空回りするPDCAサイクル

 

HPの「職場のレベルアップのヒント」は、これまでに当事務所がお手伝いさせていただいた「業務改善」や「現場の実行力アップ」の事例(社名は全て架空のものに変更しています)を多数紹介してきました。

 

しかし、実際に、職場や現場の仕事のやり方を変え、レベルアップすることは容易いことではありません。今まで、数多くの会社が仕事のレベルアップにチャレンジしてきたと思います。 その一方で“時代の流れやスピード感についていけない職場。十年前とほとんど変わらない現場の実行力・業務レベル。個人の能力に頼った人海戦術的な仕事のやり方”という現実から抜け出せないままでいる会社も多々あります。

 前回のコラムでは、業務改善の基本的な手法である「PDCAサイクル」について書きました。今回は、それが上手くいかない原因について探って行きたいと思います。

 

例え、毎月、月例会議を開いて、職場の問題解決に取り組んでいても、必ずしもそれが成功するとは限りません。

  何故ならば、多くの会社が陥りがちな失敗のパターンがあるからです。ただ考えなしに会議を開いても状況が好転する訳ではありません。その典型的なパターンが、毎回の会議が前月の結果報告に終始してしまうことです。

 

あるいは、注意したにもかかわらず、ミスやトラブルになってしまたことの言い訳大会になってしまうこともあります。そうなると、会議そのものが惰性になってしまい、職場の業務改善が、ただの掛け声になりがちです。

同じことを、ただ繰り返している悪循環にはまっているからです。つまり「PDCAサイクル」が空回りして、仕事のレベルアップや改善が進まなくなってしまったような状況です。

 

では、どうして、そのような改善活動に行き詰まりが生じるのでしょうか。その原因を探ってみましょう。その背景にあるのは「担当者任せになっている仕事のやり方」です。同じ仕事をしていても、人によって、そのやり方・進め方など、仕事のスキルがバラバラの職場(現場)です。こういう状況ですから、当然の如く、担当によって仕事のレベル・出来栄え・内容・成果・スピードに差が出てきます。   

 

経営や上司からすると、一人前の正社員なら「これくらいのレベルの仕事は全員出来て当たり前。やってもらわないと困る」レベルの仕事があります。「もう少し何とかならないのか。もうちょっとシッカリやってもらいたい。もう少し注意して、緊張感を持って仕事をして欲しい」と思う点が数多くあります。ところが、そのレベル・スピードが部下とかみ合いません。いつまでたっても、そこに温度差があります。

 

その大きな原因の一つは「やった、やらない。できた、できない」といった上が下に求める仕事の基準がハッキリしていないことです。職場として“最低限できていなければならない仕事のレベル・内容”が曖昧なのです。至極、当たり前のことのようですが、実際には多くの会社でよく見かける状況です。

 

現状の職場の問題点は、この先の要改善点に他なりません。それは、また目標とすべきポイントでもあります。各自バラバラにやっている仕事のやり方・進め方を改め、当社のあるべき仕事のやり方・スキル()として統一すること、徹底することが「改善」の基本的な考え方です。

 

それ故、職場全体としての問題点を洗い出し、目指すべき仕事のやり方を明らかにすることが改善活動のスタートラインになります。今の仕事の問題点についてお互いに共通認識を持つこと。目標にむけて職場のベクトルを合わせることが欠かせません。即ち、職場の一員として“出来て当たり前の仕事のレベル・内容”をハッキリさせることが求められます。それを「PDCAサイクル」を通して徹底することが業務改善なのです。

 

ところが、良くある失敗のパターンは、上司が考えなしに場当たり的に職場のレベルアップを図ろうとすることです。そうすると、どうしても部下一人一人のレベルアップだけに眼が向きがちになります。その結果が、部下への欠点指摘。ミスに対する後出しジャンケンみたいな悪循環のパターンにはまってしまうことです。

 そうなるのは、そもそも仕事として「何を為すべきなのか」その目指すべき具体的な仕事のやり方・進め方が不明確だからです。だから「改善活動」が堂々巡りになって「PDCAサイクル」が長続きしないのです。

 

(平成29426日)        © 公認会計士 井出事務所

 

 

 

▶ 関連項目:職場の問題解決(その1)隠れた成功要因