仕事のスピード感(その2)  

仕事の速い遅い。その基準を考えて見ると、多くの場合、それは11秒の問題ではなく「決められた期日期限より、早いか遅いか」そこが最も問われる処です。大切なこと、求められることは「仕事の期日や期限を守ること」だと思います。要は、スケジュール管理、仕事の工程管理、納期管理能力の問題です。言葉を変えれば「仕事のメリハリの付け方」のことではないでしょうか。 では、どうすれば手早く仕事を進められるようになるのか、スピード感を高められるのか。特別なことではありませんが、私自身のやり方、進め方をご紹介したいと思います。

 

1.「トゥー・ドゥー・リスト(ToDoList) 」を作る

 今月、今週、一週間、今日といった比較的短い期間で仕事が詰まった時は、通常のスケジュール表の他に、私は「トゥー・ドゥー・リスト(ToDoList)、以下TDL 」を必ず作ります。これは、今週中にやらなければならない仕事のテーマを、リストアップして一覧表にまとめたものです。

例えば「S社の財務研修の提案書」「丙社のセミナーで使うパワポ」「K法人の公益目的支出計画」といったように、具体的な仕事を書き出します。

何も特別な書式がある訳ではなく、通常は失敗コピーの裏紙に書いています。

 但し、直ぐに目に付くような「太い、大きな字」でマジックで書いて、デスクの横の壁に貼っておきます。そして、その仕事が終わったら、赤いマジックで横線を引いて消していくだけの簡単な仕組みです。

 

 毎年、数回このリストを作りますが、これを作るときは、いつも仕事が

かなり立て込んでいる時です。ひとつは仕事の納期が重なっていること。

もうひとつは納期そのものタイミングが迫っている時です。

 個人的な感覚ですが、TDLをつくると自然と気合が入ります。大げさですが自身の中で「さあ、やるぞ」というちょっとした緊張感が生まれます。

このような臨戦状態になった自覚が、きっと集中力を高めて、いつもより仕事のスピードが速くなるのだと思います。

 

 仕事が重なってしまうと「やらなければならない」という気持が空回りして、ひとつひとつの仕事、個々のインパクトがボケてしまいがちです。

だから、仕事の優先順位が曖昧になってしまうことがあります。

ひどい場合は、ウッカリやるべき仕事を忘れてしまうこともあります。

忙しさに追われて、頭の中がゴチャゴチャになってしまうからです。

このようなときに、頭を整理するのに役立つのがTDLです。

 まず「やらなければならない仕事を書き出す」ことで、やるべきことがシッカリと頭に入ります。それを眼にすることで、やるべき仕事が常に意識でき「仕事のメリハリ」が付けやすくなります。

当然、忘れるということも無くなります。

 

その最も大きな効果は、タイトな状況の中で、仕事の優先順位を明らかにすることに役立つことです。滅茶苦茶に忙しい時「どの仕事を先に仕上げるか」「何から手をつけるか」は、その納期やかかる時間によって判断します。 基本的に、私は新しいアイデアが求められること、手間のかかることから手を付けます。場合によっては、雑用的な事務仕事を先に済ませてから、時間のかかる仕事に掛かることもあります。

ところが、実際に仕事を進めるにしたがって、その状況は変わっていきます。当初に思ったより梃子摺って時間をロスすることもあれば、逆に、考えていたより時間がかからなかった仕事もあります。

 

そんな時、この何気ないTDLという仕組みが思いの外役立ちます。

「やり残した仕事、手付かずの仕事、それらに必要な時間」のような適切な状況判断はハッキリとした状況認識、現状認識から生まれます。

 追い込まれた状況において、どれが一番適切な選択肢なのか、何が最も効率的な方法か、冷静な判断をするには、頭の中で思い煩うより、

眼に見える具体的な言葉や文字で考えた方がわかりやすいものです。

 だからこそ、やるべき仕事、その現状を客観的に判断できる仕組みがある方が望ましいのです。それがTDLに他なりません。

見方を変えれば、その時点での「やり残した仕事のチェックリスト」です。

焦った気持のまま頭で考えたこと、プレッシャーの中で思いついたことは、良い方向に進むことは少ないと私は思います。


私はTDLという仕組みを知っていて助かったと思ったことが何回もあります。これを知らなかったなら、パニックになって大失敗をしていたかもしれません。皆様も、何かの際に、お試しいただけたらと思います。

 

( 平成261226日 )          ©公認会計士 井出事務所