事のノウハウであることに気付けません。「上手く行くやり方。ミスをしないポイント」ということに頭が回らない。それがわからないから上司からそのことを注意されても、皆聞き流してしてしまう。最低限やるべきことを屁理屈を付けて実行しようとしない。そして、毎回同じような失敗やミスを繰り返している。

 その反面「頑張っているけれども成果が出ない。良い方法が見つからない」と悩む。残念なことですが、多くの会社でシバシバ見かける光景です。

 マイナス思考のまま、いくら頑張っても状況は良い方向には進みません。頭を切り替えて、仕事への取り組み方や姿勢を変えていかないと望ましい成果は得られないでしょう。

 

頭を使って仕事をする。それが、正社員に求められる仕事のやり方だと思います。その基本は、まず自分の仕事のチェックポイントをシッカリと頭に入れることです。仕事をする上で注意すること、気をつけること、意識してやることが頭の中にちゃんと入っているか。それらの内容が、自身の中でハッキリしているか、今一度、確かめるべきだと思います。

基本的なことが疎かになっていないか。アヤフヤ、うろ覚えになっていないか、もう一回初心に立ち返って考えるべきだと思います。

 結果を出せる人、仕事ができる人は、普段から頭を使って仕事をしています。仕事に前向きに取り組んでいる人達です。だから、物事がプラスの方に進んでいくのです。

 「前向き発想」の根っ子にあるのは「何事にも頭を使うこと」ではないでしょうか。

 

 ( 平成251126日 )

 

► 関連項目: 反省材料を拾う