仕事のスピード感(その1)

 

1.スピード感の大切さ 

 タイム・イズ・マネー。時は金なり。どちらも、昔からある言葉ですが、今ほどそれが当てはまる時代も無いでしょう。特に、ここ数年、検索エンジンの精度アップとスマホの普及はビジネスのスピードアップに益々拍車をかけています。他者より速く提案できる営業、早く開発できる会社というように、今や「他社より速い」ということは、重要な差別化要因の一つです。まさに、ビジネスのスピード、仕事のスピード感はビジネスのレベルを表していると言えます。

「速い者が遅い者に勝つ時代」この言葉は2000年、松下電器(現:パナソニック)の中村社長が「創生21」というビジョンの実行に向けて唱えたことです。大きい者が小さい者に勝つ時代は過ぎたと、彼は当時から言っていました。いまから、もう15年前の話です。

 スピード感のあるビジネス、スピーディーに仕事のできない会社は、最早通用しない時代になりました。ただ残念なことに、中小企業では、この事実に気付いているのは、まだ一部の会社のように思います。

 

2.仕事の速い人

 仕事の速い遅い。良く考えてみると、仕事の速さ、スピード感には、二つの意味があるように思います。

 ひとつは、伝票作成のような事務処理、会議の資料や報告書の作成のような定期的にやる社内業務。もしくは、取引先への提案書や見積書の提出など、社外的にスケジュールの決まっている仕事の速さです。

 もうひとつは、急な仕事、飛び込みの仕事など、当初に予定していた状況が変わったときの対応スピードです。どちらも大切なスピード感ですが、ビジネスに求められるのは後者のほうです。しかし、前者が遅ければ、後者の速さは求めるべくもありません。

 

 仕事の速い人には、いくつか共通する仕事のやり方・進め方のパターンがあります。以前に、印刷会社をお手伝いしていた時のことです。印刷には製版と言う版下(印刷機の原稿)を造る仕事があります。その版下を印刷機に取り付けて印刷をします。ですから、版下が出来上がらないと印刷自体ができません。

 例えばそれがスーパーのチラシのような仕事だと、その内容が次から次へと頻繁に変ります。出来る担当は、忙しい中でもその変更内容をパッと見て「二・三時間下さい。午前中までにやっておきます」と感覚的にその時間を計算できます。飛び込みであろうと無かろうと、その仕事にかかるアバウトな時間が読める。だから、一目見た瞬間に「いつまでに」という仕事の期限が自分でわかるのです。

 勿論、それは、やるべき仕事の全体像とその手順や段取りがシッカリと頭に入っているからできることです。だから、一旦手をつければ、後は集中して、テキパキ、サッサと手際よく仕事を進められるのです。

 印刷業に限らず、受注業や請負業では、当初の仕事とその内容がドンドン変っていくことは珍しいことではありません。急ぎの飛び込みの仕事も良くあることです。ですから多くの仕事を抱えながら、且つ状況の変化、仕事の変更に素早く対応できることが「仕事ができるできない」を線引きするラインになります。

 

以下、仕事の速い人、仕事のできる人の動き方の特徴をまとめてみました。


① 具体的な仕事のスケジュールを頭の中で描ける。それが、常に頭の

  中にある。やるべき仕事の全体像と、その手順と細かな注意事項や

  段取りがシッカリと頭に入っている

② 全体的なスケジュール、状況、先を見て動く。前倒しに仕事を進め

  ていく。「いつまでに」という明確な期限。もしくは「今日中に、今週

  中までに」といった具体的な期日(納期)を決めて計画的に仕事を進めら

  れる。

③ 状況に応じてペース配分を考えたスケジュール・コントロールが

  できる。仕事の重要性、緊急性から優先順位を判断し、時間調整が

  できる。

④ 今できることを確実にやっておく。

  余程特別な事情が無い限り、仕事の予定を先送り、後回しにしない。

  会議の資料・報告書の作成のような雑用をサッサと片付ける習慣が

  ある。

⑤「やるときはやる」という集中力がある。

  仕事のメリハリの付け方が巧い。


 彼らは、このような「時間を意識して仕事をする習慣」を身につけています。ある時は「いつまでに」という期日、納期といった時間。「今週中に、今月は」といった計画、スケジュールという将来の時間枠()仕事のリード・タイム、所要時間といった時間を、常に意識して仕事をしています。

仕事の「スケジュール、カレンダー」が常に頭の根底にあり、良い意味で、予定が変わろうと、仕事とは「そういうものだ」と早く割り切っています。見方変えれば、余裕の創り方を知っている人達です。

 

 ( 平成261221日 )       ©公認会計士 井出事務所