凡事徹底

 

「凡事徹底」という言葉があります。それは会社として「仕事の基本・仕事のイロハのイ・当たり前のこと」を徹するという意味です。

 スーパーのような流通業であるなら、売り場の活気作りのために「いらっしゃいませ。有難うございました」と大きな声を出してお客様を接客するのは当たり前のことです。また、売り場に必ずプライスカードを置くことや商品に値札を付けることも忘れてはならないことです。店内の整理整頓は、言うに及ばず、空箱やダンボールを売り場に置きっぱなしにすることなどもっての他です。しかしながら、現実には、お客様からすると、その当たり前のことさえ出来ていないお店が多いのも事実です。

  業種を変えて、工事や運輸関係の仕事をしている会社の「仕事のイロハのイ」について検討してみましょう。これらの業種では事故はあってはならないことです。ところが、大きな怪我のような事故ではなくとも、本人の不注意による小さな事故がなくならない会社があります。

 こういう処でさえも、日々繰り返し現場リーダーが「事故を起こさない」ための注意事項を呼びかけています。さほどシビアな会社でなくとも、毎朝朝礼の際に「注意事項を復唱する」くらいのこともしています。

 

しかし、その程度の動き方ではメンバーの意識は変われません。口先だけの掛け声だけでは現場は動かないのです。それくらい、当たり前のことを現場に徹することは簡単なことではありません。

 

よく考えてみると、凡事徹底は部下の仕事ぶりについてだけ言えることではありません。このような基本的な仕事のやり方を指導出来ない上司の方にも当てはまることです。また、それは会社全体についても言えることです。会社の組織力の問題と言い換えても良いかもしれません。

 

では、完璧ではないにしても、卒のない仕事が出来る会社では、どのようにして現場に「凡事徹底」を図っているのでしょうか。 

 

1.「やるべき仕事の内容・レベル・やり方・進め方・その際の注意

  事項」を明らかにしている 

      「確実にやるべきこと・注意してやること」を、ひとつひとつ洗い出し  て、文書化しています。それらを守るべき「仕事の決まりごと・職場の   ルール」にしています。

 

2.特に重要な「職場のルール・注意事項」を壁に掲示している

  いつでも誰でもが忘れないよう、皆に見えるように、その内容を壁に

張り出しています。         

 

3.定期的に社内キャンペーンを実施している

   多い会社では、3ケ月に一度の割合で「お客様とのアイコンタクトを

  見逃さない」といったキャンペーンを行い「接客力向上月間」として、

  メンバーのお客様への意識を高めています。

 

どれも当たり前のことばかりで、目新しいことは何もありません。しかし、これらのことは、その内容に取り組む職場のスタンスを示しています。それをメンバーに徹する姿勢が明らかです。「何気ないこと、ちょっとしたこと」という軽い感じで、本人任せや現場(リーダー)任せにしていません。会社として「仕事の基本」を徹底するための仕組みになっている。取り組み方の本気度が違います。

 

「やらなければいけないと、わかっていること」を確実にできる。それは、現実のビジネスでは、なかなか実行できることではありません。何度言っても無くならない、部下の不注意や準備不足によるミスやトラブル。

 報告書等の提出物の期日が守れない。あるいは職場のコミュニケーション不足による「確認忘れ、漏れ」「連絡忘れ、漏れ、遅れ」「報告忘れ、漏れ」といった問題も多々あると思います。

 

多くの会社の社長さん、現場リーダーの方が、一番悩んでいるのが。この「あたり前のこと、わかりきったことが、どうして出来ないのか」ということではないでしょうか。

 ちょっとした意識や注意力が足りない。流れの中で仕事を早く片付けることしか頭にない。頭を使うことに気が向かない。同じような失敗を繰り返している。そういった光景をあらゆる業種の現場で数多く見かけます。どのような仕事にも共通することですが「やらなければいけないと、わかっていても出来ないことは多い」ものです。その原因を突き詰めてみると、どうしても本人の“やる気”とか“意欲”“責任感”というありきたりな言葉にたどり着いてしまいます。しかし、それらの言葉には、どこか他人事のようで、評論家的な表現を感じざるをえません。

 

 「仕事のやり方・進め方・その注意事項を徹底する」それがビジネスを成長させる基盤になります。店舗営業におけるお客様への挨拶をひとつの例にしても、それが仕事という意識。それも給料の一部という考えを身につけてもらうための仕組みがあります。

 伸びる会社は、現場リーダーの力だけに頼ることなく、一時が万事、上記のような仕組み造りを通して現場の足腰を鍛えることを怠りません。

 

( 平成28119日 )       Ⓒ 公認会計士 井出 事務所