「仕事の仕組み」と「プロ意識」 

 

 「やっぱりプロは違うね。流石プロだわ」そう思える仕事をする人達がいます。そういう感じを持つのは、弁護士さんやお医者様のように高い技術が求められる専門職だけではありません。一見、誰にでもできそうな仕事にも同じことが当てはまります。どのような仕事でもプロの仕事と言われるレベルは、実はとても真似できないレベルの内容があるように思います。

その一例として挙げられるのが「新幹線お掃除の天使たち」として知られるテッセイ(鉄道整備株式会社)(女性)社員の働きぶりです。テレビでも何度も紹介されているのでご存知の方も多いでしょう。

何故、注目されるのかというと、常人にはとても真似することができないような現場での彼女達の仕事の仕方です。新幹線の終着駅、そこから折り返して始発列車となるまでの、わずか7分間の間に座席、通路、トイレの清掃、ゴミだし、座席のカバー交換、方向転換等の仕事を全て終えます。

 その手際の良さ、スピ-ド感たるや常人の想像をはるかに超えるもので、とても人間業とは思えません。

 また、彼女達は清掃員としての顔だけでなく、接客要員としての顔を持っています。整列して到着する列車を待ち、降車してくるお客様に「お疲れ様でした」と一礼して声を掛ける処から仕事がスタートします。

仕事を終えると、今度は乗車して来るお客様に「お待たせしました」と再びお辞儀をしてお声を掛けてから、次の仕事場(列車)に移っていきます。

 彼女達は、おもてなしの心を体現するサービス・レディーでもあるのです。勿論、誰もができるレベルの仕事ではありません。まさにプロフェッショナルの仕事です。しかし、それを実際にやっているのは、ごく普通の人達であることも確かだと思います。


 
ここで皆さんに、最初にお伝えしたいことは、どんな仕事にも「プロ」と言われる領域、レベルがあることです。それは、会社勤めで仕事をしている人も同じです。営業の仕事で言うと、営業のプロ、プロの営業マンの仕事のやり方というように「仕事の出来る人」は、周囲から認められるようなレベルの高いスキルやノウハウを持っています。そして、何より彼らはプロ意識」を持って仕事をしています。プロとしての「強い責任感」があるとも言えるでしょう。ところが誰もが最初から今のレベルの仕事ができるようになった訳ではありません。新入社員の頃は、皆、ド素人の営業だったはずです。

同じ会社に入り、同じ営業の仕事をしていても、3年、5年と経つと同期入社であっても、段々と実力の差が出てきます。それは本人の能力の問題もありますが、多くの場合「どう動けばもっと仕事を取れるのか。何をすれば数字を伸ばせるのか。どういう話をすればこちらの話に耳を傾けてくれるのか」といった仕事へのスタンス、取り組み方の違いが大きな要因になっていると思います。

要は「仕事に対する考え方、取り組み方、意識」のような「マインドの側面」の積み重ねが「営業マインド」や「営業センス、営業感覚」になって表れてきます。ある意味、それらが営業職における「プロ意識」ではないでしょうか。ひいては、その差が時間と共に実力の違いになって出てきます。

提案力、情報発信力、話題提供力、情報量、トークスキルのような「プロの技」の違い「営業ノウハウ」の差になるのです。

「営業マインド」を持って入社してくる新入社員など誰一人いません。

では営業マインドのレベルの高い社員が多い会社と少ない会社では何処が違うのでしょうか。

 多くの人は、容易く「それは、会社の(営業)体質が違うから」と言います。「社風や歴史が違うから」という人もいます。ではどうすれば、営業マインドの高い会社、営業スキルの高い職場になれるのかと問うと、皆さん途端に口を閉ざしてしまいます。それこそが「会社の組織力」を考える際の本当の問題、問題の本質になるポイントではないでしょうか。

 

 ともすると、職場のレベルアップには社員一人一人が自ら「やる気」や「責任感」を持って頑張ることが大切ということに目が向きがちです。

それらを「プロ意識」といえばそうかもしれません。 

しかし、全員にそれを期待しても無理があると思います。そんな出来る社員ばかりなら社長は苦労しません。

「プロ意識」を持てる人材を選び抜くことも大切ですが、彼らの能力を引き出す「会社の仕組み」を整えることも欠かせないと思います。

 

伸びる会社を見ていると、営業に限らず、一素人をプロとは言えないまでも、そこそこ通用する戦力にするシステムがあります。一人前までとは行かなくても、それなりのレベルの仕事ができるようにする仕組みがある。

それが「組織力」のベースになりますつまり、メンバー個人の能力に依存しない「仕事の仕組がシッカリしている会社です。そこが、伸びる会社と伸び悩む会社との大きな違いです。

どの業界でも業容を拡大できる会社に共通することは仕事にシビアなことです。ところが、企業の成長期には新しい人達が多く入ってきます。このような状況の中で現場の実行力を維持するには、「従来の仕事のチェックポイントを今一度確かめる。メンバーに周知徹底する」仕組みが欠かせません。各部署の業務レベルをキープする為のチェック体制を整えるといったシステムの整備が求められます。

成長できる会社、言い換えると「強い会社」には、当社では「こういうやり方する」というハッキリとした「仕事の仕組み」があるものです。

「こういう手順でやれば失敗しない。こういう点に注意すれば上手く行く」といった「仕事のコツ」がオープンになっています。そして、その内容を徹底する仕組みがあります。各部署での「プロの技」「誰もが出来て当たり前」の仕事のやり方になっています。ですから、担当者によって仕事の軸がブレることがありません。まさに、それこそが「会社の組織力」に他なりません。 実際、このような仕組みがないと、現場任せの人海戦術だけでは、とても会社の成長に対応できるものではありません。

 

このような「仕事の仕組み」創りは、誰の仕事かというと、やはり経営の仕事だと思います。現場の責任者は、目先の仕事しか頭にありません。

管理者は常に日々の仕事に追われています。このような状況の下で現場の「業務ノウハウ」を明らかにする「自部署の技」を固めなさいと言っても難しいでしょう。もうワンランク上の売上規模に飛躍するための経営課題として、是非、トップの方にお考え頂きたいことだと思います。

 

( 平成27219日 )         ©公認会計士 井出事務所

 

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