「問題点」と「課題」の違い ( 自部署のテーマ設定 3 )

 

 今年も終わりに近づき、そろそろ次年度に向けての「部署のテーマ設定」についてのご相談を受けることが増えてきました。そこで、営業、工場(メーカー)、制作・業務(サービス業) 等の各部署の次年度の「テーマ設定の仕方」について検討してみたいと思います。

そもそも、毎年、部署のテーマ設定が求められるのは、常に発展成長を目指す会社だからです。組織としての向上心を、具体的な動き、仕事のやり方にしようとしている。だからこそ「目指すべきテーマ」が求められるのです。本来、自部署の年度テーマは、一つの筋として自社の経営戦略や事業戦略を受けて出てくるものです。ですから、戦略が明らかで、毎年経営計画を作成しているような仕組みを持った会社に求められることです。

ところが、日々の仕事で一杯一杯の会社、来年・再来年と先の見えない会社も多いと思います。部署ごとの目標なり、チャレンジテーマが毎年明らかにならないのは、そのあたりの事情による処が大きいと思います。

 しかし、いくらあるべき論を言っても、その会社の実情、現実にあったものでなくては役に立ちません。そこで、部署として「何を目指すのか。何を求めるか」現実的なテーマの設定の仕方について考えてみましょう。

自部門の問題、会社の問題を検討するとき、はっきりと区別しておくべきことがあります。それが「問題点」と「課題」というテーマ設定に関わる言葉の意味です。そこで、まず、その二つ言葉を定義してその違いを考えてみたいと思います。

 

最初は「問題点」の意味、内容について検討してみます。どこの会社でも、営業のレベルが低い。計画的な営業ができない。他社と差別化できる主力商品がない。新商品や新サービスの提案ができない。顧客からのクレームが減らない。あるいは、仕事のミスや間違いが多い。取引先とのトラブルが減らない。仕事が遅い。期日を守れない。スピード感が足りない。コミュニケーションが悪い等、実に多くの問題点を抱えています。この他にも、これまで色々と努力してきたがその成果が表れない。他社に遅れをとっていることがあるでしょう。

不注意なのか準備不足なのか、何かしらの原因が過去の時点にあって、現状、何かしらのミスやトラブル、不都合が起きている。そして、それらが自部署のスムースな業務運営を妨げている。要は、本来できて当たり前のことが

できてないことです。

 このような、早急に解決すべき出来事や改善すべき仕事の内容、やり方進め方を「問題点」と定義します。現場の実行力不足にかかわるテーマと言ってもいいでしょう。

 

次に「課題」の意味、内容について考えてみます。今の業務運営上、現在何のミス・トラブルや不都合、差し障りは無いが、先のことを考えて、今から手を打って方が良いことがあります。更なる成長、レベルアップのために目指すべき仕事のレベル、新たにチャレンジすべき仕事の内容とも言えます 

 

製品・商品の開発、新技術開発、新サービス開発、店舗開発のような

開発業務」

 生産改革、営業改革のような、新たな制度や仕組み創りを伴う自部署の

 「業務改革」

 営業戦略、商品・製品戦略と呼ばれるような「部門戦略」  等々

 

部署として、次なるステップへ進むために達成しなければならないテーマ、ワンランク上のレベルを目指す仕事の内容・レベルのようなテーマ、新分野へ進出するために成功させなければならないテーマがあります。

これらは、往々にして新たなビジネスノウハウや新技術の開発を伴います。

 このような目指すべき仕事の内容、従来とは違う仕事のやり方を「課題」と定義します。職場として、新たに取り組むべきチャレンジテーマと言っても良いでしょう。

 

 「問題点」と「課題」この二つの言葉の定義を前提にして、自部署のテーマ設定について考えてみると、目指すべきテーマの意味合いや内容が違うことに気付きます。何処の会社でも解決しなければならない多くの問題点を抱えています。その内容を、時間軸をベースに整理してみると「出来るだけ早く解決したい問題、目の前の悩み、現状に対する取組み」と言う「問題点」の視点。もうひとつは「将来に向けての取り組み」という「課題」の視点の二つに分けられると思います。

すなわち「自部署のテーマ設定」に関わるテーマの内容は、大きく分けると二つのパターンになります一つは、現状の問題点を解決するという「問題解決型」であり、もう一つは、将来に向けて戦略的に新たなチャレンジを目指す「課題達成型」です。

 

目の前の問題点を解決することは職場のレベルアップ、進歩にとって欠かせないことです。避けて通ることのできないものに変わりはありません。

しかし、良く考えてみると、それは目先の問題に対処するだけの解決策でしかありません。とりあえず、目先の不都合や現状のミスを無くすだけの応急処置です。

では、現状の問題点が全て解決されれば、自部署の業務レベルは上がるかと言うと、現実は、そんな単純なことではありません。目の前の不都合や不満点が無くなっただけなのです。本来、できていなければならない当たり前のことが、できるようになったというだけのことです。そのレベルが他社より優れているとか、勝てるやり方ができるようになったという訳ではありません。

「自部署のテーマ設定」をする際に注意することは、現状の全ての問題点が無くなった状況が「職場のあるべき姿、終着点ではない」ということです。要は「問題解決が全てでは無い」と言うことです。実際、そこを改革のゴールと勘違いする管理者の方は少なくはありません。

 

( 平成251216)         ©公認会計士 井出事務所

 

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